伊藤哲夫氏の講演を聞いて、西尾幹二氏がうなったことがある。伊藤氏の話は常に奥の
深さを感じさせる。単なる知識ではなく、テーマが血肉化されているように思う。だから
聞く者の胸底にストンと落ちる。だからと言って、話し方は雄弁とか巧いという感じはな
く、むしろ朴訥な印象を受ける。
このたび伊藤氏が著した『教育勅語の真実』の読後感も、講演を聞いているような思い
がしきりによぎった。それもそのはずで「語り下ろし」をベースにしたという。
本誌読者の中には、今さらなにを教育勅語かと思っている人もいるかもしれない。そう
いう人にこそ、本書を読んでいただきたい。東日本大震災で示した日本人の規律正しい国
民性がどこに由来していたかが、本書をひもとけば分かる。
本書のテーマは教育勅語の成立過程だ。起草した井上毅(いのうえ・こわし)のまさに
文字通り心血を注いだ様が、帝国憲法の起草を背景につづられている。
中でも、明治天皇が師父とも仰いだといわれる側近の儒学者元田永孚(もとだ・ながざ
ね)との私心を廃したやり取りの紹介は圧巻だ。二人が「萬世(ばんせい)に伝えて愧
(は)じざる之(の)聖諭」となることをひたすら祈りつつ、熾烈なやり取りをして「真
成なる王言(おうげん)の体(たい)」を作り上げてゆく感動の史実は、伊藤氏が指摘す
るようにもっと強調されてしかるべきであろう。
明治の日本がおちいった極端な西洋化、すなわち日本の精神文化を軽視する風潮が瀰漫
する中にあって、いかにしたら日本の真姿を顕せるか──、明治日本のグランド・デザイ
ナーたる井上毅による教育勅語の起草を通じて描いた本書をお勧めしたい。
ちなみに、教育勅語と台湾の関係は深い。台湾総督府が完成した大正8(1919)年に台湾
教育令が下され、台湾でも教育全般の規範とされた。日本語世代の方々の中には、今でも
教育勅語を諳んずる人が少なくない。そういう方に出会うたび、教育勅語で天皇と国民が
一体となったあの日本を思い出せと叱咤激励されている思いに駆られる。そうやって日本
に目覚める若者も現にいる。
間もなく教育勅語が渙発(明治23年)されてから121年目の10月30日を迎える。都内では
当日、「教育勅語恢弘の集ひ〜渙発百二十一年を記念して」も開かれるという。
本書は本会でも取り扱っています。お申し込みは、お手軽なお申し込みフォームからで
も申し込めます。
◆著 者:伊藤哲夫
◆書 名:教育勅語の真実
◆版 元:致知出版社
◆体 裁:四六判、上製、180ページ
◆定 価:1470円(税込み)
◆発 行:平成23年10月18日
伊藤哲夫(いとう・てつお) 昭和22年新潟県生まれ。新潟大学卒業。国会議員政策スタ
ッフなどを経て、保守の立場から政策提言を行う日本政策研究センターを設立。所長を経
て、現在代表。其の他、日本会議常任理事、日本李登輝友の会常務理事。著書に『経済大
国と天皇制』(オーエス出版)、『憲法かく論ずべし』(日本政策研究センター)など。
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