温家宝来日当日に衆院外務委員会で台湾の法的地位に関して質疑

温家宝来日当日に衆院外務委員会で台湾の法的地位に関して質疑
長島昭久議員の質問に麻生外相が「理解し、尊重する」日本政府の立場を答弁

■安倍総理の

 先般、中国の温家宝首相が公賓として来日した際、最大の対立点は台湾問題だった。

 すでに伝えられているように「中国側は台湾独立を明確に反対することを求め、明文化
するよう強く迫り、日本側は『明記するならば、プレス発表はなくていい』と拒否し続け
た。決着がつかないまま突入した首脳会談では温首相が、『独立反対の立場を明確にして
ほしい」と切り出した』(産経新聞)という。

 しかし、安倍総理は従来の日本政府の立場を堅持すると突っぱね、歴代首相と同様に「
台湾独立を支持しない」と表明はしたものの、結局、日中共同プレス発表では「台湾問題
に関し、日本側は、日中共同声明において表明した立場を堅持する旨表明した」と記すに
止めた(下記参照)。

 この台湾問題への対応に、安倍総理が対中関係を「友好協力パートナーシップ」から「
戦略的互恵関係」と引き揚げた理由が垣間見えるようだ。要するに、日本は台湾の帰属に
関して独自の認定を行う立場にないという表向きの理由を楯に、暗に台湾が中国の領土と
は認めていないことを示したのである。

 例えば、日本は2002年以来、台湾のWHO(世界保険機関)へのオブザーバー参加をア
メリカとともに支持表明しており、3月15日に開かれた参議院の外交防衛委員会において
も、麻生外相は「現在でも台湾のオブザーバー参加が望ましいという考えに変わりはない
」と答弁している。これは台湾を「統治の実態」と見做さなければ取れない立場だ。

 つまり、「台湾の独立は支持しない」と表明はしているものの、国際機関への台湾の加
盟を支持しているのだから、台湾を「統治の実態」、すなわち主権国家として認めている
に等しい。それはWHOに限らない。台湾での天皇誕生日レセプションの開催、台湾の人
々を対象とした叙勲など、台湾を「統治の実態」と見做さなければできない措置を取り続
けているのである。

 それだけではない。昨日、国会で社民党以外の共産党をも含む全議員の賛成で成立した
海洋基本法、あるいは3月13日に署名した日本とオーストラリアの「安全保障協力に関する
日豪共同宣言」もまた安倍総理の「主張する外交」政策の一環であり、中国を視野におい
た、即ち台湾海峡の安定に資する基本戦略の発露として捉えてよいだろう。

 ところで、温首相来日の当日午前、衆議院の外交委員会において日台関係に関わる非常
に重要な質疑応答が行われていた。

 これは民主党内の議員連盟「日本・台湾安保経済研究会」の幹事長も務める長島昭久議
員による質問で、長島議員は次の5項目について麻生太郎外務大臣や政府委員に対して見
解を求めた。

1、友好協力パートナーシップから戦略的互恵関係とした日本政府の意図
2、台湾海峡の安全の確保について
3、京都・光華寮をめぐる最高裁判決のおかしさ
4、台湾の法的地位に関する日本政府の見解
5、日本版台湾関係法の制定について

 麻生外相は台湾の法的地位に関する日本政府の見解について明確に答弁している。ここ
では該当する部分のみ紹介するが、質疑と答弁の全文は下記の外交委員会の議事録をご覧
いただきたい。
                 (メールマガジン「日台共栄」編集長 柚原正敬)

■日中共同プレス発表
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/visit/0704_kh.html

■第166回国会 外務委員会議事録(4月11日)
 http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm


○長島(昭)委員 一八九五年の下関条約以来、台湾は日本領だったわけですから、台湾
も含む中国国家というのはなかったわけですね。その後、日本はポツダム宣言を受諾して
台湾を放棄したんだけれども、蒋介石総統が一九四五年に台湾に来て、そのときに初めて
、中華民国というのは中国本土と台湾と両方を領有する国だ、こういう宣言をした。そし
て、五二年に日本が中華民国を承認したときは、地域限定で承認したんですよね。台湾の
あの一帯をコントロールしている中華民国として日華平和条約を結んでいるわけですから
。そして、中華人民共和国は、建国、一九四九年以来、台湾を実効支配したことは一度も
ないんですね。

 こういう複雑な関係の中で、我が国は中国との関係をこれまで切り結んできた。そして
、日中共同声明を発出する直前には、中国は復交三原則というのを出して、台湾は中華人
民共和国の領土の一部であるということを認めろというふうに、しかも、既に中国に返還
されたものであるということを日本はコミットしなさい、こう言ってきたけれども、その
ようにはしませんでしたね。

 そこで見ていただきたいのは、手元に、日中共同声明第二項、第三項を掲げました。第
二項は、先ほどから何度も言っています政府承認の切りかえ、「中華人民共和国政府が唯
一の合法政府であることを承認する。」承認する、レコグナイズですね。そして第三項で
は、ここが微妙なんですよ。「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不
可分の一部であることを重ねて表明する。」これは、中華人民共和国が表明する。「重ね
て」というところに思いがこもっていると思いますがね。

 それに対して、日本政府はどうしたかというと、この中華人民共和国政府の立場を承認
したわけじゃないんですよ。「十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を
堅持する。」ポツダム宣言第八項というのは、御案内のとおり、台湾に対する主権を放棄
したということであります。

 この承認と、理解し、尊重するという言葉の違いというのは、実は外交用語の中で非常
に重要ですよね。この違いをぜひ端的に御説明いただきたいというふうに思います。これ
は大臣にお願いします。

○麻生国務大臣 これは物すごく大事な単語です。

 日本は、御存じのように、サンフランシスコの平和条約に基づいて、台湾に対するすべ
ての権利等々を放棄いたしております。したがって、台湾の法的地位に関して、日本とし
て独自の認定を行う立場にはないというのが、いわゆるサンフランシスコ講和条約のとき
以来の一貫したところであります。

 この前提に立ちまして、台湾に関する日本政府の立場というのは、今言われました日中
共同声明にあるとおりでして、中華人民共和国を唯一の合法的政府であることを承認した
上で、台湾が不可分な領土であることも十分理解し、尊重するということであります。そ
れ以上でもなければ、それ以下でもないというところであります。このような政府の立場
というのをこのとき表明して以来、日本としては、ずっとこのことに関しては変更してこ
なかったというのが我々の現実でありまして、今でもその立場に何ら変わることはないと
いうことであります。

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