【書評】新たな日本と台湾の関係が見えてくる [古市 利雄]

本会編になる『李登輝訪日・日本国へのメッセージ』(まどか出版)が10月末に発売
されて以降、本誌でも心打たれる読後感や出版社に寄せられた読者カードをご紹介して
参りました。

 先に11月6日付の「中外日報」の書評、11月11日付の房日新聞の社説「展望台」をご紹
介しました。続いて、11月25日付「國民新聞」に掲載された書評を紹介します。

 ちなみに、評者の古市利雄氏は台湾研究フォーラム事務局長で、実は本書の担当編集者
です。まどか出版編集部に入って初めて担当したのが本書だ。古市氏はそれまで2年間ほ
ど台湾に語学留学していたことで、台湾には相当詳しい。本書の担当編集者として打っ
てつけでした。

 古市氏は本書を日頃お世話になっている金美齢先生に直接持参して贈呈している。そ
のときの様子を、やはりお世話になったご主人の故周英明先生を偲んだ一文で次のよう
に記している(11月6日付「台湾の声」掲載「鬼の金美齢、仏の周英明」)。
《先日、金美齢先生にお会いし、一冊の本をお渡しした。
 『李登輝訪日・日本国へのメッセージ』、実は駆け出し編集者の私が初めて担当する
ことになった作品だ。おかげさまで多くの方々からご好評をいただいている。
 金先生からも「いい写真だわ」「こうした記録集は必要よね」と、お褒めの言葉をち
ょうだいすることができた。
 せめてこの本を周先生にお見せしたかった。》

 本書出版には、古市氏のそのような熱い思いも込められています。   (編集部)


新たな日本と台湾の関係が見えてくる

                          まどか出版編集部 古市 利雄

 日本と台湾の関係は「地下水脈でつながっている」とたとえられる。つまり一見する
と国交がないために互いの関係は何もないようだが、実は毎年二百万を超える両国民が
往来し、親睦を深めている。そしてその水脈、いや血液にも似た熱く、かけがえのない
ものを滞らすことなく送り続けてくれた「心臓」だったのは、日本統治を経験した台湾
の方々だ。

 それを地でいくのが李登輝台湾前総統だろう。八十四歳の年齢ながら、本年五月に訪
日し、芭蕉を慕い「奥の細道」を探訪、六十二年ぶりに亡兄と再会した靖國神社参拝、
かつての祖国・日本へ渾身の思いをこめた講演と、大きな足跡を残していった。李登輝
氏は「日本と台湾は生命共同体」と言う。生命をつないできた氏だからこその言葉だ。

 本書は李登輝氏と旅路をともにした方々三十人が李氏訪日の意義と思いを綴り、三回
の講演録と日本外国特派員協会での模様を収録。訪日中のエピソードと大部分がカラー
の一九九枚の写真で、「李登輝訪日」を振りかえる。

 後生の歴史家が大きな評価を下すであろう、あの十一日間について考えをめぐらせて
みれば、また新たな日本と台湾の関係が見えてくることだろう。

                            【11月25日付 國民新聞】


『李登輝訪日・日本国へのメッセージ』の目次や割引販売につきましては、本会ホーム
ページでも掲載していますのでご参照ください。             (編集部)

■日本李登輝友の会ホームページ:http://www.ritouki.jp/

■『李登輝訪日・日本国へのメッセージ−2007旅と講演の全記録[完全保存版]』
 日本李登輝友の会編、まどか出版刊
 A5判・上製本・176ページ、定価:1,890円

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