台湾問題にも造詣が深い門田氏が自らのブログ「夏炉冬扇の記」において、このたびの朝鮮人労働者をめぐる韓国側の国際法に悖る理不尽な要求に非を鳴らし、日本と韓国との間に「真の友好」を築いて欲しいものの、今は逆に「日韓断交」に踏み出すべきではないのかと提言している。
門田氏は、国交がないにもかかわらず交流に支障がない台湾を引き合いに出しつつ、真の日韓友好を阻む日本人がいることを指摘する。
かつて、日本人が台湾に行くと「植民地時代はひどいことをした。申し訳なかった」と謝罪する人が数多くいた。しかし、日本統治時代をよく知る蔡焜燦先生や台湾少年工出身者から、やんわりと「なにを言ってるんですか、日本の統治があったからこそ台湾は近代国家として発展したんですよ」とたしなめられた。そのような卑屈な日本人を見るのは、かつて日本人だったというプライドが許さなかったのかもしれない。
いまの韓国には、このように自らの出自に矜持を持つ人がいないようだ。門田氏が挙げる「韓国詣で」を繰り返す日本人にも、自国への誇りと歴史認識が欠落し、混乱を拡散させているようだ。
門田氏が提言するように日本は韓国と国交を断絶し、そして、本会が提言しているように台湾との国交正常化に踏み出す時期がいよいよ来たのかもしれない。
————————————————————————————-「日韓断交」の障壁となる“韓国詣で”の日本人たち【門田隆将ブログ「夏炉冬扇の記」:2018年11月21日】http://www.kadotaryusho.com/blog/index.html
果たして「日韓断交」を阻む人間は誰なのだろうか。私は、そんな思いで、一連の日本人による“韓国詣で”のニュースを見ている。前回のブログにも書いたが、私は、最終的に日本と韓国との間に「真の友好」を築いて欲しい、という願いを持っている人間である。
しかし、その究極の目的のためには、今は逆に「日韓断交」こそ、必要だと考えている。呆れるような理不尽な「要求」や「行動」をくり返す韓国人に、日本人の堪忍袋の緒はとっくに切れている。
だが、それでも韓国人の暴走は止まらない。なぜなら、日本人がそこまで怒っていることを当の韓国の人たちが「知らないから」である。
なぜだろうか。それは、日本人の怒りを伝えなければならない人たちが、逆のメッセージを韓国にもたらしているからだ。真の友好が、お互いの理解なしに成し遂げられることはあり得ない。つまり、お互いがお互いの言い分に耳を貸さなければならないのである。
しかし、韓国の痛烈なメッセージや行動は日本に伝わっているものの、日本の声が韓国に伝わることは、なかなかないのである。本当なら、まず韓国人にも、私たち日本人の思いを知ってもらわなければならない。要するに、「なぜこれほど日本人が怒っているのか」ということを当の韓国の人たちにわかってもらわなければならないはずである。
そのために今、必要なのが「日韓断交」である。真の友好のために「日韓断交」が必要だというのは、一見、矛盾するように映るかもしれない。しかし、韓国に日本の怒り、そして気持ちを伝えるのは、それが不可欠とも言えるのである。
しかも、それは簡単におこなえることだ。日本がソウルに置いている日本大使館を閉鎖し、駐韓大使を召還するだけでいい。
周知のように、日本と台湾の間には、正式な国交がない。しかし、なにも問題なく、民間の交流は続いている。こちらは、日本と台湾の両国国民(※あえて「国民」と書かせていただく)の間に、互いを尊重し合う気持ちがあり、また、双方の好感度も高く、なにも交流に支障はないのだ。
だが、韓国は史実に基づかない日本への批判をくり返すばかりか、世界中でその誤った歴史を喧伝し、日本への糾弾を続けている。慰安婦問題しかり、また、先月末にあった、いわゆる“徴用工判決”もそのひとつだ。
朝鮮半島が日本統治下にあった戦前、日本本土の工場に応募してきた朝鮮人労働者(※そもそも「徴用工」ではない)4人が、新日鉄住金に損害賠償を求め、その上告審判決で韓国大法院は、個人の請求権、つまり、彼らの要求を認めた控訴審判決を支持し、新日鉄住金に賠償を命じたのだ。
つまり、これによって53年前の1965(昭和40)年、日本と韓国双方が「請求権」を放棄した上で、成立させた「日韓基本条約」の根本は“消滅”したのである。つまり、日本と韓国による「国交」の基礎、いや、前提が「消えてなくなった」のだ。
日本人は莫大な財産を朝鮮半島に残していたが、「請求権放棄」、そして「国交正常化」という大義の下に、涙を呑んでこれを放棄した。そして、個人賠償等を韓国政府が日本からの莫大な資金援助の中からおこなうという約束の下、有償無償、官民その他のすべてを含んで、実に日本は、当時の韓国の国家予算の倍以上にあたる計8億ドル(現在の5兆円近い金額)を提供した。
