【9月4日 東京新聞】
【台北=栗田秀之】台湾の馬英九総統はメキシコ紙とのインタビューで、中台関係に
ついて「国と国との関係ではない」と述べた。台湾総統府が三日、発言内容を公表した。
馬総統の発言は、李登輝元総統が一九九九年に表明した中台「二国論」(特殊な国と
国との関係)を否定したことになる。対中融和政策を進める馬総統の見解は、今後国内
外に波紋を広げそうだ。
インタビューの中で馬総統は「(中台)双方は二つの中国ではない。一種の特別な関
係にあり、国と国との関係ではない」と強調した。
その上で「双方ともに『一つの中国』という原則は受け入れられるが、一つに対する
見方は双方で異なる。主権問題は今は解決できない」と述べ、当面は主権問題には触れ
ず、中台の平和、繁栄を保ちながら融和政策を推進する意向を示した。
馬総統は今年五月に就任以来、外交関係を結ぶ国を競い合う中国との争いについて
「休戦」を提唱している。中国寄りの姿勢に、野党民進党などは「主権の堅持」を掲げ
て強く反発しており、今回の発言に野党陣営がさらに反発するのは必至だ。