ローカル線「集集線」を運営する台湾鉄路管理局が姉妹鉄道の仮調印を行った。正式な調印は10月
下旬に予定しているという。朝日新聞が動画とともに伝えているので下記に紹介したい。
いすみ線は、千葉県いすみ市の大原駅から千葉県夷隅郡大多喜町の上総中野駅までの26・8キロ
を結ぶローカル線。一方の集集線は、台湾中西部の二水と車埕間の29・7キロを結ぶローカル
線。
1999年9月21日の「台湾大地震」は「集集大地震」「921集集大地震」などとも呼ばれ、この集集
線沿線を中心に起こり、集集線も壊滅。全線の運転再開まで12年を要している。
昨年春から、日台間では鉄道に関する姉妹提携が立て続けに結ばれている。まず4月20日に黒部
峡谷鉄道が阿里山森林鉄道と姉妹提携し、その3日後の4月23日に江ノ電と平渓線の観光連携協定を
結んでいる。10月13日にはJR四国の松山駅と台湾鉄道の松山駅が姉妹駅提携を結び、朝日の記事
にもある秋田の鳥海山ろく線(由利高原鉄道)が平渓線と姉妹鉄道協定を結んだのは今年の4月30
日。
古くは、大井川鐵道が1986(昭和61)年1月25日に台湾の阿里山森林鉄道と姉妹鉄道を提携して
いる。これが日台姉妹鉄道の嚆矢だ。
いすみ鉄道の鳥塚亮社長は民間から採用され、大の台湾鉄道ファンのようだ。ブログでも早速に
昨日の模様を報告、「私はもうかれこれ10年近く前から台湾国鉄を日本に紹介するためにDVDを
制作しています」と述べ、台湾鉄道との姉妹提携に漕ぎつけたことをたくさんの写真とともに紹介
している。
大震災から復旧した集集線が日本の鉄道と姉妹提携するのは初めてのようだ。いすみ線との姉妹
鉄道提携に心から祝意を表したい。
◆台湾国鉄 周永暉 局長様 ご来訪[いすみ鉄道 社長ブログ:2014年8月28日]
http://isumi.rail.shop-pro.jp/?eid=1029219
◆いすみ鉄道
http://www.isumirail.co.jp/
千葉)いすみ鉄道と台湾の集集線、観光力アップへ提携
【朝日新聞:2014年8月29日】
いすみ鉄道(本社・大多喜町)が台湾中西部にあるローカル線の集集線と、姉妹鉄道提携するこ
とになった。台湾の国鉄にあたる鉄路管理局の周永暉局長らが28日夕、いすみ鉄道を訪問、仮調印
した。ローカル線同士が提携して、双方の観光客増につなげたい考えだ。
いすみ鉄道は2009年6月に鳥塚亮社長(54)が公募で社長に就任して以来、観光鉄道化を進めて
いる。沿線人口が少なく、その輸送だけでは経営が成り立たないためだ。ムーミン列車や昭和の国
鉄のディーゼルカーキハ52やキハ28の導入などで、観光客増を図ってきた。さらには海外からの観
光客を呼び込もうと、台湾のローカル線との提携の道を探ってきた。
鳥塚社長は社長就任以前から、台湾の鉄道を取材。10年以上前から30回以上訪台し、鉄道全線の
ビデオ撮影などをしてきた。今年も6月9日の台湾の鉄道記念日の式典に招かれ、その際に提携に向
けての交渉を続けていた。
鳥塚社長によると、台湾ではこの10年間、ローカル線の観光鉄道化が進んでいる。秋田県の由利
高原鉄道と姉妹鉄道提携を結んでいる、台湾北部を走る平渓線は、観光鉄道化の成功で平日も午前
中から混み合う状況だ。「台湾にいろいろなことを勉強させてもらいたい」と話す。一方、台湾鉄
路局にとっては、集集線を、日本からの観光客や鉄道ファンに売り込む狙いがあるという。
周局長らはこの日、午後3時過ぎにいすみ鉄道大多喜駅に到着。鳥塚社長らの説明を受けた後、
午後4時4分発の列車に乗車。大原駅まで30分間、いすみ鉄道を楽しんだ。その後、勝浦市で仮調印
式に臨んだ。10月下旬には正式に提携調印される見込み。
周局長は「ローカル線は地方にとって大切。鉄道提携で台湾と日本の交流を深め、多くの人に集
集線に来てもらいたい」と話す。(稲田博一)
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<集集線(ジージーシェン)> 台湾中西部の二水―車埕間、29・7キロを結ぶローカル線。
1919年、日本の植民統治時代に発電所の建材運搬のために建設が始まり、21年に開業した。発電所
完成後も、松やヒノキなど材木や農作物の運搬などで発展。90年代になると、鉄道の貨物輸送は減
少、廃止の声が出る。だが、95年ごろからのローカル線ブームで注目を集めるようになった。