それをもとに韓国が“漢江の奇跡”という驚異の経済成長を実現し、一気に北朝鮮との経済力の差を逆転させたことは周知の通りだ。
だが、今になって「個人の請求権は放棄されていない」と言い出し、日本の企業を訴え、そして、それを韓国の大法院は「認めた」のである。韓国が、もはや日韓関係の「途絶やむなし」ということを通告してきたという見方もできる。
しかし、このことに抗議する日本政府を横目に、“韓国詣で”をおこなって、その障害になる人たちがいる。つまり、日韓の未来のために必要な「真の友好」を阻む人々である。
ここのところ、韓国や日本の新聞で、「今こそ韓国に恩を売るチャンスだ」とばかり、韓国詣でをする政治家たちのことが報道されている。
今回も真っ先に登場したのは、鳩山由紀夫元首相だった。新聞報道によれば、11月16日、京畿道高陽市で開かれた「アジア・太平洋平和繁栄のための国際大会」で鳩山氏は講演をおこなったのだそうだ。
そこで、鳩山氏は、「日本が植民化と戦犯国の歴史的事実を認め、無限に責任を負うべきだ」「日本人は謝罪する心を常に持っていなければならない。韓半島が平和統一のために進むこの時点に韓日関係が良くなるどころか、かえって悪化している状況が残念だ」「日本企業や政府は厳しく受け止めなければならない」……等々と、語ったというのである。
さらに、韓国詣ではつづく。2日後の18日、日韓の政財界関係者でつくる「日韓・韓日協力委員会」の合同総会がソウルで開かれ、中曽根派の重鎮だった渡辺秀央・元郵政大臣らが出席し、記者会見で“徴用工判決”に触れ、「日本政府としての対応を慎重かつ誠実に取れるよう努力していく」と述べたというのだ。
この合同総会には、文在寅大統領が、「われわれは真実と向き合わなければならない。両国が互いを思いやる姿勢で正義と原則を打ち立てるなら、胸襟(きょうきん)を開いた真の友人になれるだろう」というメッセージを寄せたのだそうだ。
これら新聞が伝える数々の情報は、多くの日本人の気持ちを逆撫でするものだろう。渡辺氏は、日本が政府として「慎重かつ誠実な対応」が取れるよう「努力していく」と述べたのだから、韓国がどんな受け止め方をしたかは想像がつく。つまり、日本人の怒りは、ほとんど韓国には伝わっていないのだ。
韓国詣では、政界だけではない。実業界も同じだ。いや、政界より素早い。すでに、11月7日、韓国への投資や誘致を促進する大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が開いた「日本就職博覧会」なる韓国人学生を対象にした就職説明会に、日本企業は112社も駆けつけ、大いに韓国の学生たちを「喜ばせた」というのだ。
24歳以下の「若年層失業率」が10%を超える韓国では、就職難は大変な問題だ。そこで日本企業は「大いに貢献している」のである。もし、日本企業が韓国での求人を一斉にやめれば、それだけでも、文在寅政権にとって、大変な打撃になっただろう。
しかし、日本人は、それをしない。つまり、日本には「何をやっても大丈夫」という認識は、ますます韓国人の間で強固になっているのだ。
世界中で慰安婦の強制連行という虚偽の史実を広められ、日本は「拉致・監禁・強姦国家である」という誤った認識が定着しつつある。しかし、日本人は、その韓国のために、いつまでも「馳せ参じる」だけなのである。
私は同じ日本人として、彼らのことが恥ずかしい。商売、つまり利益を度外視して、少しは「誇り」を持て、と言いたい。
11月19日、国連の強制失踪委員会は、対日審査の報告書を公表し、慰安婦問題をめぐって、日本政府に「事実解明」と「責任者の処罰」を勧告した。2015年の日韓合意で、「最終的かつ不可逆的解決を確認した」とする日本の主張は、「補償を求める被害者の権利を否定するものだ」として痛烈に非難されたのだ。
11月5日と6日におこなわれた「対日審査」で、日本は、「調査の結果、軍や官憲による強制連行を確認できるものはなかった」と主張したが、まったく受け入れられなかった。
果たして、当時の「慰安婦募集の新聞広告」や、軍や官憲によって「姓奴隷」として拉致していくことが朝鮮半島でもし横行したのなら、なぜ朝鮮の男たちはそれを甘受したのか、そして、なぜ、その強制連行の証拠が現在に至るまで出てこないのか等、迫力ある主張を日本はおこなったのだろうか。
「軍や官憲による強制連行を確認できるものはなかった」という消極的な主張ではなく、なぜそんなものが「あり得ない」のか、積極的な主張が果たしておこなえたのか、疑問が残る。
政界も、経済界も、いずれも韓国詣でに走る中、つまり、彼(か)の国に舐められている間は、真の友好が築けるはずがない。いや、ますます、真の友好は遠去かるだろう。私が、将来の日本と韓国のために、今は「日韓断交」に踏み出すことを主張する所以である。