ている。本誌では、今朝の花岡信昭氏のメルマガからご紹介したい。それとともに、台
湾問題とは日本問題であることを理解し、日本の国益のために台湾政策を断行できる首
相の誕生に期待したい。 (編集部)
<<「禅譲」時期は早まった・・・>>
【9月2日「花岡信昭メールマガジン」616号】
こういうことがあるから、政治はおもしろい・・・というのは不謹慎な言い方になる
が、福田首相の辞任表明は2−3ヵ月先に予想されていたのが早まったことにほかなら
ない。
先の内閣改造・党役員人事で、麻生太郎幹事長を起用したときから、「福田退陣−後
継麻生」路線は固まっていた。でなければ、麻生氏があの時点で幹事長への就任要請を
受けるはずがない。
万一、福田首相の手で衆院解散、総選挙となって、自民党が敗北すれば、麻生氏は幹
事長としての責任を問われ、共倒れする。仮にその後の複雑な多数派工作が成功して自
民党中心の政権が維持されたとしても、「麻生政権」誕生はおぼつかない。
問題は福田首相がいつ、どういう局面で退陣するか、その首に鈴をつけるのはだれか、
というところにあった。
臨時国会が混迷してしまうと、退陣のタイミングをはかるのはきわめて難しくなる。
新テロ特措法の成立に失敗した場合、その責任を取るというシナリオもささやかれてい
た。だが、もともと福田首相が給油支援の継続に積極的だったとは思われていない。
だから、そのシナリオには無理があった。国民世論を二分する給油支援継続が最初の
仕事ということになると、新政権にとってもきわめて厄介だ。
民主党は小沢代表の無投票3選が確定し、12日召集の臨時国会で政府与党側が設定し
た代表質問の日程には応じない、という強硬路線を早くも打ち出した。
これは福田首相にとって、退陣の格好のチャンスになった。政略優先で国会審議に応
じない民主党を徹底的に非難することが可能になる。
加えて、公明党に対して、「与党の立場をわきまえよ」という宣告の意味も出てくる。
「福田退陣―新首相の手による早期解散」の流れをつくったのは公明党だ。内閣支持
率の低迷を理由に、連立からの離脱もちらつかせるような態度はいかがなものか、とい
う暗黙の抗議が、福田首相の退陣表明に隠されている。
それを最もよく感じているのは、当の公明党だろう。自民党に対して大きな「借り」
をつくったことになる。来年夏の東京都議選対策を最優先させる公明党の立場に、自民
党側が最大限の配慮を見せたわけだ。
「好き好んで政治家になったわけじゃない」というのが福田首相の口癖であった。安
倍前首相の突然の退陣による党内の混乱を、自身が立つことで救ったという自負もある。
これ以上、政権にしがみついていても得るものはない、と判断したのであろう。
竹下登氏が「もののふの進退は瞬時にして決すべし」と、ことあるごとに言っていた
のを思い出した。竹下氏はその言の通り、大方の予測を裏切って早期退陣表明に踏み切
った。
政治家は引き際が一番難しい。そういう意味合いでいえば、福田首相のこの段階での
退陣表明は世間をあっと驚かせた点で、きわめて効果的であった。
9月後半までとなれば、安倍前政権の在任期間(366日)とほぼ並ぶ。福田首相にと
ってはそれで十分ということだろう。
今後は自民党総裁選が焦点となる。幸いなことに、民主党は21日の代表選挙、新体制
発足まで国会審議には応じないという態度を取ったのだから、総裁選の時間は十分にあ
る。
麻生氏のほか小池百合子氏ら何人かが立って、総裁選を展開すれば、世間の関心はこ
れに集中する。小沢氏の無投票3選が決まった民主党には、だれも興味を示すまい。
福田首相の退陣表明はそうした側面でいえば、小沢氏に対する痛烈な「あてこすり」
とも映る。昨年、大連立でいったんは合意したのだが、小沢氏は党内の反発ですべて放
り投げてしまった。
福田首相がその後、小沢氏に対してどういう感情を抱いていたか、いうまでもない。
自民党総裁選の結果は、どういうプロセスをたどろうと、麻生氏で決まりだろう。あ
のキャラクターで国民的人気の高い麻生氏が新首相となる。これは小泉政権発足時点と
似た現象が生まれることになる。
新政権発足後、間をおかずして解散だ。ご祝儀感、高揚感があるうちにやってしまわ
ないと、自民党が勝てる可能性はこのシナリオしかない。早くも11月23日投票説が出て
いる。大安である。