北京冬期オリンピックを最大限利用した中国

 本誌2月18日号で、オリンピック組織委員会の厳家蓉・報道官が2月17日の定例記者会見において、中国のウイグル族弾圧について「嘘だという証拠がさまざまな団体から出ている」と否定し、台湾についても「中国は世界に一つだけだ。台湾が中国の不可分の一部であることは国際社会で認められて」いると答えたことを紹介した。

 台湾が厳重抗議をしたのももっともなことだ。

 ◆北京五輪組織委「台湾は中国の一部」発言 外交部が厳重抗議  https://japan.focustaiwan.tw/cross-strait/202202190006

 時事通信も、厳家蓉・報道官の発言は「中国の異質ぶりを改めて示した」と伝え、「五輪を政治的に最大限利用したのは間違いなく中国だった」と指摘する記事を出した。下記にご紹介したい。

—————————————————————————————–際立った政治利用=習氏3期目へ実績─北京五輪〔五輪〕【時事通信:2022年2月20日】

 【北京時事】北京冬季五輪が20日閉幕し、今秋の中国共産党大会で異例の3期目入りが確実視される習近平国家主席(党総書記)の実績がまた一つ加わった。

 「外交ボイコット」に踏み切った欧米諸国を「スポーツの政治化に反対する」と批判しながら、五輪を政治的に最大限利用したのは間違いなく中国だった。

 過去最多のメダル15個を獲得した中国選手団の活躍と、新型コロナウイルス禍が世界で続く中での2度目の五輪「成功」は、国威発揚の役割を存分に果たした。国営メディアは「五輪を通じ、信頼され、愛され、尊敬される中国を世界は見た」と自賛する。

 しかし、17日の国際オリンピック委員会(IOC)の定例記者会見で、大会組織委員会の厳家蓉報道官は「台湾は中国の一部だ」「新疆ウイグル自治区での強制労働はでっち上げだ」とまくし立て、中国の異質ぶりを改めて示した。五輪の政治的中立を侵しかねない言動だが、中国国内で評価されることはあっても批判されることはない。

 中国は4日の開会式で聖火リレーの最終走者の一人にウイグル族の女性選手を起用し、人権弾圧批判に反論。国営テレビの中継は、台湾の代表団を「中華台北」ではなく「中国台北」と呼び、「現状変更」を試みた。ドーピング問題で本来出席できないロシアのプーチン大統領を特例で招待して「主賓」扱いしたのも、欧米に対抗する意図があるのは明らかだ。

 習氏は16日発売の党理論誌「求是」で、「決して西側諸国の法治体系を基準にしたり、『追っ掛け』をしたりしてはいけない」と強調した。増大した国力を背景に国際秩序の変更を目指す中国と、欧米を中心とした民主主義陣営との対立は解消しそうにない。

 北京では例年通り3月5日から重要な政治イベント、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が始まる。同4日から始まる冬季パラリンピックとは関係なく、党大会に向けた「政治の季節」が本格化する。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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