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李登輝前総統「日本の教育と私(7)−民主主義とは武士道の精神」

【9月20日付 産経新聞】

 日本文化の優れた伝統を日本の教育で獲得できた私に、何かなされたでしょうか? こ
れから説明しましょう。
 昭和20年8月15日、名古屋城で終戦を迎えた私は数日を経て復員し、京都の下宿に戻って
きました。その時から時間はすでに61年経過し、私もじいさんになりましたが、一昨年、60
年ぶりに家族4人でその日本を1週間訪問し、観光する機会を得ました。
 この時に私が強く感じたことは、日本は戦後60年で大変な経済発展を遂げたということ
です。焦土の中から立ち上がり、ついに世界第2位の経済大国を造り上げました。政治も
大きく変わり、民主的な平和国家として世界各国の尊敬を得ることができました。その間
における人民の努力と指導者の正確な指導に敬意を表したいと思います。
 もうひとつ感じたことは、日本文化の優れた伝統が進歩した社会で失われていなかった
ことです。日本人は敗戦の結果、耐え忍ぶしか道はありませんでした。経済一点張りの繁
栄を求めることを余儀なくされたのです。そうした中にあっても、日本人は伝統や文化を
失わずに来たのです。
 強く記憶に残ったのは、様々な産業におけるサービスの素晴らしさでした。金沢では一
流旅館ならではのきめ細かいサービスに驚嘆しましたし、新幹線も車内サービスの充実ぶ
りに目を見張りました。そこには戦前の日本人が持っていた真面目さや細やかさがはっき
り感じられました。
 「今の日本の若者はダメだ」という声も聞かれますが、私は決してそうは思いません。
日本人は戦前の日本人同様、日本人の美徳をきちんと保持しています。確かに外見的には
、緩んだ部分もあるのでしょう。しかし、それはかつてあった社会的な束縛から解放され
ただけで、日本人の多くは今も社会の規則に従って行動しています。
 さらに私が感じたのは、日本人の国家や社会に対する態度がここへ来て大きく変わり始
めたことです。戦後60年間の忍耐の時期を経て、経済発展を追求するだけでなく、アジア
の一員としての自覚を持つようになりました。武士道精神に基づく日本文化の精神面が強
調され始めたのです。
 ここ20年間、台湾にデモクラシーを持ち込んで、政治体制を変更した私が「『武士道』
解題」を書き、副題にノーブレスオブリージェをキーワードとして、指導者たるべき者の
心構えを説くことを考えれば、民主主義と武士道精神の間には、なんら矛盾がないと思い
ます。デモクラシーと言うのは、個人のことを考えるだけではなく、国民の声を聞いて、
国家のために働く、武士道の精神でもあるのです。(題字は李登輝氏)


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