前号でも記したように、国防権限法は米国の国防プログラムの承認と予算上限額を決定するもっとも重要な法律の一つ。
今回の国防権限法には、宇宙軍を陸・海・空軍、海兵隊、沿岸警備隊と並ぶ6番目の独立軍に昇格させることを記し、ジェラルド・R・フォード級原子力空母など艦船計14隻の建造費用として240億ドルを支出することなどが盛られているという。
台湾に関しては、総統選が台湾で実施される来月11日から45日以内に中国の干渉や破壊の状況、それを阻止するための米国の努力について報告することを国家情報長官に要請し、ハイレベルな米台連携チームの設立の実現可能性などに関する報告書を180日以内に作成し、国会の軍事委員会に提出するよう国防長官に要請しているという。下記に中央通信社の記事をご紹介したい。
なお中国は、この法に、台湾への軍事協力が含まれていることから、「一つの中国」の原則および中米の3つの共同声明に大きく違反し、台湾海峡の平和と安定を脅かすとしてただちに修正するよう求めたという。
—————————————————————————————–米国防権限法成立 台湾選挙への中国の干渉を警戒 総統府が感謝【中央通信社:2019年12月21日】
(ワシントン中央社)トランプ米大統領は20日、2020会計年度(19年10月〜20年9月)の国防予算の大枠を決める国防権限法案に署名し、同法が成立した。同法では、台湾の選挙に対する中国の干渉に初めて関心が示され、来年1月の総統選実施後、関連の報告書を取りまとめるよう国家情報長官に要請している。総統府は21日、報道文を発表し、台湾の安全保障を重視する米国の姿勢に謝意を示した。
報告書は、総統選が行われる来年1月11日から45日以内に国会の関連委員会に提出されるべきとされた。台湾が中国の動きを見極め、食い止めるのを支援し、自由で公正な選挙を行えるよう米情報機関が実践した努力を説明することが求められる。また、中国の策略や手段などを確認するためとして、中国の支援対象の名簿の提供、その影響に関する分析も必須とされた。
法案には、台湾とのサイバーセキュリティー分野における連携強化を促す文言も盛り込まれた。ハイレベルな米台連携チームの設立の実現可能性などに関する報告書を180日以内に作成し、国会の軍事委員会に提出するよう国防長官に要請している。
国防長官に対してはこのほか、台湾との安全保障分野における交流強化や合同軍事演習の実施、台湾の防衛能力確保、「台湾旅行法」に基づいた米台高官の交流促進や人道支援分野における協力拡大などが提言された。また、米軍艦による定期的な台湾海峡の通過を続行し、同盟国やパートナーにも呼応を呼び掛けるべきとした。
(江今葉/編集:塚越西穂)