トランプ大統領が台湾の自己防衛力維持支援を盛り込む「国防権限法」に署名

米国のトランプ大統領は12月18日、連邦議会が可決した2026会計年度(2025年10月〜2026年9月)の「国防権限法案」に署名し、成立させた。

本誌でもお伝えしたように、国防権限法(NDAA:National Defense Authorization Act)は国防授権法とも呼ばれ、米国の国防プログラムの承認と予算上限額を決定するもっとも重要な法律の一つで、毎年、12月に制定している。

2026会計年度の国防権限法には、最大10億ドル(約15兆6300億円)を「台湾の安全保障協力イニシアティブ」の推進に充てられることや、来年3月までに無人兵器システムの開発、生産を台湾と共同で進める計画の始動を国防長官に要請する内容などが盛り込まれているという。

この前日の12月17日に、トランプ政権は台湾に過去最大となる総額111億540万米ドル(約1兆7100億円)規模の武器供与を承認し、議会に通知している。

トランプ大統領は中国への宥和策を取る一方で、あたかも有事のときに台湾を直接軍事支援するかどうかを明らかにしない「曖昧戦略(Strategic Ambiguity)」を捨てたかのような大規模な台湾支援を立て続けに打ち出した。

トランプ大統領の今後の習近平主席との交渉が見ものだ。


米トランプ大統領「国防権限法」に署名 台湾防衛支援に最大10億米ドル【台湾国際放送:2025年12月19日】https://www.rti.org.tw/jp/news?uid=3&pid=181940

アメリカ連邦議会が「国防権限法」(National Defense Authorization Act, NDAA)を可決した後、アメリカのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は18日、同法案に署名し成立させました。

この法案には、「台湾の安全保障協力イニシアティブ(Taiwan Security Cooperation Initiative)」に10億米ドル(日本円で約1,537億円)の資金を提供することや、台米間で海上巡視訓練の機会を拡大する計画の策定を要求する内容が含まれています。

ただし、トランプ大統領は台米無人システム共同計画を含めた一部の条項について懸念を示しています。

アメリカ連邦議会上院と下院はそれぞれ、2026会計年度(25年10月─26年9月)の国防政策や関連予算の大枠を定めた「国防権限法」を可決。

その後、両院で合意した統一版を調整し、それぞれで再度可決した後、トランプ大統領が署名して成立させました。

両院の軍事委員会の折衝を経て、最新版の「国防権限法案」が公表された後、下院は10日に採決で可決。

上院は17日に総額9006億米ドル(日本円で約140兆)に上る同法案の採決を行い、最終的に賛成77票、反対20票で可決されました。

トランプ大統領は18日、同法案に署名して成立させ、声明を発表。

声明では、同法案の重要な目標を支持する意向を示す一方で、いくつかの条項について懸念を表明しました。

特定の条項には、アメリカの対外軍事・外交政策の立場を規定する意図が含まれているものの、トランプ政権は大統領として三軍の最高指揮権および対外事務を扱う憲法上の権限に基づき、これらの条項を実施するとしています。

トランプ大統領が懸念を示した条項には、台米間で無人システムおよび対無人システム能力の配備に関する共同計画の策定、さらにアメリカによる台湾の国際通貨基金(IMF)への加盟支持に関する部分が含まれています。

「国防権限法」によれば、アメリカ国防長官は2026年3月1日までに、台湾と無人システムおよび対無人システム能力の共同計画を開始する必要があります。

この共同計画には、共同開発や共同生産といったシステムを構築し、アメリカの部隊および中華民国国軍に使用を提供することが含まれるとともに、アメリカが台湾との在り方を定めた国内法「台湾関係法(Taiwan Relations Act)」の規定に従うことが求められています。

また、「国防権限法」における台湾防衛強化の部分として、2026会計年度においてアメリカ国防総省に割り当てられる予算のうち最大10億米ドル(約15兆6300億円)を「台湾の安全保障協力イニシアティブ」の推進に充てられることが盛り込まれています。

この予算には、医療設備や補給、戦闘による負傷者のケア能力の拡充も含まれます。

「国防権限法」には、台米間の海上巡視合同訓練の機会を増やす計画の策定も求められています。

計画には、2026会計年度から2030会計年度までの見積もり費用が含まれ、台湾の海上安全、法執行および抑止能力を向上させるため、アメリカ沿岸警備隊の作戦訓練チームを台湾に派遣する関連費用が含まれています。

「国防権限法」ではさらに、アメリカ国防長官のオフィスが「台湾安全保障支援ロードマップ」を提出する必要があると規定されています。

これは、中華民国国軍の防衛ニーズを満たすために策定された多年計画であり、台湾支援のための「地域緊急備蓄(regional contingency stockpile)」設置の可能性に関する報告書も含まれます。

このロードマップの提出がなければ、出張費用の75%しか使用できないと規定してされています。

「国防権限法」には「台湾差別禁止法案(Taiwan Non-Discrimination Act)」も盛り込まれており、台湾のIMF加盟を支持する内容が含まれています。

(編集:豊田楓蓮/中野理絵/本村大資)


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