本会宮城県支部と宮城県日台親善協会が連名でNHKに「見解・抗議及び回答要請」

本会宮城県支部と宮城県日台親善協会が連名でNHKに「見解・抗議及び回答要請」
昨日、日本李登輝友の会宮城県支部(嶋津紀夫支部長)と宮城県日台親善協会(相沢光
哉会長)が連名でNHKの福地茂雄会長宛に「NHKスペシャルシリーズ・JAPANデ
ビュー第一回放送「アジアの “一等国 ”」に対する見解・抗議及び回答要請」を送達し
た。

 当該番組は「日本が悪しき植民地支配者であったことを強調するために、編集の段階で
恣意的に操作され、歪曲されていることはほとんど疑いの余地がない」として、制作の根
底に「東京裁判や村山談話に脈絡する自虐史観、左翼反日思想」があり、「従軍慰安婦や
南京大虐殺など無実体・名称化と軌を一にする似非プロパガンダ」だと剔抉する堂々たる
抗議だ。

 その上で、1)「新放送ガイドライン」に則った公共放送としての説明責任、2)発言
の補正や説明の追加など誤解を招きやすい箇所の修正、3)組織として公共性・公平性の
確保、について問い質し、5月20日までの回答を求めている。

 なお、住所の番地などは伏字にしたことをお断りいたします。       (編集部)


NHKスペシャルシリーズ・JAPANデビュー第一回放送「アジアの “一等国 ”」に
対する見解・抗議及び回答要請

 さる四月五日、NHKスペシャルシリーズ「アジアの “一等国 ”」が放送されたが、
五十年に及んだ日本の台湾統治のドキュメンタリーとしては、極めて反日的、自虐史観的
な意図のもとに制作された偏向番組と指摘せざるを得ない。

 新たに発掘されたという映像や登場した台湾人のコメントも、視聴者に日本が悪しき植
民地支配者であったことを強調するために、編集の段階で恣意的に操作され、歪曲されて
いることはほとんど疑いの余地がない。

 例えば、画面に度々登場する柯徳三氏は「母国は日本、祖国は台湾」の著者で、日本語
世代の台湾知識人の一人であるが、インタビューでの発言は日本に対する批判や不満を述
べた部分のみで、のちに放映内容を見た氏自身が「一番伝えたかった(日本統治の功の)
部分はことごとくカットされた。NHKに裏切られた。」と憤慨しているという。(週刊
新潮四月二十三日号)

 また、台湾の近代化に大きな役割を果たした後藤新平についても、彼が主導した基隆港
や縦貫鉄道の整備は、当時の主要産物であった樟脳で儲けるためだったと、子供じみた理
由に置き換え、彼の功績を矮小化し貶めている。

 一昨年六月、後藤新平生誕一五〇周年を記念し、第一回後藤新平賞が台湾の元総統李登
輝氏に贈られた。その授賞式が東京で盛大に挙行されたことは記憶に新しいが、児玉源太
郎台湾総督の下、民生長官として志の高い経営哲学、大胆な構想力、卓抜たるリーダーシ
ップで、台湾の開発発展に敏腕をふるった後藤新平の器量の大きさを知れば知るほど、N
HKの浅薄な検証は全く悪意に満ちた見当違いそのものであることが分かる。

 さらに「人間動物園」というタイトルでの先住民族パイワン族に関する映像とナレーシ
ョンや、皇民化の動きを宗教弾圧とし、同化政策を「民族自決」を無視した植民地支配の
悪例と決めつけていることなども、当時の世界の常識や国際情勢に目をつぶり、現代社会
の価値観を押し付ける無謀な歴史認識そのものである。

 五十年間にわたる日本の台湾統治は、今日の視点で見れば、日台双方にとって光と影、
功と罪の様々な評価が生まれて当然であろう。激しい抗争や不服従、秩序を保つための過
酷な刑罰、日常生活での差別や強制など、過ちや悲劇があったことも事実である。しかし、
列強によって東アジアの多くの国々が植民地とされていた帝国主義・覇権国家全盛の時代
背景を考えれば、欧米植民地が搾取圧政型であったのに比べ、日本のそれは、明らかに固
有の地政学的意図の下での殖産興業・民生向上・富国強兵を柱とした近代国家建設志向型
であったことは間違いない。

 植民地経営そのものが正当性を失っている二十一世紀から見れば短絡的な異論が出るか
もしれないが、「(数世紀に及ぶ)世界の植民地の中で、社会経済の近代化の観点からみ
て台湾ほどの成功をみせた地域は他にはない」(渡辺利夫著「新 脱亜論」)と見るのが
正しい歴史眼である。

 国際社会で良好な友好関係を築くには長い年月が必要であるが、特に大切なのは両国民
が記憶する歴史的事実が、喜び、感謝、敬愛、信頼をともなう感情で子孫に伝えられてい
くことにある。例えば、トルコは大の親日国であるが、一八九〇年、当時のオスマン帝国
海軍エルトウールル号が和歌山県沖で難破した際、日本が官民あげてその救出に死力を尽
くし、生存者六十九名全員をわが国軍艦でトルコに送還、多額の弔慰金を遺族に贈ったこ
とが日本の武士道精神の発露として高く賞賛され、今日に続く深い絆となったのである。

 台湾はアジアで最も親日的な国である。日本との正式国交はないにもかかわらず、経済
・文化・観光での交流は活発で、シーレーンの確保やわが国のアジア外交のパワーポリテ
ィックスの面でも、日台間の実質的な相互互恵関係は極めて重要である。

