防衛省が「日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)」を初開催

防衛省が「日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)」を初開催

 防衛省は9月2日、太平洋島島嶼国家の国防大臣や太平洋島嶼国家と関係の深い米国、英国、フランスなどの局長級実務者と懸案だった「日・太平洋島嶼国国防大臣会合」(JPIDD:ジェイピッド Japan Pacific Islands DefenseDialogue)をテレビ会議形式ながら初めて開催した。

 当初は昨年4月5日、習近平・中国国家主席の来日直前、東京において対面で開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響により延期となっていた。その後も対面開催の機会を探っていたそうだが、「新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を踏まえ、今回、テレビ会議形式での開催」(防衛省)に至ったという。

 このJPIDD は、日本が1997年から3年ごとに開催している首脳級の「太平洋・島サミット」の関連会合で「防衛省が主催する初の多国間の国防大臣会合として、太平洋島嶼国地域の国防大臣等との信頼関係を構築し、今後の防衛協力・交流を推進することを目的」としている。

 昨年1月17日、河野太郎・防衛大臣(当時)が記者会見で「今年4月初め、第1週目頃になると思いますが、太平洋島嶼国地域の国防大臣を招待し、東京において国防大臣級会合を主催する予定」と表明したことによる。

 その背景には、太平洋地域にまで手を伸ばし、ソロモン諸島やキリバス共和国と台湾を断交させた中国への「深刻な懸念」があり、「自由で開かれたインド太平洋」の実現をめざして開こうとしたのがこのJPIDDだ。

 初会合には日本を含む20カ国が出席し、9月2日午前9時から11時30分まで防衛省第一省議室で開かれ、岸信夫・防衛大臣が議長をつとめた。 太平洋島嶼国で軍隊を保有する下記の3ヵ国が出席。

・フィジー共和国(セルイラトゥ防衛・国家安全保障・警察大臣兼村落離島開発・災害管理大臣)・パプアニューギニア独立国(トゥナパイ国防副次官)・トンガ王国(トゥイオネトア首相兼国防大臣代行)

 また、オーストラリア、カナダ、クック諸島、フランス、ミクロネシア連邦、キリバス共和国、マーシャル諸島共和国、ナウル共和国、ニュージーランド、ニウエ、パラオ共和国、ソロモン諸島、ツバル、英国、米国及びバヌアツから大臣級や局長級の代表者が参加した(チリ共和国も参加を予定していたが欠席)。

 防衛省によれば「本会合では、自由で開かれたインド太平洋、海洋安全保障、新型コロナウイルスへの対応、気候変動とHA/DR(人道支援・災害救援)について意見交換を行い、議論の成果として『日・太平洋島嶼国国防大臣会合共同声明』を採択」したそうだ。

 本会の今年度の政策提言「日台の安全保障協力体制強化のための4つの提言」では、まず第一に「JPIDDの開催」を掲げ、必ずや再開すべきことを強く要望するとともに「地域の非伝統的安全保障の協議では、十分な能力を持ち経験の豊富な台湾の参加が必須である」として、台湾の参加を要請していた。

 台湾が「自由で開かれたインド太平洋」の要衝に位置し、すでに「自由で開かれたインド太平洋」に関するビジョンを共有する台湾は、その維持と強化には欠かせない存在だ。海洋安全保障や新型コロナウイルスへの対応においても十分な実績を有している。防衛省には改めて次回以降のJPIDDに台湾が参加できるよう要請したい。

 下記に記念すべき第1回JPIDDで採択された「共同声明」の全文をご紹介したい。

◆防衛省:日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)について[9月2日] https://www.mod.go.jp/j/press/news/2021/09/02a.html

—————————————————————————————–日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)共同声明

                                             令和3年9月2日                                                 防衛省

1.日・太平洋島嶼国国防大臣会合(Japan Pacific Islands Defense Dialogue)は、テレビ会議方式で2021年9月 2日に開催された。日本、フィジー共和国、パプアニューギニア、トンガ、オーストラリア、カナダ、クック諸島、 フランス、ミクロネシア連邦、キリバス共和国、マーシャル諸島共和国、ナウル共和国、ニュージーランド、ニウ エ、パラオ共和国、ソロモン諸島、ツバル、英国、米国及びバヌアツの防衛大臣及び代表者(以下「大臣及び代表 者」という。)が、同会合に参加し、JPIDDの初開催のための日本の発意を歓迎した。

2.大臣及び代表者は、太平洋・島サミット(PALM)プロセスに基づき着実に発展してきた首脳レベルのパート ナーシップを踏まえ、地域の安全保障上の課題に対応するに当たり、国防当局間における相互理解及び信頼醸成の 必要性を強調した。

3.岸大臣は、自由で開かれたインド太平洋に関するビジョンを共有する全ての当事者と共に、「自由で開かれたイ ンド太平洋」の維持・強化に向けた防衛省及び自衛隊のコミットメントを新たにした。岸大臣は、PALM9で発 表された「太平洋のキズナ政策」に基づき、自衛隊の艦艇による寄港や航空機による寄航等の交流や、海洋安全保 障や災害救援をはじめとする分野における人材育成面での協力を通じて、国防当局間における協力を推進していく との日本の意図を表明した。大臣及び代表者は、当該協力を推進する日本の意図を歓迎した。

4.大臣及び代表者は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は、安全保障に影響を与えうる課題であると認識 し、国防当局間による感染症対策から得た知見や教訓の相互共有を通じて、各国の感染症対応能力の向上に努める ことの重要性を確認した。

5.大臣及び代表者は、航行及び上空飛行の自由並びに国際法、特に国連海洋法条約に従った紛争の平和的解決の重 要性を強調した。また、当該地域において、違法・無報告・無規制漁業への対策や海上法執行強化の継続が必要と の認識を共有した。

6.大臣及び代表者は、「今なすべき喫緊の気候変動行動のためのカイナキ宣言」の要請及び気候変動と防災が第9回 太平洋・島サミットの5つの重点協力分野のうちの一つであることに留意し、防災、特に強靱性の構築に関する国防 当局間の協力を強化することの重要性を強調した。この文脈で、岸大臣は、2021年5月に防衛省内に「気候変動タス クフォース」を設置し、気候変動により国際社会が直面している安全保障上の課題について検討を進めている旨説 明した。

7.大臣及び代表者は、当該地域における自然災害によって引き起こされる危機の際の人道支援及び災害救援の実施 にあたり、国防当局及び関係当局間において効果的に連携することによる利益を強調した。

8.大臣及び代表者は、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、 かつ、不可逆的な廃棄(CVID)の実現の重要性を強調した。また、違法な「瀬取り」を含む北朝鮮による制裁 回避手法への対処を含め、関連する国連安保理決議を完全に履行し、また執行することに対するコミットメントを 再確認した。

9.大臣及び代表者は、JPIDDのパートナーシップの重要性を確認した。また、初となるJPIDDの成功を踏まえ、地域 の安全保障上の課題に対処するため、対話と協力を継続することの重要性を確認した。

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