その中でも、飛虎将軍として杉浦茂峯・海軍兵曹長(戦死後に少尉)を祀る台南市の鎮安堂飛虎将軍廟は日本でもよく知られるようになっている。
昭和19年(1944年)10月12日、杉浦兵曹長は台南沖航空戦で零戦に搭乗して米軍機を迎え撃つも被弾。集落への墜落を避けるため郊外まで操縦してから脱出したものの、落下傘で降下中に米軍機の機銃掃射を浴び戦死した。集落では結婚式が行われていたという。
身を捨てて住民の命を守ろうとした杉浦少尉を「神」と称えて奉斎したのが鎮安堂飛虎将軍廟だ。
杉浦少尉の出身地は茨城県水戸市。同じ茨城県内の笠間市には筑波海軍航空隊記念館があり、10月5日から来年3月30日まで「神様になった海軍パイロット─杉浦茂峰─飛虎将軍廟展」を開催している。下記に産経新聞の記事をご紹介したい。
なお、飛虎将軍廟や下記に紹介する産経新聞をはじめほとんどが杉浦少尉のお名前を「茂峰」と記しているが、杉浦少尉をご祭神として祀る靖國神社の表記は「茂峯」であることを付記しておきたい。
◆筑波海軍航空隊記念館:神様になった海軍パイロット─杉浦茂峰─飛虎将軍廟展開催 https://p-ibaraki.com/
・展示期間:2019年10月5日(土)〜2020年3月30日(月) ※毎週火曜日休館・料金:おとな500円、こども300円(常設展と合わせてご覧いただけます)・場所:記念館1階展示室
筑波海軍航空隊記念館笠間市旭町654 TEL/FAX:0296-73-5777【交通】JR常磐線 友部駅 「こころの医療センター行き」路線バスにて10分
—————————————————————————————–「神」になった零戦パイロット・杉浦茂峰兵曹長 5日から茨城で企画展【産経新聞:2019年10月4日】https://www.sankei.com/life/news/191004/lif1910040050-n1.html写真:台南市で「神」とたたえられている杉浦茂峰兵曹長(筑波海軍航空隊記念館提供)
先の大戦末期に台湾南部の台南市で戦死し、現地で「神」と呼ばれる水戸市出身の零戦パイロット、杉浦茂峰兵曹長をテーマにした企画展が5日、茨城県笠間市の筑波海軍航空隊記念館で始まる。
杉浦氏をまつっている台南市の「鎮安堂飛虎将軍廟(ちんあんどうひこしょうぐんびょう)」に注目し、その生涯を紹介する。同館の担当者は「杉浦氏が現代まで残した台湾とのつながりを感じてほしい」と話している。
台湾の人々が名づけた「飛虎将軍」という杉浦氏の呼び名は、その死にざまに由来する。
1944(昭和19)年10月、杉浦氏は、零戦パイロットとして台南市上空で米軍機と交戦中に被弾した。集落への墜落を避けるため郊外まで操縦して脱出、落下傘で降下したところで米軍機の機銃掃射を浴び、20歳の若さで戦死した。
死が迫る中で住民の命を守ろうとした杉浦氏をたたえ、地元の有志らは71(昭和46)年にほこらを建て、93(平成5)年に約160平方メートルの廟に建て直した。現在も「守り神」として手厚くまつられ、旅行者も多く訪れているという。
企画展では、台湾の廟文化にも触れながら、杉浦氏の生涯や、戦後の台南市と茨城県の交流の歩みをパネルなどで伝える。杉浦氏について記述した台湾の教科書や、親族の協力を得て杉浦氏の軍歴をまとめた一覧表なども展示する。
笠間市は、県内の市町村で初めて「台湾交流事務所」を台北市に設置するなど、台湾との関係強化に力を入れている。筑波海軍航空隊記念館の担当者は「企画展が、台湾との交流を深めるための力添えになればうれしい」と期待している。
来年3月30日まで。料金は大人500円、子供300円。問い合わせは同館(0296・73・5777)。(永井大輔)