 産経新聞の「正論」で評論家の鳥居民氏は、「日本の統治を離れ六〇年、年若い世代を
含めた台湾の人々が、尊敬する国、移住したい国の筆頭に日本を挙げているのは、かつて
の日本の統治に不快感を持っていないことが大きな理由だ」と述べているが、まさに正鵠
を得ている。番組制作者に少しでも公平・公正を心がける気持があれば、台湾での取材の
中でいくらでもそのような声を聴けた筈だ。

 しかし、制作者の意図は全く正反対だったから、聴こえても聴く耳を持たなかったのだ
ろう。実際、番組では、蒋介石軍によって引き起こされた悲惨な二・二八事件も、台湾の
人々が日本人化したことに原因があるかのようなナレーションになっている。金美齢氏は
かねがね、二・二八事件が台湾人に与えた衝撃の大きさは、無実の市民が大量虐殺された
事実もさることながら、規律正しい日本軍兵士に比べ、新たな統治者としてやって来た中
華民国軍兵士のあまりの暴虐・蛮行・強欲ぶりを目撃したことにあると述べ、改めて「日
本精神」の素晴らしさが理解できたという。

 番組制作者に金美齢氏の証言や感慨は到底届かないだろう。何故なら制作者の意図は次
のようにまとめることができるからである。つまり、戦前の日本はあくまでも加害者であ
り、 “一等国 ”を目指して突き進んだ結果の日本の真実の姿は、欺瞞に満ちた侵略国家
そのものであった。そのことを日本人がはっきりと自覚し、反省し、台湾の人々にもアジ
アの人々にも心から謝罪しなければ真の友好関係は築けないのだ、というのがNHK特番
のメッセージなのではないのか。

 このことが裏付けられるのは、放送後、厳重な抗議声明を送った日本李登輝友の会の小
田村四郎会長に対し、NHKジャパンプロジェクト番組責任者の河野伸洋エグゼクティブ
・プロデューサーから寄せられた回答文である。それを読むと「(植民地時代の差別、戦
争の深い傷が残されているという)歴史の事実を、日本とアジアが共有することにより、
真の絆を見出したい」と書かれている。また番組で耳慣れない言葉として槍玉に上がった
「日台戦争」については、「この戦いの研究を進めていた日本の専門家が一九九〇年代に
名付け、以後研究者の間ではこの表現が使われるようになっている」と舞台裏をのぞかせ
ている。

 この二つの考え方、言い方は、制作者の意図を見事に炙り出している。前者は、明らか
に東京裁判や村山談話に脈絡する自虐史観、左翼反日思想そのものであり、敗戦直後のウ
ォー・ギルト・インフォメーション・プログラムの呪縛から依然脱していない。後者の
「日台戦争」なる言葉は、従軍慰安婦や南京大虐殺など無実体・名称化と軌を一にする似
非プロパガンダであり、左翼学者が従軍慰安婦の二匹目のどじょうを狙っての類であろう
が、公共放送であるNHKの「新放送ガイドライン」に照らし合わせても、このような言
葉の使用をなぜ事前にチェックできなかったのか、怠慢としか思えない。

 番組の最後で再び「皇民化運動」が取り上げられている。天皇の名の下に軍国主義に傾
斜する台湾の有様を、日本語世代の老人達に教育勅語を暗唱させ、軍歌を歌わせることで、
「日本統治の深い傷」に収斂させている。番組制作者の深意は、愛国心よりも不戦平和を
上位に置いているようだ。時代の変遷を無視するこのような思想・考え方で戦前の日本を
断罪することは、余りにバランスを欠いていまいか。いま日本に求められるのは、敗戦コ
ンプレックスの泥沼から抜け出し、自信と誇りと勇気を持って未来に立ち向うことであろ
う。

 以上、今回のNHK特番に関する見解を述べ、納得できない部分について抗議の意向を
示させていただいたが、最後に次の三点についてぜひ回答をお願いしたい。

1.今回の放送は、JAPANデビュー第一回放送と銘打たれ、横浜開港以来、昭和二〇
 年の敗戦までの近代史を検証するシリーズとのことであり、その趣旨には賛同するが、
 第一回の台湾統治を見る限り、これまで指摘した諸点についての疑問と懸念は消えない。
 NHKは影響力の大きい公共放送であり、とかく問題の多い近現代史については、「新
 放送ガイドライン」に則った公平・公正な取り扱いに十分留意し、専門家も一方に偏る
 ことのないよう配置し、今後の制作方針についても公共放送としての説明責任を果たす
 べきと思うが、どうか。

2.第一回の内容を見て取材を受けた台湾人が、「NHKに裏切られた」と発言したと報
 道されていることは、大変重いと思う。今回の放送は、日台間に不要な軋轢を生み、疑
 心暗鬼を助長し、ひいては日本に対する幻滅感、不快感を増幅させ、これまでの友好親
 善関係や日本の国益を損なうことが心配される。テロップ等での発言の補正や説明の追
 加など、誤解を招きやすい箇所の修正をすべきと思うが、どうか。

3.表現の自由、報道の自由との兼ね合いで考えて見ても、例えば、プロデューサーや制
 作スタッフが極端な言論に走った場合に、組織として公共性・公平性の確保をいつ、ど
 こで、どう行うのか、NHKの基本的姿勢が問われる由々しき問題である。経営委員会
 や視聴者センターのあり方を含め、幅広い議論で公正・中立の追求につとめるべきと思
 うが、どうか。

  平成二十一年四月三十日

                         仙台市青葉区●●●丁目●番●号
                         宮城県日台親善協会
                             会 長 相 沢 光 哉

                         仙台市若林区●●●丁目●番●号
                         日本李登輝友の会宮城県支部
                             支部長 嶋 津 紀 夫

日本放送協会
 会 長 福 地 茂 雄 殿

※ご回答は、宮城県日台親善協会に五月二十日までにお願いいたします。

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