シンポジウム「日台関係の50年」に400人が参加し日台関係の深化を展望

■李登輝元総統と安倍晋三元総理に黙?

 日本李登輝友の会は昨7月24日、東京都内の大手町サンケイプラザを会場に、予定どおりシンポジウム「日台関係の50年─何を失い何を得たのか」を開催しました。

 これは日本と中華民国が断交してから50年、李登輝元総統が亡くなられて3回忌、そして本会設立より20年の節目の年に当たることから、日台の相互関係の現実を正当に評価することにより日台関係を再定義することを目的として開催したものです。

 新型コロナウイルスが急速に拡大し、東京都内でも1日3万人以上の感染者がでていることからキャンセルが相次ぎましたが、会場には大阪や名古屋はおろか、南は沖縄県の与那国町や石垣市、宮崎県、福岡県、北は岩手県や宮城県、北陸は石川県や新潟県など、全国各地から約400人が参加し、熱気あふれるシンポジウムとなりました。

 メディアの関心も高く、産経、朝日、毎日、読売、日経、東京、共同通信、時事通信、台湾週報、台湾新聞など。テレビ媒体は、在京テレビ局6社(NHK・日本テレビ・TBS・フジテレビ・テレビ朝日・テレビ東京)の代表取材としてテレビ東京、またTaiwan Voiceや新唐人TVなどが取材に訪れました。

 会場には李登輝元総統のご遺影が日章旗と本会会旗とともに掲げられ、壇上には李元総統と安倍晋三元総理が台北市内の李元総統ご自宅前で握手する写真(2010年10月31日)が掲げられ、開会に先立ってお二人に黙?が捧げられました。

 王明理さん(本会理事)の司会進行の下、渡辺利夫会長による開会の挨拶の後、来賓の方々を紹介。謝長廷・駐日台湾大使、長島昭久・衆議院議員、高木けい・衆議院議員、金美齢・JET日本語学校名誉理事長、陳南天・台湾独立建国聯盟台湾本部主席、吉田信行・元産経新聞台北市局長、金田秀昭・日米台関係研究所理事、有元隆志・月刊「正論」発行人、田北真樹子・月刊「正論」編集長、立林昭彦・月刊「WILL」編集長代理の曽雌悠河氏がそれぞれ紹介され、来賓を代表して謝長廷大使に挨拶していただきました。

 謝大使は、この1、2年、台湾では相次いで100年を記念する行事が行われていると、昨年5月には八田與一の嘉南大[土川]施工100年、昨日(7月23日)は鳥居信平が屏東に造った地下ダム「二峰[土川]の完成から100年の記念行事が行われたことなどを例に挙げ「100年の友情に基づく台湾と日本の間に築かれた友情はますます深まっている。 今後も李登輝元総統と安倍晋三元総理の遺産を受け継ぎ、台湾と日本の安全と友情のために努力したい」と述べられました。

 また、かつて本会理事をつとめていただいた国際政治学者の藤井厳喜氏からの祝電が披露され、赤池誠章・参議院議員と平沼正二郎・衆議院議員からも祝電が届いていることが紹介されました。

 その後、自由民主党政務調査会長の高市早苗さんに今後の日台関係の機軸となる「日台の経済安全保障」をテーマにお話しいただきました。

 高市政調会長は「日台は断交後も親密な関係を保ち、むしろ絆は一層強固になりつつある」との認識を示しつつ、「このような日台関係を築いたのが安倍晋三元首相であり、安倍元首相なくして現在の日台関係なし。安倍元首相のご遺志を多くの同志議員とともにしっかりと引き継いで、台湾と一層強固な関係を構築してゆきたい」と述べました。また、経済安全保障推進法の拡充をはかり、「不断に改正を重ねて深化させていく」として2023年に法改正を目指す旨を明言しました。

■パネルディスカッション

 パネルディスカッションからはコーディネーターの浅野和生氏(日本李登輝友の会常務理事、平成国際大学副学長・教授)が進行をつとめ、パネリストの櫻井よしこ氏(国家基本問題研究所理事長)、福島香織氏(ジャーナリスト)、渡辺利夫氏(日本李登輝友の会会長、拓殖大学顧問)、林建良氏(日本李登輝友の会常務理事、日米台関係研究所理事)が冒頭それぞれ10分ほどテーマに関する所見を発表、その後、ディスカッションに入りました。

 ディスカッションでは、日台関係をさらに深化させるためにも、9月27日に武道館で行われる安倍元総理の国葬に、台湾から蔡英文総統をお招きすべきとする発言が相次いだことがとても印象的でした。

 ディスカッションの内容は下記に紹介する中央通信社や自由時報などの台湾メディアや紙や産経新聞などの記事をご参照ください。特に中央通信社は、高市政調会長の基調講演とパネルディスカッションについての2つの記事を出し、写真も4枚ほど掲載して詳しく報じています。

 ディスカッションが終わり、浅野氏が話し合われた内容を整理し「本日のパネルディスカッションが浮き彫りにしたことは、日本の覚悟はどうなのか、ということです。中国発の危機に対して、台湾と手を結んで戦うという明確な意思を日本政府が表明し、適切なタイミングで必要な行動をとることができるかどうか、これが問われている。凶弾に斃れた安倍元首相が述べた通り『台湾有事は日本の有事』です。日本政府が台湾と手を携えて東アジアの平和と自由、民主を守る決意を明らかにするよう、本日お集まりの皆さんの力を結集して、日本政府の決断を促していかなければならない」と述べて締めくくりました。別途、ご紹介します。

 その後、渡辺会長がディスカッションを総括し、李登輝元総統への想いを述べました。これも別途ご紹介します。

 最後に、辻井正房・副会長が閉会の挨拶を述べ、シンポジウム「日台関係の50年」を盛会裡に終えました。

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◆中央通信社:日本李友會?研討會 政論家挺蔡總統參加安倍國喪[7月24日] ttps://www.cna.com.tw/news/aipl/202207240229.aspx

◆中央通信社:自民黨高市早苗:繼承安倍遺志 強化日台關係[7月24日] ttps://www.cna.com.tw/news/aopl/202207240130.aspx

◆自由時報:繼承安倍遺志 強化台日關係[7月25] ttps://news.ltn.com.tw/news/world/paper/1530585

◆産経新聞:自民・高市氏、「安倍氏の遺志引き継ぐ」日台関係強化に意欲[7月24日] ttps://www.sankei.com/article/20220724-A6HSHMBXTBIZDLVMKGOV5FYXZY/

◆FNNプライムオンライン:「安倍元首相の遺志引き継ぎ台湾と強固な関係を」自民・高市政調会長 ttps://news.yahoo.co.jp/articles/ec6d83714c826b1a2b0e6ac478368d75a1146138

◆日本経済新聞:自民・高市政調会長、経済安保法「23年改正」拡充急ぐ[7月24日] ttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA241N30U2A720C2000000/

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