【祝】 スカイドライブと新楽飛無人機、工業技術研究院が「提携覚書」を締結

「日常の移動に空を活用する」未来を実現しようと、空飛ぶクルマ(UAM、アーバン・エア・モビリティー)や物流ドローン(無人機)を開発する愛知県豊田市のSkyDrive(スカイドライブ)と、台湾の大型ドローンシステム会社の新楽飛無人機(7Aドローンズ)および工業技術研究院(ITRI)の三社は3月20日、2025年の空飛ぶクルマ(UAM、アーバン・エア・モビリティー)サービス開始に向け、提携覚書に署名したという。

下記に紹介する「日台提携で『空飛ぶ救急車』」の記事によれば、当面は離島の医療支援として「台湾初の医療用エアタクシー(空飛ぶタクシー)を澎湖県で導入する計画」だそうで、スカイドライブ側には「7Aドローンズ開発の農業用ドローンを日本に導入する計画」があるそうだ。

スカイドライブはこの「覚書」締結に先んじ、3月18日に台湾のドローン製造メーカーの新楽飛無人機と共同で自給自足の量産ラインを立ち上げると発表しており、その目的は中国のサプライチェーンからの脱却をはかるため、重要な部品を大型ドローンのメーカーに供給することにあるという。

日台間における最先端技術のドローンや空飛ぶクルマの共同開発の背景にも中国がいたことに驚かされたが、中国からの脱却のために日台が手を組むことになったというから、嬉しいニュースだ。

半導体に続き、空飛ぶクルマや物流ドローンの分野でも、日台がサプライチェーンを構築して新たな地平を開拓できることを大いに期待したい。


日台提携で「空飛ぶ救急車」、25年にも台湾で【ワイズコンサルティング:2024年3月21日】https://www.ys-consulting.com.tw/news/114353.html

 空飛ぶクルマ(UAM、アーバン・エア・モビリティー)や物流ドローンを開発する日本のSkyDrive(スカイドライブ、本社・愛知県豊田市、福澤知浩代表取締役CEO)と台湾の大型ドローンシステム会社の新楽飛無人機(7Aドローンズ)、工業技術研究院(工研院、ITRI)は20日、2025年のUAMサービス開始に向け、提携覚書(MOU)に署名した。

離島の医療支援に当面の狙いを定め、台湾初の医療用エアタクシー(空飛ぶタクシー)を澎湖県で導入する計画だ。

経済日報電子版などが報じた。

医療用エアタクシー計画では、澎湖諸島で救急医療が必要な患者を、人が運転するか遠隔操縦のUAMを使って、澎湖本島まで運んだ後、台湾本島まで移送する。

機体の航続距離は10キロメートルだ。

7Aドローンズの許新勝・執行長(CEO)は、今後、交通部民用航空局(民航局)と日台相互認証について相談し、澎湖県政府と補助金について協議すると語った。

澎湖県以外の離島や、交通が不便な地域でも導入に向けテストする考えだ。

◆物流や観光にも

 UAMは、遠隔操縦が可能で、操縦士不足の問題がない上、機体が小さく機動性に優れており、騒音が少ない。

管制官1人でUAM数台の離着陸を管理できる。

新竹県から桃園国際空港の間の貨物輸送や、都市観光での利用も想定している。

7Aドローンズは、物流や農業用など、重量50〜100キログラムの貨物を運ぶことができる6軸の中〜大型ドローンを製造しており、スカイドライブのODM(相手先ブランドによる設計・生産)を手掛けている。

スカイドライブは、7Aドローンズ開発の農業用ドローンを日本に導入する計画だ。

7Aドローンズの許・執行長は、ドイツのスタートアップ、ボロコプターが今年7月に開催するパリ五輪で「空飛ぶクルマ」を運行する計画だと説明した。

全世界でUAMが導入される見込みの25年に、台湾も絶対に遅れを取らないと語った。

◆台湾の供給網構築へ

 UAMの台湾導入には、政府の許認可のほか、運営やメンテナンス業者、部品のサプライチェーン(供給網)、充電設備などが必要だ。

7Aドローンズの許・執行長は、協力企業を歓迎すると語った。

交通部運輸研究所(運研所)の林継国・所長は、昨年から台湾でのUAM導入ロードマップを策定していると説明した。

ドローンに必要な半導体、電子制御ユニット(ECU)、機械、通信など、台湾のテック業界の経験と実力をサプライチェーン構築に生かすことができると語った。

台湾無人機大聯盟(UAS台湾)の呉盟分・会長は、台湾はハード、ソフトいずれも技術力が高く、台湾のサプライチェーンは将来、世界のUAM事業者に信頼される存在になると期待を示した。

技術や法規・政策、インフラ、社会に受け入れられるかなど、まだ努力が必要だと指摘した。

スカイドライブなど3者のMOU締結は、台北市の南港展覧館で19〜22日に開催されているアジア最大規模のモノのインターネット(IoT)展示会、智慧城市論壇・展覧(スマートシティーサミット&エキスポ、SCSE)で20日に行われた、UAMのフォーラム、「2024アーバン・エア・モビリティー・インターナショナル・フォーラム」で行われた。

UAS台湾の呉・所長は、スカイドライブ以外にも、独ボロコプターや米エイコムが来場しており、今後は世界的な大手メーカーと台湾企業がUAM開発で協力することになると予想した。

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