12月23日にバイデン大統領が署名して成立した2023会計年度(2022年10月〜2023年9月)の国防権限法の予算総額は約8580億ドル(約114兆円)で過去最高額だった。対中抑止力を強化するため、台湾に5年間で最大100億ドル(約1兆3600億円)の軍事支援を行うことや、毎年、米政府職員5〜10人ほどを台湾に派遣し、1年目に中国語を学んだ上で2年目に台湾の行政機関などで勤務させることなどを盛り込んでいる。
バイデン政権の対中抑止力を強化は、台湾への武器供与にも明確に表れていて、2021年1月の政権発足後、7ヵ月も経たない8月に第1回目の武器供与があり、今年に入ってから9月までに6回、そして12月6日には7回目の武器供与を発表していたが、12月28日には、中国との戦力差が大きいことから非対称戦を強いられている台湾には有効な対戦車地雷散布装置や重高機動戦術トラックなどの供与を発表した。これで8回目の武器供与となった。
下記にこれまでの武器供与の内容を紹介し、併せて中央通信社の記事も紹介したい。
◆バイデン政権の台湾への武器供与
・1回目:2021年8月4日 155ミリ自走榴弾砲40輌や弾薬補給車20輌、先進野戦砲兵戦術情報システム1組などなどの供与を国防省が承認 して議会に通知。
・2回目:2022年2月7日 5年間にわたるミサイル防衛システムの維持、保全、改良を目的とした計画のための軍事関連装置とサービスを 供与することを国防省が承認して議会に通知。
・3回目:2022年4月5日 地対空ミサイル「パトリオット」に関する訓練や保守などの技術支援や関連装備の供与を国防省が承認して議 会に通知。
・4回目:2022年6月8日 中国軍の航空機や船舶による台湾周辺の海域や空域での活動が活発化していることから、軍艦を適切な状態に 維持するのに役立つ艦艇用の部品や関連装備など1億2000万米ドル(約160億6600万円)の供与を国防省が承認 して議会に通知。
・5回目:2022年7月15日 戦車や戦闘車両を補修するための整備に関する技術支援と関連装備として、総額1億800万米ドル(約150億円) 規模の供与を国防省が承認して議会に通知。
・6回目:2022年9月2日 ミサイル早期警戒レーダーシステム、地上配備型対艦ミサイル「ハープーン」、空対空ミサイル「サイドワイ ンダー」など総額11億ドル(約1530億円)規模の供与を国防省が承認して議会に通知。
・7回目:2022年12月6日 F16戦闘機を含む米国の技術を使用した軍用機やシステム向けの部品4億2800万ドル(約585億円)相当の供与 を国防省が承認して議会に通知。
・8回目:2022年12月28日 対戦車地雷散布装置「ボルケーノ」や重高機動戦術トラック「M977A4 HEMTT」など1億8000万ドル(約240億円) 相当の供与を国務省が承認して議会に通知。
—————————————————————————————–米国、台湾に240億円相当の武器売却=今月2度目の発表 総統府が感謝【中央通信社:2022年12月29日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202212290004
(台北中央社)米国防安全保障協力局(DSCA)は28日、台湾への1億8000万米ドル(約240億円)相当の武器売却を国務省が承認したと発表した。米政府が台湾への武器売却を発表するのは今月に入って2度目。バイデン政権下では8度目となる。総統府は29日、米政府が台湾の安全保障に関与し続けていることに謝意を表明した。
売却が発表されたのは、対戦車地雷散布装置「ボルケーノ」や重高機動戦術トラック「M977A4 HEMTT」など。
DSCAは、今回の武器売却は台湾の軍隊の現代化や信頼できる防衛力の維持を支援するものだとし、米国の国家や経済、安全保障における利益に合致していると説明した。
米国は今月6日にも台湾への4億2800万ドル(約585億円)相当の武器売却を発表していた。
総統府の張惇涵(ちょうじゅんかん)報道官は報道資料で、今回売却される武器の一つである高機動性を有する地雷散布装置は「台湾の非対称戦力向上に役立つ」と評価し、台湾は自己防衛の決意を示し、軍民が一体となって国を守る「全民国防」の戦力強化を引き続き行っていくとした。
(江今葉、温貴香/編集:名切千絵)
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