日米安保を容認する馬英九政権に尖閣領有の主張が成り立たない理由

麻生首相と中曽根外相の尖閣発言に台湾と中国が反発

 一昨日(2月26日)、麻生首相が衆議院予算委員会で「日本固有の領土である以上、尖
閣諸島は日米安保条約の対象になる」と述べ、中曽根弘文外相が27日に「沖縄返還の時に
尖閣諸島は日本の施政権下に入るということになっている」と述べたことに対して、台湾
と中国が反発している。

 台湾の夏立言・外交部次長は昨日、「麻生氏の発言は受け入れられず、釣魚台列島は中
華民国固有の領土だとする政府の立場に変わりはない」と述べ、日本に抗議声明を出した。

 一方の中国も昨日、外交部の馬朝旭報道局長が談話を発表し、「釣魚島を条約の適用範
囲とするようないかなる言行も、中国国民は絶対に受け入れられない」と強く非難した。

 尖閣諸島は歴史的にも国際法からも、日本固有の領土である。本誌で何度も指摘してき
たように、台湾と中国の主張には根拠がない。根拠として主張していることは、専門家な
どによって全て論駁されている。

 馬英九政権が繰り返して主張している尖閣=中華民国領土論も破綻している。なぜなら
日米安保条約を容認しているからだ。

 では、日米安保条約を容認すると、なぜ尖閣諸島が日本領であることも容認することに
なるのか、以下にその理由を述べてみよう。

 尖閣諸島は明治28年(1895年)1月に日本が主権を宣言して以来、沖縄県に属していた。
だが、大東亜戦争後、昭和27年(1952年)4月28日に発効したサンフランシスコ講和条約
の第3条に謳う「南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む)」に含まれていたことで、ア
メリカの信託統治領となる。この条約で日本が放棄した領土は「台湾及び澎湖諸島」で
あり、そこに尖閣諸島は含まれていない。

 そして日本は、昭和35年(1960年)に日米安保条約を締結した。その第5条には「日本
国の施政の下にある領域」とあり、アメリカ国務院は2004年3月、「日米安保条約は日本
管轄下の領土に適用されるとしており、そのため第5条は尖閣群島にも適用される」と述
べて、尖閣諸島が日本の領土であることを明らかにした。

 つまり、中華民国が尖閣諸島の領有権を主張した1970年(昭和45年)9月には、尖閣諸
島はアメリカの信託統治領だったが、1972年(昭和47年)5月、アメリカとの沖縄返還協
定によって沖縄とともに尖閣諸島が日本に返還され、日米安保条約の対象領土、すなわち
「日本国の施政の下にある領域」となり、それ以来、領土的変更はない。

 その日米安保条約を馬英九政権は容認しているのだ。だから、日米安保条約を容認しな
がら尖閣諸島を中華民国の領土だと主張するのは成立しない主張なのである。

 もちろん、明治28年(1895年)5月発効の下関条約において日本は清国より台湾及び澎
湖諸島の割譲を受けたが、すでに述べたように、日本はその年の1月に尖閣諸島の主権を
宣言しているのだから、下関条約の対象領土でなかったことも明白なことだ。

 中国の主張は台湾以上に論外であり、尖閣諸島を手掛かりに台湾を併呑したい野心が丸
見えである。日本と台湾を離間させようとする材料に、尖閣諸島を持ち出しているのであ
る。

                 (メールマガジン「日台共栄」編集長 柚原 正敬)


尖閣は日米安保の対象、米国に再確認へ
【2月26日 共同通信】

 麻生太郎首相は26日の衆院予算委員会で、中国、台湾が領有権を主張する尖閣諸島(中
国名・釣魚島)が他国に侵攻された場合に関し、米国も共同対処することになるとの認識
を示した。
 首相は「尖閣は日本固有の領土である以上、(日米)安保条約の対象になる。近々米国
に再確認する」と述べた。
 民主党の前原誠司氏が、米中関係が緊密化していると指摘しながら「米国は尖閣諸島に
は腰が引けている。1度公式に確認してほしい」と求めたのに対し答えた。

外相「尖閣は日本の施政権下」
【2月27日 日経新聞】
 中曽根弘文外相は27日の閣議後の記者会見で、中国が領有権を主張している尖閣諸島に
関する米国側の認識について「沖縄返還の時に尖閣諸島は日本の施政権下に入るというこ
とになっている」と述べた。尖閣諸島が第三国の侵攻を受けた場合は日米安全保障条約が
適用され、米国による集団的自衛権の行使の対象になるとの認識を示したものだ。
 麻生太郎首相も26日の衆院予算委員会で「日本固有の領土である以上、尖閣諸島は日米
安保条約の対象になる」と答弁している。


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