「日本」と「台湾」の切っても切れない縁  門田 隆将(ノンフィクション作家)

【門田隆将ブログ「夏炉冬扇」:2015年1月31日】
http://www.kadotaryusho.com/blog/index.html

 いま台北にいる。明日(日付が変わったので本日)は、台中を経由して霧社(現在の南投県仁愛
郷)に行く。1930(昭和5)年に「霧社事件」が起こった地である。事件から85年という気の遠く
なるような歳月が経過したが、この地で2月1日に桜の植樹祭がおこなわれるため、私は、それに出
席するためにはるばるやって来た。

 霧社事件といえば、映画『セデック・バレ』でご存じの方もいるだろう。原住民のセデック族の
頭目モーナ・ルダオが日本の支配に反発して蜂起し、激しい戦いの末に敗れ去った。

 蜂起は、霧社の小学校の運動会の時におこなわれ、およそ140人もの日本人が殺害された。日本
人が首を狩られる壮絶なシーンは、映画『セデック・バレ』を観た方には、強烈な印象が残ってい
るに違いない。それだけに、私は恩讐を越えて、この植樹祭にこぎつけた方々に心からの敬意を表
したい。

 日清戦争で1895(明治28)年に日本が清朝から割譲を受けた台湾は、その後、激動の現代史を生
きてきた。50年間にわたる日本の統治と、日本の敗戦による、その後の外省人による国民党統治の
時代である。

 戦後の台湾は、戒厳令下で自由に物を言うこともできなかった国民党時代と、1987年の「戒厳
令」解除以後の李登輝時代、そして、その後の国民党と民進党との激しい闘いの時期に分けられ
る。

 昨年の“ひまわり運動”で国民党政府を譲歩させた学生たちの立法院占拠事件は、7か月後の統
一地方選の民進党圧勝の土台となった。来年に迫った総統選も、おそらく民進党が勝利するのでは
ないか、と予想されている。

 なぜ、香港の学生運動が敗れ、台湾では勝利したのか。そこには、中国と台湾の人権意識と言論
の自由をめぐる、はかり知れない「差」が存在する。台湾の本省人たちが日本に好意を寄せる一方
で、中国を毛嫌いする理由も、「人権」と「自由」に起因していることは疑いない。

 今晩は、台北に在住する日本の新聞やテレビの支局長、ジャーナリスト、ビジネスマン、女性教
師……等々といった多彩な方々が歓迎会を催してくれた。また、故司馬遼太郎に“老台北(ラオタ
イペイ)”と呼ばれた蔡焜燦先生も病を押して、わざわざ顔を見せてくれた。

 ベストセラー『台湾人と日本精神』の著者である蔡先生は、この1月、満88歳になられた。台湾
のなかでも、真の意味での「親日派(ご本人の言によれば“愛日派”)」といえるだろう。「最
近、台湾には日本を懐かしんでやまない“懐日派”も出て来ていますよ」と、蔡先生の日本への変
わらぬ厚情を聞かせてもらった。

 中国が台湾の動向に神経を尖らせるのも、いつまで経っても、台湾のなかで親日派が圧倒的な数
を誇っているからである。来年の総統選で民進党政権が発足すれば、親日勢力がさらに力を増し、
ここのところ進んでいた「中台接近」へのブレーキもかかるだろう。

 それを阻止するためには、中国は総統選で、なんとしても国民党に勝利してもらわなければなら
ないのである。今、経済力で台湾をがんじがらめにしている中国は、国民党を支援するために、今
後1年、露骨な経済攻勢をかけてくるに違いない。

 台湾は、日本列島から沖縄、台湾、フィリピン、インドネシア……という中国が定めた「第一列
島線」のど真ん中に位置する。逆にいえば、私たち日本人にとって、台湾は安全保障上も、極めて
重要な位置にあり、いわば日本の生命線ともいえる“国家”なのである。

 折しも、日本では、映画『KANO』が封切られている。台湾の嘉義農林が霧社事件翌年の1931
(昭和6)年に夏の甲子園で準優勝を遂げる実話を描いた映画だ。

 台湾人、原住民、そして日本人の「3者」で構成された同校野球部が、憧れの甲子園で準優勝を
遂げるまで勝ち続けたのは、奇跡というほかない。そして、それが霧社事件の翌年であったこと
に、「歴史」と「運命」の不思議さを感じざるを得ない。

 台湾の人々の日本への熱い思いに感謝し、日本人も台湾の「現状」と「今後」に、いま以上に関
心を持たなければならないと思う。そして、彼らが必死で守ろうとしている「自由」と「民主主
義」のために、できるだけの協力をしていきたいと思う。

 だからこそ、2月1日に開かれる霧社での日本と台湾の原住民との恩讐を越えたイベントの意義は
大きい。私も、日本と台湾の“永遠の友好”に思いを馳せながら、心してこのイベントに参加した
い。


