5月20日から24日にかけ、米国のバイデン大統領は初のアジア訪問として韓国と日本を訪れる。韓国では21日に、就任間もない尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とソウルで初の首脳会談を行い、22日に日本入りして23日は岸田文雄総理と首脳会談に臨み、24日は日米豪印の協力枠組み「クアッド(Quad)」の首脳会合に参加する予定だという。
ロシアによるとウクライナ侵略のさ中に行われる米国大統領の初のアジア訪問は、世界が注目している。特に中国はその一挙手一投足を穴のあくほど見つめているだろう。
バイデン大統領のアジア訪問に先立ち、産経新聞は5月17日、今年1月に来日して着任した米国のラーム・エマニュエル駐日大使へインタビューして19日に掲載した。
驚いたことに台湾の謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表は5月18日夜、エマニュエル駐日大使を代表官邸に招待、会食をしながらリトアニアやウクライナへの支持など共通の関心事について意見交換したという。
奇しくもこの日は謝長廷代表の満76歳の誕生日だったそうで、たまたまそうなったのか、謝代表が計画したものだったのかは詳らかではないが、バイデン大統領の訪韓・訪日に合わせたエマニュエル駐日米国大使の招待だったことは間違いあるまい。
昨年、日本が台湾にワクチン124万回分を緊急支援したときのことを思い出す。この緊急支援は、謝長廷代表が米国の臨時代理大使のジョセフ・M・ヤング氏と衆議院議員の薗浦健太郎・元首相補佐官を代表官邸に招いて会食しつつ意見交換した5月24日夜が発端だったからだ。
薗浦氏は翌日、安倍晋三・前総理に謝代表とのやり取りを報告して協力を要請したことで秘密裡に進められ、ワクチン搭載便が出発する当日の6月4日になって公表された。
謝代表とエマニュエル駐日大使の話の内容は明らかになっていないが、バイデン大統領が日本で正式な発足を表明すると報じられる「インド太平洋経済枠組み」(Indo-Pacific Economic Framework=IPEF)へ、台湾は何度も参加希望を表明している。
この件が謝代表からエマニュエル駐日大使に伝えられないということは考えにくい。台湾が参加を希望していることはエマニュエル駐日大使からバイデン大統領に確実に伝えられるのではないだろうか。今後の進展を注意深く見守りたい。
—————————————————————————————–謝駐日代表、公邸にエマニュエル米大使招き会食 「新たな一ページ開いた」【中央通信社:2022年5月19日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202205190008
(東京中央社)台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)の謝長廷(しゃちょうてい)代表(大使に相当)は19日、フェイスブックを更新し、18日夜にエマニュエル駐日米大使を東京都内の代表官邸(公邸)に招いて会食をしたことを明らかにした。「台米日の友好関係の歴史に新たな一ページが開かれた」と喜びを語っている。
謝氏によると、台米双方がリトアニアやウクライナへの支持など共通の関心事について意見交換したという。またエマニュエル氏を歓迎するため、台湾のパイナップルとリトアニアのラム酒を使い、黄色と青のウクライナ国旗の色に仕立てたカクテルを振る舞い、自由と民主主義のために乾杯したと述べた。
謝氏は、エマニュエル氏が近年では初めて駐日代表処を訪問した駐日米大使だと指摘。台湾は世界の民主主義社会の一員として、引き続き米国や日本など理念の近い国と密接に協力し、実際の行動で不当な弾圧や権威主義に対抗するリトアニアやウクライナを支持し、共同で国際秩序とインド太平洋地域の繁栄と発展を守るとの決意を示した。
(楊明珠/編集:齊藤啓介)
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