台湾団結連盟が乾坤一擲の賭けに出た [宮崎 正弘]

台湾団結連盟が乾坤一擲の賭けに出た [宮崎 正弘]
総選挙直前「格差是正、弱者救済」のシンポジウム

 先にお知らせしましたように、11月10日、11日、台北市内の圓山大飯店において、李
登輝前総統が主宰するシンクタンク「群策会」主催の台日国際シンポジウムが開催され
ました。シンポジウムのテーマは台湾ではほとんど取り上げられない「貧富格差の是正
と、社会的弱者救済(社会保障)制度」。

 本会はこのシンポジウムの日本側窓口を担当し、「貧富格差の是正」では、大矢野栄
次(久留米大学経済学部教授)、中津川博郷(前衆議院議員)、宮崎正弘(評論家)、
藤井厳喜(国際問題アナリスト)、「社会的弱者救済制度」では、天目石要一郎(武蔵
村山市議)、新田目夏実(拓殖大学国際開発学部教授)、善家ひろ子(武蔵村山市議)、
小磯明(東京都議会議員)、宇田晴夫(介護施設経営者)の9名の専門家を編成しまし
た。

 10日は李登輝前総統の基調講演、続いて「貧富格差の是正」、11日午前は「社会的弱
者救済制度」、午後は全体討論会が黄昆輝・群策会副理事長をコーディネーターに、黄
天麟(台日文化経済協会副会長)、林億萬(台湾大学教授)、宮崎正弘、藤井厳喜の4
氏をパネリストに行われました。

 12日午前は台湾団結聯盟本部において、「社会的弱者救済制度」の普及をテーマに立
法委員選挙に出馬予定の江偉君さんの司会により、天目石要一郎、新田目夏実、善家ひ
ろ子、小磯明の4氏が登壇して「社会的弱者救済制度」をテーマに行われました。

 パネリストとしてご参加いただいた本会理事でもある宮崎正弘氏が昨日発行のメール
マガジン「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」で、ご自分の発言要旨を紹介しつつ、台
湾団結聯盟の動きを踏まえた台湾の立法委員選挙分析もしていますので、ここにご紹介
します。

 なお、後日、李登輝前総統の基調講演やシンポジウムの詳しい報告を本会ホームペー
ジに掲載する予定です。                        (編集部)


台湾団結連盟が乾坤一擲の賭けに出た
総選挙直前「格差是正、弱者救済」のシンポジウム

【11月13日発行「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」第1998号】

 李登輝前台湾総統率いる「台湾団結連盟」(黄昆輝主席)は台湾の国会で現有十二議
席。ところが、来年一月総選挙で国会議員の定数が半減される(225名一院制議会は113
名、小選挙区制へと移行する)。

 二大政党化への流れは明瞭である。

 野党は「国民党」が「親民党」を吸収しつつあり、各選挙区では万全の体制つくり。
小選挙区制となれば、官僚機構と行政をいまも掌握している国民党が圧倒的有利であ
る。

 一方の与党は「民進党」と「台湾団結連盟」の“選挙協力”がまったく進んでいない。

 ひとつには李登輝前総統のカリスマ性で持っているミニ政党組織ゆえに、そのこと自
体がもつ選挙戦の脆弱性、しかし最大の理由は李総統が民進党批判のトーンをあげ、と
りわけ陳水扁総統批判が続いたため、なかには組織的な動揺に悩まされている。

 げんに団結連盟の有力国会議員4名が、ここへきて2人が民進党へ、ひとりは離党を
余儀なくされた。

 率直に言って現有議席確保は難しいばかりか、一議席の確保も困難な懼れがでてきた。
そこで、乾坤一擲の政治的賭けにでた、と思われる。

 農民と労働組合、低所得者層に台湾団結連盟は、そのターゲットを絞ったのである。
格差是正、弱者救済をミニ政党の政策キャンペーンとして、乗り出したのだ。

 その一環なのか、どうか、李登輝総統率いるシンクタンク「群策会」が、このテーマ
でのシンポジウムを開催し、じつは小生もパネラーの一人として出席を要請された。

 台北のシンポジウムで、小生は次の趣旨の分析を行った。

▼安倍敗因も「地域格差」が主因だった

 筆者の見るところ92年の米国大統領選挙から大きく流れが変わっている。当時、だれ
もがパパブッシュの再選を予測していた。わたしは91年夏の段階でブッシュの当選は危
ういと予測した。

 案の定、アーカンソウ州知事の、全米的には無名で「馬の骨」だったクリントンが、
終盤で圧倒的人気を誇ったパパブッシュをうち負かした。

 奇跡の勝利はなぜおきたのか。

 湾岸戦争の勝利に、往時は91%もの高い支持率を誇ったブッシュは、選挙期間中、ス
ーパーマーケットを視察して物価をまったく知らなかった。選挙民は驚き呆れた。

「この人は庶民の味方ではない」と。

 96年選挙は、ITデバイド、その格差を逆利用して、時代の潮流を認識できなかった
共和党の大物ドールを軽々とやぶってクリントンは再選された。

 次期米国大統領はヒラリーでほぼ決まりだろう。

 彼女は、イラクでもイランでも北朝鮮でもない、「所得格差」と「弱者救済」を主張
している。

 医療制度改革と保険制度改革。まさに、これぞ小泉「郵政改革」を越える大論議、し
かも共和党よりの保険会社を敵に回して挑む。

 これが抵触特赦、黒人、ヒスパニックの圧倒的支持を得ている。

 安倍政権は、なぜ突如崩壊したのか。地域格差是正にうまく立ち向かえず、まして国
民の最大の関心事である保険に無力を曝した。(マスコミの巧妙な攻撃に周囲が対応で
きなかった)。

 いずれも「格差是正」と「弱者救済」である。

 李登輝前総統は、この世界の流れを先取りしていると思われる。

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