台湾の立法委員(国会議員に相当)選挙は10月12日に立候補届出が終わり、12
月11日の投票日まであと1カ月半に迫った。
陳水扁総統の母体である民進党(87議席)と、李登輝前総統を精神的支柱とす
る黄主文主席の台湾団結連盟(13議席)の与党連合が現在の少数与党を脱して、
過半数の113議席を越えるかどうかが注目されている。
駐日代表処の「台湾週報」と、評論家で本会理事の宮崎正弘氏の「宮崎正弘の
国際ニュース・早読み」から、関連ニュースを紹介します。 (編集部)
立法委員選挙に496人 与野党とも過半数目指す
【台湾週報 10月28日 2164号】
12月11日に投開票される立法委員選挙の立候補届けが10月12日に締め切られ、
426人で定数の225議席を争うことになった。定数の内訳は選挙区176六議席(先住
民枠8議席を含む)、比例代表区49議席(海外華僑枠8議席を含む)である。焦
点は民進党と台湾団結連盟の与党連合が過半数を確保して現在のねじれ現象を解
消できるかどうかである。これについて民進党は「2001年には87議席を得たが、
これに上積みし110議席は得たい」としている。台湾団結連盟は「前回13議席だっ
たが、今回は25から30議席に迫りたい」との目標を立てている。野党第1党の国
民党は「前回は選挙区53三議席、比例区15議席、計68議席だったが、今回は67議
席から72議席の間」との見通しを立てている。第2野党の親民党は前回46議席を
得たが、今回は35から40議席と見られている。 (台北『自由時報』10月13日)
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成16年(2004)10月29日(金曜日)通巻 第940号
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台湾総選挙は中盤、突如、嘲笑を浴びたのは施明徳と許信良。
トウ小平と写真を並べたり、孫文の肖像を使ったりの不思議な行動
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12月11日投票日をめざして台湾総選挙、中盤戦である。
許信良は台北北区から立法委員に理工補しているが、台北のど真ん中、忠孝東
路と復興路の交差する繁華街のビルに大型看板を掲げた。
な、なんと許はトウ小平の写真と自らを並べて「加速西進、一統中国」と書い
た(10月24日)。
国民党の強かった時代の元野党党首とはいえ、民進党党首までつとめた人間が
「統一」を言いだしたからには怒りの収まらない人が多い。
トウ小平の写真を並べた理由を「かれは三回も失脚したのに73歳で立ち直るや
20年、改革開放の先頭にたった。尊敬している」と発言し、民進党支持者からは
失笑を買った。
一説に許はトウと同じく客家人だから、と解説する人もいるが、それなら李登
輝もリークアンユーも客家人である。
許は嘗て10年ほど米国に亡命していたため、フィリピンの野党指導者だったア
キノや、日本亡命から大統領にまでなった韓国の金大中にならおうとして世界の
テレビをあつめ、鳴り物入りで台北に帰国を試みた。
ともかく売名行為が大好きな人物である。
ただしこの看板は僅か一日で撤去。
「あれは(北京に対しての)何かのメッセージだったのか」。
2000年の総統選挙でも許信良は突如、無所属候補として出馬し、陳水扁の票を
食うため国民党から巨額の裏金がでた、と囁かれた。
挙動不審はいつものことゆえに許信良(きょしんりょう)は挙動不審良(きょ
どうふしんりょう)だ」と日本語世代に間には冗句が飛んだ。
さてもう一人の話題の主は施明徳。
この人も獄中十年(十数年?)の台湾独立闘士。民進党党首をつとめた人間だ。
数年前も、思いつきで高雄市長にふらり立候補、民進党は主席経験の謝長挺(
現市長)を立候補させていたから票の食い合いになると批判されたのも何処吹く
風。
しかし、投票前日に「有り難う。役目は終わった」として事務所を畳んだ逸話
がある。(実態は選挙資金が底をついた)。
今回も立法委員(国会議員)選挙に台北南区から立候補し、資金欠乏も手伝っ
て泡沫扱いを受けているが、何を思ったか「一人百元カンパ」を始めた。
問題はそのポスターである。
台湾ドルの百元を後景に使うのは当然だろうが、わざわざ孫文の肖像を大きく
出しているのだ。
台湾独立の主張は孫文を「国父」と認識させる国民党歴史教育を評価しておら
ず、統一、中華思想に結びつくデザインは避けるはずである。
これも売名行為のフライングか? それとも何かのメッセージか。
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