在留カード実現は「馮寄台元代表のおかげ」?

在留カード実現は「馮寄台元代表のおかげ」?
連根藤氏は本当にそう言ったのだろうか。在留カードが交付された7月9日、東京入国管
理局前で連根藤氏(「台生報」編集長)は「この制度が施行されたのは、5月に台湾に帰っ
た台北駐日経済文化代表処の馮寄台元代表のおかげ」とコメントしたと「サーチナ・ニュ
ース」は伝えた。

 それに続けて「でもその前の羅福全、許世楷という2人の代表や、台湾同郷会、李登輝友
の会のみなさまが長年に亘って努力をし続けてきた結果だと思っています」とも述べたと
伝えている。

 「サーチナ」ニュースの連氏のコメントは、下記に紹介するように、台湾の日刊紙「聯
合報」の記事を引用した中に出てくるという。そこで「聯合報」の記事を確認してみる
と、7月9日付で陳世昌・東京特派員が報じた「旅日台僑國籍不再提『中国』:這個台湾等
了快50年」がその記事のようだ。

 確かに連氏の発言は載っている。しかし、「歴代駐日代表が日本政府に改正を求めた努
力の結果、3年前の馮寄台代表のときに改正が実現した」(歴代的駐日代表都努力要促成日
本政府的正名……三年前、在馮寄台担任駐日代表時)という表現で、「5月に台湾に帰った
台北駐日経済文化代表処の馮寄台元代表のおかげ」という記述は見当たらない。

 また「羅福全、許世楷という2人の代表や、台湾同郷会、李登輝友の会のみなさまが長年
に亘って努力をし続けてきた結果」という記述もない。聯合報の記事では「在日本朝野政
党的協助下」とあるのみで、羅福全、許世楷、台湾同郷会、李登輝友の会という固有名詞
は一切出て来ない。

 これを「引用・転載」というのだろうか。インターネット版の記事の確認だけで、実際
の聯合報の紙面を確認できないので何とも言えないが、少なくともこれは聯合報記事の翻
訳ではなく、聯合報に名を借りたサーチナの創作記事だ。

 ところが、本誌でも紹介した「中國時報」では連根藤氏の発言として、次のように書い
ていた。

≪日本國會〇九年七月通過《出入國管理及難民認定法》修正案,是在前駐日代表馮寄台任
内,非常感謝他的努力。歴任駐日代表、旅日台灣同同郷會、李登輝之友會等推正名運動十
多年,這可説是大家共同努力的成果。≫

 なんとこれは「サーチナ」が「聯合報」からとして引用転載している内容とほぼ同じだ
った。それを少し脚色して「5月に台湾に帰った」や羅福全、許世楷といった固有名詞を入
れているにすぎない。

 日本ではこういう「引用・転載」は著作権を侵害する違法行為だ。ちなみに「サーチ
ナ」とはサーチ (search) とチャイナ (china) からの造語だそうで、中国系媒体だとい
う。

                     *

 しかし、実は「サーチナ」の報道はどうでもいい。問題は、連根藤氏の発言だ。連氏は
本当に「馮寄台元代表のおかげ」と言ったのだろうか。

 連根藤氏は本会の「日米台の安全保障等に関する研究会」のメンバーでもある。そこで
連氏に直接確認してみた。すると、次のような事実が判明した。

 馮寄台云々の発言は、メディアからの「馮寄台代表のことにも触れてください」という
要望に応えた中での発言で、ほぼ「中國時報」が伝えている内容で間違っていないとい
う。

 馮寄台代表は外登証問題に深い関心を持っていたそうで、連氏が1970年代からすでに台
湾正名運動の前哨戦にあたる活動(東大など大学内にある留学生会の名称についていた中
華民国を台湾に正名)をしていたことを知った馮寄台・前代表は、3年前に法改正された
際、連氏にその活動を含めて台湾正名運動について書いて欲しいと依頼したという。

