中山義隆・石垣市長4選を産経新聞「主張」が高く評価

 一地方の市長選挙を全国紙の社説で取り上げることはそうそうあるまい。2月27日に投開票が行われた沖縄県石垣市の市長選について、産経新聞の「主張」が取り上げた。

 現職で4選をめざしていた中山義隆(なかやま・よしたか)氏と、玉城デニー知事など「オール沖縄」が推した前石垣市議の砥板芳行(といた・よしゆき)氏との一騎打ちとなり大接戦となった。

 投票結果は、中山氏:14,761票、砥板氏:12,307票と約2400票(投票率 70.54%)と、やはり接戦を物語っていた。選挙戦の風向きによってはひっくり返る票差だった。

 なぜ産経新聞の「主張」が取り上げたのか。石垣市は尖閣諸島を行政区域に抱え、陸上自衛隊の配備が進んでいる日本の安全保障にとっての要衝だからだ。砥板氏は自衛隊配備を住民投票にかけるべきと主張し、中山氏は国防は国の専権事項だとして住民投票はそぐわないと主張。その中山氏が当選したことは、配備に協力的な市政が継続することに他ならない。石垣市民の安心と安全も確保される。

 産経「主張」は「どちらがまっとうな見識か、論ずるまでもない。住民投票に法的拘束力はないものの、実施されれば混乱は必至で、配備が遅れる恐れもあった。その隙に有事になれば、沖縄はいわずもがな日本全体が危機にさらされかねない」と指摘している。

 自衛隊配備に反対する市長が誕生していたら、中国の長い手が伸びてくることも予想される。中山市長はその長い手が伸びてくることを阻止した。この意義も小さくない。

 ちなみに、中山市長は「日台共栄首長連盟」(宮元陸会長)の発起人であり、幹事長の吉田信解・本庄市長とともに副幹事長として連盟の基軸となっている。中山市長は台湾への造詣も深く、2016年に全国青年市長会副会長だった折、会長だった吉田信解氏とともに李登輝元総統を石垣市に招聘している。

 日本の安全保障のためにも、日台交流を深化させていく上にも、中山氏が4選を果たした意義は大きい。

—————————————————————————————–石垣市長選 着実に自衛隊配備進めよ【産経新聞「主張」:2022年3月1日】

 自衛隊配備計画が争点の一つだった沖縄県石垣市長選で、岸田文雄政権が支持する無所属現職の中山義隆氏が、共産党など革新勢力が推した無所属新人の砥板(といた)芳行氏を破り、4選を果たした。

 石垣島に配備予定の自衛隊は、南西諸島防衛の要(かなめ)だ。計画に理解を示す市政が続く意義は小さくない。国は着実に配備を進めてもらいたい。

 計画では、石垣島に陸上自衛隊の駐屯地が開設され、令和4年度末までに570人規模の対艦・対空ミサイル部隊が配備されることになっている。砥板氏は、賛否を問う住民投票の実施を公約に掲げていた。

 中山氏は「国防は国の専権事項だ」として、住民投票はそぐわないと主張していた。

 どちらがまっとうな見識か、論ずるまでもない。住民投票に法的拘束力はないものの、実施されれば混乱は必至で、配備が遅れる恐れもあった。その隙に有事になれば、沖縄はいわずもがな日本全体が危機にさらされかねない。

 東シナ海や南シナ海で中国の軍事的圧力が増大する中、南西諸島の防衛力強化が急務であることは論をまたない。石垣市の行政区域には、中国が奪おうとする尖閣諸島も含まれる。危機は、目前に迫っている。

 解せないのは、自衛隊がいると他国の攻撃対象になり、地域住民が戦争に巻き込まれるという主張である。砥板氏を支持した革新勢力も、そう訴えて自衛隊配備に反対した。

 いまだにこうした論法がまかり通ることにあぜんとする。他国の善意にすがるばかりでは平和は守れない。確かな抑止力が欠かせないことは明らかではないか。

 今回の選挙では、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する玉城デニー知事や「オール沖縄」勢力も砥板氏の支持に回った。

 1月23日の名護市長選でも、玉城氏らが支持した移設反対派の新人候補が大差で敗れている。この結果を玉城氏は重く受け止めてもらいたい。自衛隊や在沖縄米軍による抑止力構築を妨げる県政を転換すべきではないか。

 ロシアのウクライナ侵略は、強権国家が軍事力の行使をためらわないことを示した。南西諸島は中国という強権国家の目の前にあることを肝に銘じるべきである。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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