【読者の声】マンドリンの日台交流100人演奏会に感動  服部 香苗(三重県)

拝啓 秋も一段と深まって来ましたが益々のご活躍、嬉しく思います。

 李登輝先生は無事退院されたようで大変うれしく思います一方、黄昭堂先生の急逝には
大変ショックを受けています。あのバイタリティーは何だったのかと思いつつ、李登輝学
校での小生の質問にも心良く、懇切丁寧に回答されたお姿を思い出しつつ安らかにお休み
いただくことを願っています。

 さて、私事になってしまいますが、台湾の孫娘の運動会を参観するために11月18日から
23日まで台湾に行って来ました。

 宿泊先のホテルで妻が、11月22日に中正記念堂の「国家音楽廰」で「百人曼陀林」(100
人マンドリン)の演奏会が行われるパンフレットを見つけ、22日は特段の予定もなく料金
も安価でしたので、一度「音楽廰」の中を見るのも参考になるのと、妻の付き添いの思い
で鑑賞に行きました。

 当日券で小生の席は3階席でした。開演20分前位でしたが観客はまばらで、これは淋しい
演奏会かなと思いつつあちらこちらを眺めていたところ、杖をついた老夫妻の姿があり、
よく見るとなんと蔡焜燦先生ご夫妻でした。早速ご挨拶にあがり、李登輝先生の件と黄昭
堂先生ご逝去の話をしてきました。黄先生に関し、15日にこの音楽廰で蔡先生と黄先生は
同席して音楽鑑賞をされ、蔡先生が黄先生を自宅まで送って行かれたそうです。黄先生の
急逝には大変ショックを受けたと声を落とされていました。

 もう一人、勝美旅行社の李太太も会場で見つけ、これまたびっくり。

 さて、この演奏会は「東京Amedeo曼陀林楽団」と「台北曼陀林楽団」の競演で総勢約100
名の演奏会です。そしてパンフレットの片隅に「售票所得扣除音楽会開銷費用外、其餘所
得將損贈日本地震災民」(音楽会の開催費用を除いたチケット売上の収益は東日本大震災
の被災者に寄付されます)と記されていました。

 開演の知らせがあり、客席はほぼ満員状態となりいよいよ開演です。

 マンドリンオーケストラの演奏から始まり「オカリナ」「柳琴」「大曼陀林」を交えた
演奏者も次第に数が増え、休憩を挟み、約100名の大演奏になりました。

 各曲の演奏が終わるごとに大喝采の連続で、後半になるとポピュラーな曲となり、終盤
には曲目はわかりませんが、東日本大震災被災者に対する「鎮魂歌」と受け止められる曲
想のものから、台湾民謡組曲、ディズニー組曲(「星に願いを」「小さな世界」)と大熱演
で、アンコールの拍手も鳴り止まず大変感動しました。

 演奏中には咳払い一つ聞こえず、拍手の仕方、微動だにしない鑑賞態度等々、台湾の皆
さんのマナーの良さにはただただ感心し、これもカルチャーショックでした。

 そして、この立派な演奏会が日本と台湾の文化交流の一環として行われていること、さ
らに今も尚、東日本大震災に対する思いを持ち続けている台湾の皆さんの心意気に感激し、
小生は演奏者には勿論ですが、観客の台湾の方々にも心から拍手をさせていただきました。

 このような民間交流はどこででも(諸外国)行われていることでしょうが、日本政府の
立場として「国」だろうが「地域」だろうが、国・地域に関係なく、正々堂々と台湾を認
識すべきことと今更ながら痛感した次第です。

 今朝(11月23日)、宿泊ホテルでチェックアウトをする際、なんと昨日の演奏会で主指
揮者を務められた東京Amedeoマンドリンクラブの小穴雄一氏とばったり出会い、少しお話
ができました。

 小穴氏は野村証券に勤められているそうで、小生は演奏を聴きながらてっきりプロの指
揮者と思い込んでいました。東京から来られたメンバーは60余名だそうで、今日帰国され
るとお聞きしました。

 それを聞き、またまたこの演奏会の意義をしみじみ噛み締め、民間交流の発展は勿論の
こと、日本政府並びに外務省がもっともっと台湾に対する認識を改めてくれることを乞い
願いつつ、感動の演奏会の余韻が消えない中に連絡をさせていただきました。(11月23日)


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