 だから、それを思い出して「非常感謝他的努力」(彼=馮寄台の努力に非常に感謝して
いる)と述べたそうだ。

                   *

 では、馮寄台氏(2008年9月〜2012年5月)はどういう努力をしたのだろうか。また、
2001年に台湾正名運動が始まってからの羅福全氏(2000年5月〜2004年7月)や許世楷氏
(2004年7月〜2008年6月)などの駐日代表は、どのような努力をしたのだろうか。

 実は、このことを許世楷・元代表に直接お聞きする機会があった。許氏は「出入国管理
及び難民認定法」改正が取り沙汰されていたときの代表だ。

 当時、この法改正に前向きな安倍晋三氏が官房長官だった。改正に熱心な親台派の国会
議員も少なくなく、中でも安倍官房長官と昵魂だった議員が改正案について頻繁にやり取
りしたという。

 許氏が代表を辞任する2008年6月ころにはほぼ法案が固まり、翌年2月、日台若手議連
(岸信夫会長)が法務省、総務省、外務省の担当官を招いて外登証の勉強会を開催し、本
会の小田村四郎会長なども同席したが、このときには成案ができていた。

 そして2009年3月6日、麻生首相のときに内閣提出法律案、いわゆる「閣法」という万全
の態勢で「出入国管理及び難民認定法」改正案が衆参両院に提出され、7月8日に可決、7月
15日に公布に至っている。

 つまり、許世楷氏の代表時代が改正法案にとってはもっとも試練のときであり、馮寄台
氏が代表に就任した2008年9月の段階では、改正法案はほとんど固まっていたという状況な
のだ。

 許世楷氏は言う「在日台湾同郷会や日本李登輝友の会などが署名活動などで外登証問題
の解決に向けて後押しし、それを背景に熱心な国会議員が動いて政府や官庁を動かして実
現できた」と。

 法務省内にも法改正に熱心な官僚がいたことも見逃せないが、連根藤氏が始めた台湾正
名運動の前哨戦は林建良氏の台湾正名運動という奔流となり、この台湾正名運動が代表処
や国会議員を動かし、法務省を動かし、政府を動かしたと結論づけていいだろう。

◆台僑旅日居留[上下] 國籍正名「台灣」
 【中國時報:2012年7月10日】
 http://news.chinatimes.com/politics/11050201/112012071000146.html


◆新しい日本の在留カード、国籍欄に「台湾」と表記される喜び
【サーチナニュース:2012年7月12日】
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0712&f=national_0712_044.shtml

 7月9日、日本は外国人登録制度を廃止し、新たな在留管理制度を導入した。在留資格を
持ち日本に中長期間在留する外国人を対象に、その在留状況を継続的に把握するのが新制
度。氏名等の基本情報や在留資格と期間を記載し、顔写真が張られた在留カードが交付さ
れるという。

 そして台湾の人々にとって大きく変わった点が、「中国」と表記されていた国籍欄が
「台湾」になること。台湾メディアが、手続きを済ませた台湾人にインタビューしその喜
びを伝えた。

 日刊紙「聯合報(ユナイテッド・デイリー・ニュース)」は、「日本に50年間住んでい
る76歳の連根藤さんが、9日朝早くに東京都入国管理局に行き手続きをした」と報道。

「台湾は私にとって、“愛する人たち”よりも大切な存在です。やっと台湾人という身分
をもらうことができ、本当にうれしい。

 この制度が施行されたのは、5月に台湾に帰った台北駐日経済文化代表処の馮寄台元代表
のおかげ。でもその前の羅福全、許世楷という2人の代表や、台湾同郷会、李登輝友の会の
みなさまが長年に亘って努力をし続けてきた結果だと思っています」

という、連根藤さんのことばを紹介した。

 また、東京入国管理局の君塚宏・第一次長の「日本政府の立場は、台湾に対して何の変
更もありません。今後はパスポートで確認します」という台湾メディアに向けたコメント
も掲載している。

 在留管理制度によって、在留期間の上限が3年から5年に延び、1年以内の再入国は許可手
続きが原則不要になったなど在留外国人にとってのメリットもある。何はともあれ日本に
住む台湾の人々は、新たに手に入れた在留カードの国籍・地域欄に記載された「台湾」と
いう文字を見る度に、喜びが込み上げてくることだろう。(編集担当:饒波貴子・黄珮君)

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