台鉄が日本の鉄道20社超と提携する「真の目的」 大坂 直樹(東洋経済記者)

本誌でたびたび紹介しているように、日台間では近年、鉄道提携が急増している。本会の調査では、1986年1月25日に大井川鐵道と阿里山森林鉄道が「姉妹鉄道」を締結して以来、今年の7月22日に青い森鉄道と台湾鉄路管理局縦貫線(台中〜高雄間)が「姉妹鉄道協定」の締結に至るまで38件を提携している。

 大井川鐵道と阿里山森林鉄道が「姉妹鉄道」締結から27年後の2013年4月20日、日台間で2番目となるに黒部峡谷鉄道と阿里山森林鉄道による「姉妹鉄道」が結ばれ、これ以降、急増した。2013年:3件、2014年:4件、2015年:8件、2016年:8件、2017年:5件、2018年:5件、2019年:4件=合計38件という具合だ。

 もちろん、日台双方で観光客の獲得という狙いがあることは確かだが、台湾側には特別の理由があるのではないかと、「東洋経済」記者の大坂直樹(おおさか・なおき)氏が紹介している。国交を持つ国がわずか15ヵ国、国際機関からも中国の圧力で閉め出される台湾ならではの背景があるのではないかという。

 大坂記者が指摘する観点から日台の鉄道提携を見直してみると、まったく別の様相を呈してくるから不思議だ。台湾がなぜこれほど日本との鉄道提携に力を入れるのだろうという疑問も、解けはじめたように思う。下記に記事の全文をご紹介するとともに、別掲で本会が調査した「日台『姉妹鉄道』一覧」を紹介したい。

—————————————————————————————–台鉄が日本の鉄道20社超と提携する「真の目的」─ 日本からの観光客誘致よりも重要だった大坂直樹(「東洋経済」記者)【東洋経済:2019年11月5日】https://toyokeizai.net/articles/-/311973

 日本の鉄道業界では、台湾の国鉄に当たる台湾鉄路管理局(台鉄)と提携する動きが続々と増えている。

 今年7月、青森県などが出資する第三セクターの青い森鉄道が台鉄の縦貫線と姉妹鉄道協定を結んだ。協定締結を機に台湾と青森県の相互交流の拡大を図る。台湾の台北駅で行われた締結式典には、青森県知事と台湾政府の交通部長(国土交通大臣に相当)も立ち会いとして参加。相互交流に向けた両者の意気込みが伝わってきた。

◆台鉄と提携する日本の鉄道は20社超

 今年6月には熊本県や鹿児島県などが出資する第三セクターの肥薩おれんじ鉄道が台鉄屏東線・南廻線と姉妹鉄道協定を結んでいる。

 第三セクターだけではない。JRでも台鉄と提携する動きがさかんだ。2015年にJR東日本の東京駅が台湾・新竹駅と、JR西日本の大阪駅が台北駅と、それぞれ姉妹駅協定を締結している。また、JR四国と台鉄はどちらも「松山」という駅があることから、2013年に友好駅協定を締結、JR北海道の蒸気機関車C11も2012年に台鉄の蒸気機関車と姉妹列車提携を結んでいる。

 大手私鉄では東武鉄道、京浜急行電鉄、西武ホールディングス、近鉄グループホールディングスが台鉄と提携している。持ち株会社が台鉄と提携する場合は、鉄道事業に限らず、観光やレジャーなど幅広い分野での連携が想定されている。

 こうした日本の鉄道会社と台鉄との提携事例は20を超える。なぜ、それほど多くの鉄道会社が台鉄と提携したがるのだろうか。

 各社の中では比較的早い2014年に台鉄と提携したいすみ鉄道前社長の鳥塚亮氏(現・えちごトキめき鉄道社長)は、「もともとは日本の鉄道ファンに台湾の鉄道を紹介するのが目的だった」と話す。台湾には日本の古き良き時代の鉄道風景がたくさん残っている。日本の鉄道ファンに台湾を訪れてもらいたいと考えたのだ。

 鳥塚氏が台湾の旅行会社に話を持ちかけて実現した「台湾鉄道三昧の旅」は2013年から2017年にかけ10回実施、いずれも大盛況だったという。「そのご縁で、提携の話がまとまりました」。

 台鉄と提携すると、台鉄の主要駅にポスターが掲示されるなどのPR展開をしてもらえる。いわば無料で宣伝してくれるわけだ。これは、自力で海外に広告を出す力のない鉄道会社にとっては、非常に魅力的だ。

