台湾の声編集部 加藤秀彦
台北の街でオレンジ色や黄色の自転車を目にした方も多いのでは無いでしょうか。それは台湾でよく利用されているシェアサイクル、YouBike(ユーバイク)とoBike(オーバイク)です。
YouBikeは台湾の地方自治体と世界的に有名な自転車メーカーであるジャイアント(捷安特)が協力して始めた事業で、現在はジャイアント傘下の微笑單車公司が台北市、新北市、桃園市、新竹市、台中市、彰化縣で運営しています。台北市には2017年12月23日現在400箇所のYoubikeステーションがあり、13,138台の自転車がシェアされています。悠游卡(交通系ICカード)をインターネットやステーションで登録すれば旅行者でも自転車を借りられます。ジャイアントが提供した自転車はオレンジ色を基調としており、3段変速ギアが搭載されています。
oBikeは2017年4月に台東と花蓮でサービスを開始しました。こちらはシンガポール企業の台湾法人・台灣奧致網絡科技有限公司が運営しています。サービスエリアは基隆市、新北市、台北市、新竹縣、新竹市、南投縣、雲林縣、台南市、高雄市、宜蘭縣、花蓮縣、台東縣。自転車にはGPSが取り付けられており、スマホアプリで手続きをしてクレジットカードで決済します。黄色を基調とした自転車で、YouBikeのようなステーションは無く、どこにでも乗り捨て出来ます。
日本ではなじみが薄いシェアサイクルですが、それぞれ特徴があります。YouBikeはジャイアントが自転車を提供しているだけに車両の評価が高いです。例えばoBikeに比べてかごが大きく変速ギアもあるため使い勝手が良いのです。一方oBikeはどこにでも乗り捨てられるのが最大のメリットです。
車体性能を除けばoBikeの方が利便性が高いように思いますが、その乗り捨てが台湾で社会問題になっています。モラルが低い使用者が通行の邪魔になるような場所に乗り捨てたり、駐停車禁止の場所に放置する事例があるのです。また台湾はオートバイの利用者が多く、行政もオートバイの駐車スペース確保に尽力してきました。oBikeがオートバイ用の駐車スペースに停めるのは合法ですが、その分オートバイ利用者が駐車出来なくなることに不満の声もあります。
筆者の周りでもoBikeは「駐輪のマナーが悪い」「ペダルがぐらぐらして乗りにくい」「かごの目が大きすぎて荷物が落ちる」といった悪い評判が多いです。しかしYouBikeが進出していない都市は「何も無いよりoBikeがあった方が便利」との声もあります。ステーションを設置しなくて良い分、oBikeは新規進出しやすい側面があり、それが地方在住者にとってメリットになっています。
最近では民間企業が公共スペースを使うことを前提にサービスを行っていることや駐輪マナーの問題から、oBikeは行政との折り合いが悪くなっています。新北市では市内の主要駐車スペースにoBikeの駐車を禁止しました。また台中市は一貫してoBikeの進出を認めていません。
シェアサイクルは日本のいくつかの都市で試験サービスをしています。本格的にサービス開始するのであれば、台湾の事例も参考になるでしょう。
・(2017年7月10日)【蘋果實測】OBIKE、UBIKE大比拚 騎這款上坡很想死
https://tw.appledaily.com/new/realtime/20170710/1158087/
・(参考文献)台湾におけるシェアサイクルのモデル間競争
– Ubike対Obike,佐藤幸人,2017-12
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