【書評:『李登輝訪日・日本国へのメッセージ』】三十人がつづる李前総統との縁

中外日報紙が報道した李登輝前総統の靖国神社参拝

 本会編になる『李登輝訪日・日本国へのメッセージ』(まどか出版)が10月末に発売
されて以降、本誌でも心打たれる読後感や出版社に寄せられた読者カードをご紹介して
参りました。11月6日付の「中外日報」(100余年の歴史を持つ総合的な宗教文化専門紙)
が書評を掲載しましたので、ここにご紹介します。

 なお、『李登輝訪日・日本国へのメッセージ』では、「李登輝前総統の訪日に関する
報道一覧」を設けて、ほとんどの主な報道を紹介したつもりでしたが、6月14日付の中外
日報がかなり詳しく報道していたことが最近になって判明しました。

 ここに併せてご紹介します。                    (編集部)

■中外日報
 http://www.chugainippoh.co.jp/


三十人がつづる李前総統との縁
【11月6日付 中外日報】

李登輝訪日・日本国へのメッセージ−2007旅と講演の全記録[完全保存版]
日本李登輝友の会編

 李登輝台湾前総統は五月三十日に来日し、六月九日に離日した。その間、兄を祀る靖
国神社への参拝や、奥の細道を追体験する様子がマスコミ各社により大きく報道された。
しかし来日から五ヵ月を経た今こそ、当時の熱狂を離れて、前総統が命名した「学術・
文化交流と『奥の細道』探訪の旅」の真意について、静かに考えてみてもよいのではな
いだろうか。

 本書には、小田村四郎・日本李登輝友の会会長や塩川正十郎元財務大臣ら有識者、訪
問した社寺の関係者等三十人が同行記や訪日の意義、歓迎の言葉をつづっている。

 李前総統は今回の訪日で、講演三回と記者会見を行ない、自身の考えをはっきりと打
ち出している。日本の教育を受けた李前総統は、鈴木大拙や西田幾多郎、夏目漱石に感
銘し、新渡戸稲造を通じて武士道を発見したという。

 また第一回後藤新平賞受賞者として、台湾の民政長官を務めた後藤を「偉大な精神的
導師」と評価。後藤が持っていたと思われる、天皇または国家への信仰と、自身のクリ
スチャンとしての信仰に深いつながりがあることを強調している。

 二百枚近く集められた写真は、大部分がカラー。血色の良さや快活な笑顔は、八十四
歳という年齢を感じさせない。

定価一、八九〇円、まどか出版(電話〇三・五八一四・九二九二)刊。


李前総統が靖国神社を参拝 日本名で祀られている実兄 62年ぶりに“対面”
【平成19年6月14日付 中外日報】

 来日の李登輝前台湾総統が七日午前十時、東京・九段北の靖国神社(南部利昭宮司)
で昇殿参拝をした。神社にはフィリピンで戦死した李前総統の兄、李登欽氏が日本名「岩
里武則」で祀られている。登欽氏の遺髪や遺骨・遺灰は残されていないため、李前総統
はかねて神社参拝の意向を示していた。今回の参拝で戦死した兄との六十二年ぶりの対
面が果たされた。

 李前総統の車は神社北側から到着殿に到着。南部宮司、三井勝生・山口建史両権宮司
の出迎えを受け、本殿で昇殿参拝。参拝後、南部宮司らと日本語で懇談し、約四十分で
同神社を後にした。

 参拝には黄昭堂台湾独立建国連盟主席、作家の三浦朱門・曾野綾子夫妻らが同行した。
拝礼の方法について曾野氏は「靖国神社様のおっしゃる通りに致しました。もしそうし
なかったら、非常に敵対的な感じを与えたことでしょう」と、神道作法に沿って参拝し
たことを明かした。

 曾野氏はまた、李前総統が次のように語ったことを伝えた。

 「靖国神社が(兄を)お祀りしていることに感謝している」「信仰や魂の問題は、各
個人がまったく別々の考えを持っている。それを政治の力で型通りに割り切りたくない。
ただ家族がそれぞれ自由に、愛するもののことを考えることがよい」



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