台湾の声編集部(執筆/翻訳 T・B)
中国は武力を行使せず融和政策で台湾を併合しようとの対台湾工作を着々と進めている。
中国の対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室が2月28日に発表した「恵台31条(31項目の台湾”優遇”政策)」は、工作対象を従来の台湾企業(台商)のみならず、学生、教師、医者、芸能、出版にまで広げている。
これを受けて頼清徳行政院長は3月13日、不快感を示し、中国の政策は「恵台」ではなく「対台」と呼ぶべきと述べ、行政院は政府各部署に「対台」の呼称を統一使用するよう命じた。本記事でも「優遇」という文言に疑義を呈する意味を込めて、台湾”優遇”政策と呼称する。
31項目の台湾”優遇”政策は以下のとおり。中国側の使用する語彙や言い方、ニュアンスを伝えるため、中国側が発表した文言をそのまま訳した。
1.台湾同胞が大陸で投資する企業(以下、台資企業と略称す)で「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」アクションプランに参画する企業に対しては、大陸企業と同等の政策が適用される。台商が大陸でハイエンド製造業、インテリジェント製造、グリーン製造などの企業の設立に投資し、さらに地域統括会社や研究開発センターを設立することを支持し、税収や投資などに関する支持政策を享受できるよう支持する。
2.条件に符合した台資企業には法に準じてハイテク企業に対する15%の軽減税率と開発費用控除制度が適用され、大陸に設置した研究開発センターが大陸で設備を購買した際には付加価値税を全額返還するなどの優遇税制政策を享受できるよう支持する。
3.台湾の科学技術研究機関や高等教育機関、企業は大陸で独立法人の登録を行い、国家重点研究開発計画項目の牽引あるいは参画を申請することができ、大陸の科学技術研究機関や高等教育機関、企業と同等の政策を享受することができる。大陸で登録した独立法人によって招聘された台湾地区の科学技術研究者は、国家重点研究開発計画項目の責任者として申請することができ、大陸の科学技術研究者と同等の政策を享受することができる。台湾地区の知的財産権の大陸への移転は、大陸の知的財産権の奨励政策に則って実施することができる。
4.台資企業は特許経営方式によってエネルギー、交通、水利、環境保護、市政公共工事等のインフラ建設に参画することができる。
5.台資企業は政府の入札に公平に参加することができる。
6.台資企業は合弁合資、M&Aの方法によって国有企業の混合所有制改革に参画することができる。
7.台資企業には大陸企業と同等の用地関連政策が適用される。土地利用が奨励される台商投資工業項目には優先的に土地が提供され、地価の底値が確定した時、その土地の価格は大陸企業が工業用地とする場合の最低価格基準の70%を下回ってはならない。
8.中西部、東北地区では両岸企業の合作地区を今後も継続して設置してゆく。台資企業が中西部、東北地区に移転して「一帯一路」の建設に参画し、内需市場と国際市場を開拓してゆくことを奨励する。台商投資地区と両岸の環境保護産業が合作して基地建設の手本を示すことを大いに推進する。
9.台資農業企業は大陸農業企業と同等の農機購買補助金を享受でき、産業化重点企業等農業支持政策と優遇措置を享受できる。
10.台湾の金融機関や会社は法に準じて中国銀聯(ユニオンペイ)及び大陸の非銀行系第三者決済サービス業者と提携することができ、台湾同胞のために迅速に少額の決済サービスを提供することができる。
11.台湾の信用調査機関は大陸の信用調査機関と合作し、両岸同胞と企業のために信用調査を提供することができる。
12.台資銀行は大陸の同業者と協力し、協調融資(シンジゲートローン)等の方法により実体経済に金融サービスを提供することができる。
13.台湾の同胞は53項目の専門技術人員職業資格試験と81項目の技能人員職業資格試験を受けることができる。
14.台湾の専門人材は国家の「千人計画」に参加することができる。大陸で就労する台湾の専門人材は国家の「万人計画」に参加することができる。
15.台湾同胞は国家自然科学基金、国家社会科学基金、国家傑出青年科学基金、国家芸術基金など各種の奨学金を申請することができる。具体的な方法については関係部署が制定する。
16.台湾同胞が中華経典暗唱プロジェクト、文化遺産保護プロジェクト、非物質文化遺産伝承発展プロジェクト等、中華の優秀な伝統文化伝承発展プロジェクトに参加することを奨励する。台湾の文化芸術界の団体や個人が大陸が海外で開催する中国を知るためのイベントや中国文化年や中国文化祭典、春節などのイベント、「中華文化を外へ発信する」プロジェクトに参加することを支持する。条件に合致した両岸文化プロジェクトは海外の中国文化センターのリソースライブラリに組み込められる。
17.中華慈善賞、梅花賞、金鷹賞など経済、科学技術、文化、社会の各分野における各種の表彰の対象に台湾地区が含まれることを支持する。大陸で就労する台湾同胞は現地の模範労働者に与えられる「五一労働賞」、技術者は「三八紅旗手」などの栄誉ある称号の選考対象となることができる。
18.台湾人士は大陸のラジオ・テレビ番組や映画、テレビドラマの製作に参加する場合、数の制限を受けない。
19.大陸の映画発行機関、ラジオ・テレビ局、ビデオサイト、有線テレビは台湾で制作された映画、テレビドラマを数の制限なく導入する。
20.両岸が合作して制作する映画、テレビドラマの制作スタッフの構成比や中国的要素、投資額の比率等における制限を緩め、両岸合作映画の申請費用の徴収を取消す。また、両岸合作のテレビドラマの各エピソードに対する審査時間を短縮する。
21.台湾の図書輸入業務に対しグリーンゾーンを設置し、輸入審査を簡便化する。また、同時に輸入された台湾図書の関連手続きを優先的に行う。
22.台湾同胞が大陸の経済、科学技術、文化、芸術などの専門性の高い団体や業界協会に加入し、関連活動に参加することを奨励する。
23.両岸の教育文化科学研究機関が中国の文化、歴史、民族などの分野に関する研究や成果を応用することを奨励する。
24.台湾地区の両岸民間交流に従事する機関は両岸交流基金項目を申請することができる。
25.台湾同胞と関係団体が大陸の低所得者支援や、教育支援、公益、地域建設などの基層分野の事業に参画することを奨励する。
26.大陸の高等教育機関で臨床医学の専門修士学位を取得した台湾の学生は、大学院で一年間就学した後、大陸の医師資格試験への申込に関する関連規定に依って、受験申込を行うことができる。
27.大陸の医師資格証明書を取得した台湾同胞は、関連規定に基づき、大陸での就労を申請することができる。
28.条件に合致した台湾の医師は、認定を経て大陸の医師資格を取得することができる。条件に合致した台湾の医師は、関連規定に基づいて、大陸で申請した後、短期間医学に従事することができ、期間満了後、さらに申請手続きを行うことができる。
29.台湾で相応の資格を取得した台湾同胞は大陸で証券、先物取引、ファンドに関する就業資格を申請した際、大陸の法律と法規に関する試験に合格すれば、専門知識に関する試験を受けなくともよい。
30.台湾の教師が大陸の高等教育機関で教鞭を取り、台湾で取得した学術成果をワークレビューシステムに組み入れることを奨励する。
31.台湾同胞が大陸の招請を受けて就労するのに便利なために、各種の人事人材サイトや企業のオンライン求人のシステムを向上させ、台胞証で登録申請を行えるようにする。
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