湾研究フォーラム事務局長の心温まる投稿が掲載されましたので、転載してご紹介しま
す。 (編集部)
鬼の金美齢、仏の周英明
台湾研究フォーラム事務局長 古市 利雄
周英明先生(金美齢氏のご主人)がお亡くなりになって、間もなく一年になる。
一年前、私はまだ台湾留学中だった。訃報を聞いて、台北の狭い部屋でひとり泣いた。
いや、止めどなく涙が溢れた。嗚咽とはあのことだろうか。誰か人のためにあんなに涙
を流したことはなかった。
生涯忘れることのできない、すばらしい笑顔を持った方に巡り逢えるものだろうか。
私の場合、それは周英明先生だった。
初めて周先生にお会いしたのは、2001年12月「金美齢と行く、頑張れ台湾ツアー」と
銘うった、立法委員(国会議員)選挙視察ツアーに参加したときのこと。
参加者、120人が分乗した3台のバスをまわって、私たちに台湾のことをいろいろとお
話してくれた。私が質問したのは、「第三次国共合作はありえますか?」。当時、台湾
初心者のわりにはいいところをついていたのではないかと思う。
それから何度となくお話を伺い、教えを受け、初めて日本と台湾がともに歩んだ歴史
を知ることができたのも周先生のおかげだ。
「日本と台湾のためにがんばりたい」「日台の絆を受け継いでいきたい」──
そう心に決めた。
それだけに何か一つでもがんばれたところを、周先生にお見せすることができなかっ
たのが悔しくてたまらなかった。
先日、金美齢先生にお会いし、一冊の本をお渡しした。
『李登輝訪日 日本国へのメッセージ』、実は駆け出し編集者の私が初めて担当する
ことになった作品だ。おかげさまで多くの方々からご好評をいただいている。
金先生からも「いい写真だわ」「こうした記録集は必要よね」と、お褒めの言葉をち
ょうだいすることができた。
せめてこの本を周先生にお見せしたかった。
以前、二・二八事件についてご講演された際、金先生との共著『日本よ、台湾よ』に
サインをいただいた。2002年2月28日の日付が入ったこの本は、私の一生の宝物だ。
金先生からもサインをいただこうと駈け寄ると、「先に周先生よ」とおっしゃられた。
一見すると夫婦ではなく「婦夫」とでもしたくなるくらい、金先生が前に出ている印象
も受けるが、あのとき「なるほど」と、ご夫婦であるお二人の関係を垣間見ることがで
きた気もした。
「私たち夫婦は結ばれたその日からずっと二人でひとりだった。けれども、夫が先立
ったこれからは、夫のためにもひとりで二人分、がんばって生きていかねばならないの
だ」
お二人の生い立ち、留学した日本での出会い、台湾独立運動に参加したがために祖国
台湾に帰ることを許されず、いつ強制送還されるかわからない生活、そしてご主人との
最後を綴った『夫婦純愛』(小学館)からの一節。
生前、周先生は「グラスルーツ(一般大衆)の交流が大切なんだよ。私たち一人ひと
りが繋がっていれば、政府だって何だって動かせる」と、おっしゃっていた。
その思いに応えていきたい。私にできることはそれくらいだが、それが大きな力とな
ると周先生が教えてくれた。
周先生、金先生お二人の思いは「台湾の独立建国と日台友好関係発展のために」とい
うことではないだろうか。
「金先生、おひとりではないですよ。私たち日本人は台湾を応援しています」
私が言えるのはこんな安っぽい言葉。未熟者の証で恥ずかしいが、正直な気持だ。
そして、周先生──
「僕、がんばります」
■著者名: 著/金 美齢
■ISBNコード: 9784093877473
■判型/頁 : B5変/224頁
■定価: 1,365円(税込)
■発売日: 2007/10/15『夫婦純愛』(小学館)
■小学館ホームページ
http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solrenew_detail?
isbn=9784093877473
大阪日台交流協会 第6回講演会
■日 時 平成19年11月10日(土)
14:30受付 15:00開演 17:00懇親会
■場 所 大阪会館 Aホール
〒541-0053 大阪市中央区本町4-1-52(北御堂下)
Tel.06-6261-9351 Fax.06-6261-5109
地下鉄御堂筋線・中央線「本町」駅下車 2番出口から北に徒歩1分
■講 師 金美齢先生(元台湾国策顧問)
■テーマ 台湾に息づく「日本」−世界で最も親日的な国「台湾」
金美齢先生があなたの台湾認識を新たにします。
■会 費 一般:1,500円 会員:無料(懇親会は別途5,500円)
■主 催 大阪日台交流協会
■後 援 台北駐大阪経済文化弁事処、日本会議大阪、日本李登輝友の会
■問合せ 大阪日台交流協会
〒587-0012 大阪府堺市美原区多治井289-8 野口金属産業株式会社内
TEL:072-362-1177/FAX:072-362-3602
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■日本李登輝友の会ホームページ:http://www.ritouki.jp/
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日本李登輝友の会編、まどか出版刊
A5判・上製本・176ページ、定価:1,890円
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