7月12日、折しも蔡英文総統がニューヨークに滞在中に、中国外務省が恫喝するようなコメントを発表した。
アメリカが台湾に20億ドル(約2200億円)相当の戦車などの武器を売却することを認めたことに反発したもので、中国の王毅外相は「台湾の分離独立派に間違ったシグナルを送ってはならない。過ちを繰り返してはならない」と発言した。
台湾人から言わせてもらえば、過ちを繰り返しているのは中国のほうである。
台湾は中国の一部ではない。1万年の昔から、台湾は中国大陸とは別の歴史を歩んできた島である。「古(いにしえ)より台湾は中国に属さず」とは、1723年に清の皇帝雍正帝が言った言葉だ。
清朝の時代、台湾を福建省の植民地として役所を置いたことはあるが、それは長い台湾の歴史の上で唯一の期間であり、それを以って「ずっと中国の一部だった」とは言えないのは明らかである。もし、そう言えるなら、清朝よりずっと立派な植民地経営をした日本の一部であるとか、一番最初に台湾を植民地にしたオランダのものだという説のほうが説得力がある。
1945年、連合国の占領軍として、中国国民党は台湾に居留していた日本軍の投降を受理したが、その後も国際法に違反して台湾を占領し続けた。1949年には毛沢東に負けた蒋介石が中華民国体制と200万人の中国人難民を持って逃げ込んできたが、それが台湾が中国の一部であるという根拠にはならない。もちろん、我々は「中華民国」体制を終わらせ、真の「台湾国」「台湾共和国」を目指している。
いずれにしろ、中国に「分離独立派」などと呼ばれる筋合いはない。彼らこそ、「不当併呑派」である。彼らがチベットやウイグルをどのような目に合わせたか考えればお分かり頂けるだろう。
蔡英文総統は7月12日のニューヨークでの会合の席で、中国に対して、はっきり反論した。実に理路整然とした立派なコメントであった。
「われわれが防衛能力を強化する機会を模索するのは非常に正当なことだ。隣人はおきまりのように四の五の言う必要はない」
「台湾は拡張する独裁主義に立ち向かう民主主義のとりでだ」
「台湾がなければ、国際社会は重要な鎖の輪を失うことになる」と。
最後のコメントを日本人は他人事ではなく、真摯に受け止めるべきだろう。台湾を中国に取られたら、日本は安全保障も経済も全てをおびやかされることになる。
台湾が侵略されてから気が付くのでは遅い。今、あの強大な中国を相手にして必死に台湾を守っている女性総統を、日本人はもっと親身になって応援してしかるべきである。
世界一親日的な2300万人の台湾人の命運をこのまま見捨てるなら、近い将来、日本人は反日国家ばかりに囲まれて、容赦ない重圧のなかで苦労することになり、やがては香港、チベット、ウイグルのように消滅する可能性もある。