中国が突如3月1日から台湾のパイナップル輸入停止を発表

 2月26日、台湾の農業委員会が記者会見を開き、25日に中国の税関当局から「台湾産のパイナップルから何度も害虫が検出されたため、3月1日から輸入を停止する」という通知があったことを明らかにしたという。

 4日後に輸入を停止するとは、なんとも呆れる措置で、中国らしいやり方だ。時事通信は「中国が敵視する台湾の民進党・蔡英文政権への揺さぶりとみられる」と伝えるとともに「台湾の果物農家の貴重な収入源であるパイナップルが狙い撃ちにされた格好だ」と報じている。

 パイナップルの年間生産高は43万〜45万トンで、2020年の輸出量は4万5621トン。97%が中国(年間約57億円)、日本へは2%、残る1%は香港だという。

 中国の税関当局が輸入停止を発表した理由は「害虫が検出された」ことによるという。これに対して台湾側は猛反発し、記者会見で次のことを明らかにしたそうだ。

<行政院農業委員会によりますと、中国は昨年3月から5月の間、農業委員会に台湾産パイナップルから「コナカイガラムシ」を検出したと通知しました。中国に輸出される台湾産パイナップルの品質を確保するため、農業委員会は、昨年10月19日から農家が輸出を申請する際、包装工場の資料の添付を義務付けると共に、輸出品を栽培する果樹園への指導と輸出前の検疫措置も強化しました。その後、中国に台湾産パイナップルを5121トン輸出しました。一度も中国から不合格の通知を受けていないということです。

 農業委員会は、この点から強化策が奏功したことが伺える。しかし、25日急に中国の通知を受けた。これは国際貿易における倫理規範に合わないとして不満を表明しました。>(2月26日付け「台湾国際放送」)

 昨年10月半ば以降は害虫が検出されていないにも拘らず、「害虫が検出された」ことを理由にする中国。蔡英文政権に打撃を与えられれば、理由はなんでもよかったのかもしれない。

 台湾の防空識別圏を頻繁に侵犯する中国軍機といい、この不意打ちのパイナップル輸入停止といい、3月5日からはじまる予定の第13期全国人民代表大会第4回会議(全人代)に向けた「台湾イヤガラセ」なのだろうか。それにしても、キナ臭さが強まる中国ではある。

—————————————————————————————–中国税関当局 台湾からのパイナップル 3月1日から輸入停止に 【NHK:2021年2月27日 】

 台湾から中国に輸出されているパイナップルについて、中国の税関当局は害虫が検出されたとして、3月1日から輸入を停止することが明らかになりました。パイナップルの産地の台湾南部に支持者が多い政権与党は「政治的な動機を疑わざるを得ない」と、中国を非難しています。

 台湾の農政を担う農業委員会は26日、記者会見を開き、25日に中国の税関当局から「台湾産のパイナップルから何度も害虫が検出されたため、3月1日から輸入を停止する」という通知があったことを明らかにしました。

 農業委員会は、去年10月に対策を強化してから害虫は1度も検出されていないとして、中国側の措置に遺憾の意を示しました。

 去年、台湾から輸出されたパイナップル4万5000トン余りのうち、97%を中国向けが占めており、今回の中国当局の決定は、これから本格的な収穫期を迎える台湾南部の産地に打撃を与える可能性があります。

 台湾南部は、蔡英文総統の与党・民進党の支持者が多い地域でもあり、蔡総統はフェイスブックで「中国の不意打ちのような通知は正常な貿易を考慮していない」としているほか、民進党も「背後に政治的な動機があると疑わざるを得ない」と非難しています。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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