――「ポケット論語をストーブに焼べて・・・」(橘52)橘樸「『官場現形記』研究」(大正13年/『橘樸著作集第一巻』勁草書房 昭和41年)

――「ポケット論語をストーブに焼べて・・・」(橘52)橘樸「『官場現形記』研究」(大正13年/『橘樸著作集第一巻』勁草書房 昭和41年)
【知道中国 2091回】                       二〇・六・念二

――「ポケット論語をストーブに焼べて・・・」(橘52)

橘樸「『官場現形記』研究」(大正13年/『橘樸著作集第一巻』勁草書房 昭和41年)

さて「四項制度」とは? そこで各制度の細目を見ると、

最初が「法治政府四項制度」で、「重要国有資産処理監査制度/重要資源開発利用項目監査制度/重要投資項目監査・決算制度/重要財政追加予算・支出監査制度」が列記されている。

続く「責任政府四項制度」は「行政問責制度/服務承諾制度/上司問責制度/期間内完結制度」。

よく分からないのが「陽光政府四項制度」だが、「重要施策公聴制度/重要項目公示制度/重点工作通報制度/政務情報審査制度」と記されているところから判断するなら、高い透明性と住民本意の政策を進めようというのだろう。

最後が「功能政府四項制度」で、「行政成果点検制度/行政コスト削減制度/行政行為監督制度/行政能力向上制度」となっている。

この方針が徹底され、市政府関係者全員が粉骨砕身して執務に励む、などと期待するのは、やはりムリな相談というもの。なんせ「公財私用(ヒトのモノはオレのモノ)」が大原則だから。

その隣には、全員が拳々服膺すべき2種類の細則が別に掲げられていた。

先ず「行政問責事項」だが、「こんなことをすると責任を問われ罰せられるぞ」といったところで、「(一)命令事項を執行せず、禁止事項を行う。(二)独断専行し、施策を誤る。(三)職権を濫用し、違法な行政を進める。(四)ダラダラ仕事を引き延ばし、責任を転嫁する。(五)積極的でなく、日々を凡庸無為に送る。(六)上司を騙し部下にウソをつき、デタラメに振る舞う。(七)執務態度は冷酷で、仕事ぶりは粗暴である。(八)公費を浪費し、遊興に明け暮れる。(九)業務を秘密裏に処理して、監督逃れを図る。(十)監査に努めず、いい加減に処理する」の10項目である。

続く「国家工作人員十条禁令」は、「一、本来の職務を遂行せず、職務を疎かにすることは厳禁。二、ウソで固め、上司を騙し部下を誑かし、業務を執行せず、引き伸ばすことは厳禁。三、物資購入の際に横流し、公共工事入札の際に手心を加えることは厳禁。四、職務権限をタテに相手業者に金銭、食事を強要することは厳禁。五、賭博に加わることは厳禁。六、公共の場での麻雀は厳禁。七、飲酒でイザコザを起こし、業務に支障をきたすことは厳禁。八、勤務時間中に本来業務を怠ることは厳禁。九、公金を高額遊興費に流用することを厳禁。十、如何なる理由があれ薬物の使用を厳禁」と10項目である。

ザっと見ただけでも、こういった“犯罪行為”が日常的に行われているからこそ、特に「厳禁」を申し付けねばならないのだろう。

ゴ丁寧にも「行政機関八項工作承諾」も張り出されていた。「(一)窓口では冷たく扱わない。(二)仕事は手早く遅滞なく。(三)業務上の誤りは起こさない。(四)職務上野の秘密を漏洩させない。(五)団結を乱す言動をとらない。(六)違法・不法行為をしない。(七)役所に悪影響を与える行為をしない。(八)市民の不利益にならない」と箇条書きされていたが、日常業務執行の際、こんな振る舞いをしませんとの決意表明に違いない。だが、ここから下級役人は日頃からマトモに「工作」してはいないことが十分に見て取れるはずだ。

芒市人民政府の壁に所狭しと張り出されていた種々雑多な告示やら注意書きは、「百吏は恭倹敦敬忠信・・・自宅の門を出ると官衙に、官衙を出れば自宅に直行して私事なし。上司に追従せず同輩と徒党を組まず、高く心を持って万事に精通し私心なし」という『荀子(彊国篇)』教えは、数千年を経た現在でも守られていそうにないことを物語る。《QED》

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