「台湾詣で」ラッシュ! 本日からリトアニアの副大臣一行が訪台

 本誌前号(6月10日号)で「欧米議員らの台湾詣でが相次ぐ理由」と題して、産経新聞の矢板明夫・台北支局長が「蔡政権が推進する民主主義と自由を重視する価値観外交が奏功し、中国の外交圧力が効かなくなりつつあることなどが背景にあるとみられる」との見立てを述べた記事を紹介しました。

 現在、台湾には8日からフランスの元老院(上院)の外交・国防委員会副委員長を務めるゲリオ外交・国防委員会副委員長を団長とする超党派5議員一行が訪問中で、13日に帰国予定だそうですが、なんと今日からはリトアニアの経済・イノベーション省副大臣一行が15日までの予定で訪台しました。

 まさに「台湾詣で」ラッシュと言っていい現象です。5月からの動きをまとめてみますと下記のようになります。

・5月03日 日本から、自民党青年局の小倉將信・局長を団長に、鈴木憲和・局長代理、鈴木隼人・国際部長、山口晋・ 国際部副部長、西野太亮・国際部副部長の5人の衆議院議員と日本青年会議所幹部らの11人(〜5月7日)・5月30日 米国から、タミー・ダックワース上院議員(民主党)一行(〜6月1日)・6月05日 スロバキア共和国から、ミラン・ローレンチク国会副議長や親台湾派グループの代表を務めるピーター・オ ススキー議員、ブラチスラバ県のジュラジ・ドロバ県知事など国会議員や自治体首長など10人(〜6月10日)・6月08日 フランスから、元老院(上院)の外交・国防委員会副委員長を務めるゲリオ外交・国防委員会副委員長を団 長とする超党派5議員(〜13日)・6月12日 リトアニアから、経済・イノベーション省副大臣を団長とする企業経営者など10人(〜6月15日)

 リトアニアは昨年11月18日、事実上の大使館となる代表事務所に「台湾」を冠した「駐リトアニア台湾代表処(駐立陶宛台湾代表処)」を正式に開設したことで知られていますが、昨年5月20日には、リトアニア議会が中国による新疆ウイグル自治区のウイグル族への圧力をジェノサイドと認定する決議案を可決し、中国中東欧首脳会議からの離脱を宣言しました。

 また、これも昨年のことですが、9月21日にはリトアニア国防省傘下の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は中国のスマートフォンメーカー「シャオミ」が欧州で販売する製品に「Free Tibet」(自由チベット)、「Longlive Taiwan independence」(台湾独立万歳』、「democracy movement」(民主運動)といった言葉を検出・検閲する機能が組み込まれていたと発表し、保有している場合は処分し、これから買おうとしている場合も中国製は買わないようにとも勧告していました。

 そして11月3日には、欧州連合(EU)の欧州議会がリトアニアのアンドリュス・クビリュス元首相も加わった公式代表団を台湾に派遣し、11月28日には、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国の国会議員団10人が台北で開催されたフォーラム「2021年開放国会論壇」に参加するために訪台しています。

 今回の訪台は、初のリトアニア一国による訪台団です。それも副大臣を団長としています。リトアニアが中国と距離を置く一方で台湾との関係を強める動きは、欧州連合(EU)の支持もあり、強まりこそすれ弱まることはなさそうです。

 今後も本誌は、ヨーロッパと台湾の関係に注目していきます。

—————————————————————————————–リトアニア副大臣が12日訪台【時事通信:2022年6月11日】

 【台北時事】台湾外交部(外務省)は11日、リトアニアの経済・イノベーション省副大臣が12日から4日間の日程で台湾を訪問すると発表した。

 外交部によると、昨年11月に事実上の大使館となる「台湾代表処」がリトアニアに設置されて以降、副大臣級の経済貿易当局者の訪台は初めて。

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