◆「日本の旅行者ももっと台湾へ」

 鉄道会社の沿線自治体にとってもメリットは大きい。鉄道に乗りに来るということは、その沿線に観光客がやってくることを意味するからだ。

 いすみ鉄道がメディアで盛んに取り上げられることで、いすみ市の大原漁港の朝市にも多数の観光客が訪れるようになったことがそのあらわれだ。

 インバウンドにもこの例は当てはまり、いすみ鉄道と台鉄の提携以降、朝市には台湾人の観光客グループの姿も見られるという。いすみ鉄道に限らず、多くの日本の鉄道会社が台鉄と提携する理由は、まさに台湾からの観光客獲得という点に尽きるだろう。

 では、台湾側は、現在の状況に満足しているのだろうか。台湾の観光政策の責任者である台湾交通部の周永暉・観光局長は、「台湾から多くの旅行者が日本の鉄道に乗りに行っているが、日本の旅行者ももっと台湾の鉄道に乗りに来てほしい」と話す。

 周局長は台鉄の管理局長だった人物。台鉄時代に日本の多くの鉄道会社と協定を結んだ、いわば日台鉄道交流の立役者でもある。2015年に友好鉄道協定を結んだ京急と台鉄が今年8月22日、羽田空港国際線ターミナルで友好記念式典を開催し、周局長は式典のために来日した。

 最近は、日本のテレビでも台湾のローカル鉄道の魅力を伝える番組が見られるようになっており、台湾の鉄道に乗ってみたいと考える日本人旅行者も多いはず。だが、台湾から日本へは2018年に470万人がやってきたのに対して、台湾を訪れる日本人の数は増加傾向にあるとはいえ、2018年で196万人にとどまる。

 この状況を考えると、台湾側が「日本の旅行者にもっと台湾の鉄道に乗りに来てほしい」と考えるのも無理はない。

 しかし、台鉄が20社を超える日本の鉄道会社と提携する理由は別にあるとする見方もある。「日本の多数の鉄道会社と提携しているということを、市民に誇示したいのではないか」と、台鉄と提携している、ある鉄道会社の幹部が語る。

 台鉄は「鉄路弁当節」というイベントを毎秋、台北駅で開催している。基本的には、台湾の鉄道旅行や駅弁の魅力を広く伝える内容だが、日本の鉄道会社も多数参加し、自慢の駅弁を販売している。

 過去にこのイベントに参加した実績のある日本の複数の鉄道会社によると、「鉄道会社1社につき、2人分の往復航空券と、人数に関係なく合計で12泊分の宿泊費が出る」という。

 海外で駅弁を販売するのは容易ではない。日本で作った駅弁を空輸するか、あるいは現地の食材を使って駅弁を作るにしても、日本国内で製造するのとはコストがまるで違い、とても利益は出ない。大手鉄道会社はともかく、地方の三セクは高コストを理由に参加を躊躇しても不思議はない。そのため、台鉄が旅費を負担して日本の鉄道会社に参加してもらっているのだ。

◆国際的なプレゼンス維持も狙い?

 しかも、鉄路弁当節に参加するのは日本の鉄道会社だけではない。フランスやスイスの鉄道会社も参加しているのだ。

 「日本だけでなく欧州の鉄道会社とも友好関係を持っていることを国際社会に示す格好のアピール材料」(前述の鉄道会社幹部)というわけだ。弁当イベントの旅費程度で国際的なプレゼンスを維持できるなら安いという判断だろう。

 日本との関係性を強固にしたいと考えるのであれば、台鉄単体で20社を超える日本の鉄道会社と提携するのも合点がいく。そもそも、冒頭の青い森鉄道の例のように、提携の締結式を行うたびに企業や地方行政のトップが訪台してくれるのも、台湾にとってはありがたい話。提携先が増えれば増えるほど、関係性は強固になる。台鉄と日本の鉄道会社との提携はまだまだ増えるかもしれない。

 とはいうものの、こうした鉄道会社レベルの提携よりも、個人レベルの交流を積み重ねるほうが、日本と台湾の関係はより強固なものになるはずだ。「日本の旅行者にもっと台湾の鉄道に乗りに来てほしい」という周局長の発言の内側には、さまざまな想いが隠されているのだ。

              ◇     ◇     ◇

大坂直樹(おおさか・なおき)「東洋経済」記者

1963年北海道生まれ、埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社勤務を経て2000年に東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』『会社四季報』副編集長、小売り、自動車、化学などの業界担当記者を歴任。現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。東洋経済オンライン「鉄道最前線」や毎年恒例の「鉄道特集号」企画・編集も担当。日本証券アナリスト協会検定会員。目標のJR全線完乗は近隣・鶴見線の一部区間を残すのみだが、未完のままにしておくほうがかえってロマンがあるのではと思案中。

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