【日本李登輝友の会:取り扱い本・DVDなど】 内容紹介 ⇒ http://www.ritouki.jp/
ご案内の詳細は本会ホームページをご覧ください。

●パイナップルケーキの入荷再開まで案内を中止します!
台湾で起きている食品安全問題で、台湾からの輸入食品全般に対する日本の税関の検査が厳しく
なった関係で入荷がストップしています。入荷再開まで案内を中止します。

●台湾ビール&フルーツビールが在庫切れのため案内を一時中止します!
入荷は1月から始まる予定です。詳細が分かり次第ご案内いたします。

●美味しい台湾産食品お申し込みフォーム【随時受付】
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/nbd1foecagex

★沖縄県や伊豆諸島を含む一部離島への送料は、1件につき1,000円(税込)を別途ご負担いただ
 きます。【2014年11月14日】

・台湾点心セット 2,650円+送料700円(共に税込、冷凍便)
 *同一先へお届けの場合、2セットまで700円

・台湾産天然カラスミ 4,160円+送料700円(共に税込、冷蔵便)
 *同一先へお届けの場合、10枚まで700円

●書籍お申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/uzypfmwvv2px

・李登輝著『新・台湾の主張』 *new
・漫画版『 KANO 1931海の向こうの甲子園』 *new
・李登輝元総統特別寄稿掲載の別冊「正論」22号「大解剖『靖國神社』」
・李登輝著『李登輝より日本へ 贈る言葉
・江畑哲男・台湾川柳会編『近くて近い台湾と日本─日台交流川柳句集
・宗像隆幸・趙天徳編訳『台湾独立建国運動の指導者 黄昭堂
・小林正成著『台湾よ、ありがとう(多謝!台湾)
・喜早天海編著『日台の架け橋
・荘進源著『台湾の環境行政を切り開いた元日本人
・石川公弘著『二つの祖国を生きた台湾少年工
・林建良著『中国ガン─台湾人医師の処方箋』
・盧千恵著『フォルモサ便り』(日文・漢文併載)
・廖継思著『いつも一年生』
・黄文雄著『哲人政治家 李登輝の原点
・井尻秀憲著『李登輝の実践哲学−50時間の対話
・李筱峰著・蕭錦文訳『二二八事件の真相』

●台湾・友愛グループ『友愛』お申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/hevw09gfk1vr

●映画DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/0uhrwefal5za

・『台湾アイデンティティー
・『台湾アイデンティティー』+『台湾人生』ツインパック
・『セデック・バレ』(豪華版)
・『セデック・バレ』(通常版)
・『海角七号 君想う、国境の南
・『台湾人生
・『跳舞時代』
・『父の初七日』

●講演会DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/fmj997u85wa3

・片倉佳史先生講演録「今こそ考えたい、日本と台湾の絆」(2013年12月23日)
・渡部昇一先生講演録「集団的自衛権の確立と台湾」(2013年3月24日)
・野口健先生講演録「台湾からの再出発」(2010年12月23日)
・許世楷駐日代表ご夫妻送別会(2008年6月1日)
・2007年 李登輝前総統来日特集「奥の細道」探訪の旅(2007年5月30日〜6月10日)
・2004年 李登輝前総統来日特集(2004年12月27日〜2005年1月2日)
・許世楷先生講演録「台湾の現状と日台関係の展望」(2005年4月3日)
・盧千恵先生講演録「私と世界人権宣言─深い日本との関わり」(2004年12月23日)
・許世楷新駐日代表歓迎会(2004年7月18日)
・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
・中嶋嶺雄先生講演録「台湾の将来と日本」(2003年6月1日)
・日本李登輝友の会設立総会(2002年12月15日)


◆日本李登輝友の会「入会のご案内」

入会案内 http://www.ritouki.jp/guidance.html

入会お申し込み】https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/4pew5sg3br46


◆メールマガジン日台共栄

日本の「生命線」台湾との交流活動や他では知りえない台湾情報を、日本李登輝友の会の活動情報
とともに配信する、日本李登輝友の会の公式メルマガ。

●発 行:
日本李登輝友の会(小田村四郎会長)
〒113-0033 東京都文京区本郷2-36-9 西ビル2A
TEL:03-3868-2111 FAX:03-3868-2101
E-mail:info@ritouki.jp
ホームページ:http://www.ritouki.jp/
Facebook:http://goo.gl/qQUX1

●事務局:
午前10時〜午後6時(土・日・祝日は休み)

●振込先:

銀行口座
みずほ銀行 本郷支店 普通 2750564
日本李登輝友の会 事務局長 柚原正敬
(ニホンリトウキトモノカイ ジムキョクチョウ ユハラマサタカ)

郵便振替口座
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)
口座番号:0110−4−609117

郵便貯金口座
記号−番号:10180−95214171
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)

ゆうちょ銀行
加入者名:日本李登輝友の会 (ニホンリトウキトモノカイ)
店名:〇一八 店番:018 普通預金:9521417
*他の銀行やインターネットからのお振り込みもできます。