米国とEUも中国の「一方的で問題ある行動」を強く懸念する共同声明を採択

 米国とヨーロッパ連合(EU)は12月と3日にワシントンにおいて、対中国政策とインド太平洋への関与をめぐる協議を行い、南シナ海・東シナ海や台湾海峡における中国の「一方的で問題ある行動」に強い懸念を表明する内容の共同声明を採択した。

 産経新聞は「特に『ウイグルやチベットの民族的、宗教的少数者への組織的弾圧、香港の自治や民主主義の侵害』に対して継続的な情報交換や協力の重要性を確認した」「中国による経済的な威圧には、経済・技術力の立て直し、供給網の多様化・強化で対抗する。南シナ海や台湾海峡の平和と安定を乱す中国の行動は『米国とEU双方の安全と繁栄に直接影響を与える』と声明に明記し、共同して対処する考えで一致した」と伝えている。

 ヨーロッパ各国が次々と中国離れを起こすとともに台湾支持を強める背景に、米国の存在がある。バイデン大統領は6月13日の先進7ヵ国首脳会議(G7サミット)に出席した翌6月14日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席、「中国の野心と強引なふるまいはルールに基づく国際秩序とNATOが関わる安全保障への挑戦」とし、日本や韓国、オーストラリアなどアジア太平洋の各国との連携を強化する方針の共同宣言を採択している。

 周知のように、北大西洋条約機構(NATO)には30ヵ国が参加している(外務省)。

 アイスランド、アメリカ合衆国、イタリア、英国、オランダ、カナダ、デンマーク、ノルウェー、フランス、ベル ギー、ポルトガル、ルクセンブルク(以上原加盟国)、ギリシャ、トルコ(以上1952年2月)、ドイツ(1955年5月 当時「西ドイツ」)、スペイン(1982年5月)、チェコ、ハンガリー、ポーランド(以上1999年3月)、エストニア、 スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア(以上2004年3月)、アルバニア、ク ロアチア(以上2009年4月)、モンテネグロ(2017年6月)北マケドニア(2020年3月)  バイデン大統領がG7サミットの翌日に北大西洋条約機構の首脳会議に出席したことがヨーロッパの中国離れと台湾支持を強めている奏功しているようだ。

—————————————————————————————–米・EU、中国の「一方的で問題ある行動」を強く懸念=共同声明【ロイター通信:2021年12月3日】

 [ワシントン 2日 ロイター]  米国と欧州連合(EU)は2日、南シナ海・東シナ海や台湾海峡における中国の「一方的で問題ある行動」に強い懸念を表明した。

 米国務省のシャーマン副長官とEUのサンニーノ対外行動庁事務総長の会談後、共同声明を出した。米・EUの中国に関する高官協議は5月に続き2回目。

 声明は、米国とEUがそれぞれ、経済成長の促進や中国との可能な分野での協力および中国との体系的競争の管理に取り組むにあたり、互いのアプローチについて緊密なやりとりを維持することが重要だと強調。

 今回の会談では新疆ウイグル自治区とチベットでの宗教的少数派の弾圧や香港の自治の後退を含む権利侵害について協議したと説明した。また、中国が後ろ盾となっている偽情報に関し、米・EU間の情報共有を深化させる用意があると表明した。

 南シナ海・東シナ海や台湾海峡における中国の「一方的で問題ある行動」は地域の平和と安全を損ねるとともに、米・EU両方の安全保障および繁栄に直接的影響を及ぼしているとした。

 シャーマン、サンニーノ両氏は、3日もインド太平洋に関する協議の一環として中国に関する意見交換を続ける見通し。

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