今後、法案は下院で審議されるが、両院の法案内容が異なる場合、下院通過後に一本化に向けた調整が行われ、両院が一本化法案を可決すれば、トランプ大統領の署名を経て成立することになっている。
この上院可決前日の6月26日、米下院情報特別委員会は「台湾で来年1月に行われる総統選で懸念される中国の干渉を阻止することを促す条項が盛り込まれた『2018、2019、2020会計年度情報機関授権法案』を全会一致で可決した」という。中央通信社が報じているので下記に紹介したい。
ちなみに、この法案が下院本会議で可決されると上院でも審議され、上院で可決され、両院の法案内容が異なる場合、下院通過後に一本化に向けた調整が行われ、両院が一本化法案を可決すれば、トランプ大統領の署名を経て成立するのは、「2020会計年度国防権限法案」と同じだ。
6月1日に米国国防総省が発表した「2019年インド太平洋戦略報告書」では、台湾を「国家(country)」と表記し、シンガポール、ニュージーランド、モンゴルとともに、地域のパートナーシップを強化する4つの民主主義の国家の一つとして取り上げ「信頼できる、有能で、米国の自然なパートナー」と位置づけた。恐らく、米国の公式文書で台湾を「国家(country)」と表記した初めてのケースではないか。国防総省の意気込みが伝わってくる表記だ。
国防総省も連邦議会も、共和党も民主党も、そしてトランプ大統領も、中国を主要脅威とみなし、台湾との関係を強化する点でほぼ完全に一致している。
蔡英文総統は7月11日から22日までハイチなど4ヵ国を訪問する。その際、トランジットのために行き2泊、帰り2泊で米国に立ち寄る。台湾では立ち寄り先をニューヨークとコロラド州デンバーだと報じている。ニューヨークだとすれば、総統に就いてから初めての訪問となる。米国の意向が反映される立ち寄り先に注目したい。
—————————————————————————————–米下院特別委、中国による台湾総統選への干渉阻止促す法案を可決【中央通信社:2019年7月3日】
(ワシントン 3日 中央社)米下院情報特別委員会は先月26日、台湾で来年1月に行われる総統選で懸念される中国の干渉を阻止することを促す条項が盛り込まれた「2018、2019、2020会計年度情報機関授権法案」を全会一致で可決した。
同法案は情報機関予算の授権条項やその他必要事項が組み込まれたもの。このうちの503条で、「台湾関係法」の規定に則った議会の要求として、中国による総統選への干渉や選挙を混乱させる行為、これらを阻止するための米国の努力を選挙終了後45日以内に報告することを国家情報長官に求めている。
報告の内容については、選挙に影響を与える中国の行為を台湾が見分け、阻止し、打破するための全ての努力を支援し、外来勢力が自由で平等な選挙に害を及ぼすのを防ぐ台湾の能力向上を支える上での米情報機関のスキルなどを説明すべきとされた。また、中国の行為の程度や詳細に関する評価、中国が支持する特定の政府・非政府組織のリスト提供、これら組織の役割の説明、中国の戦略や技術、手はずの確認なども求められる。
同法案は同委のアダム・シフ委員長(民主党)が提出した。下院本会議で可決されると、上院でも審議される。上下両院の法案の内容が異なる場合、下院通過後に一本化に向けた調整が行われ、両院が一本化法案を可決すれば、トランプ大統領の署名を経て成立する。
(江今葉/編集:塚越西穂)