【コメント】「鶴瓶の家族に乾杯」に見えるNHKの貧困な台湾理解
多田恵
台湾ヨイショ番組のつもりだったのでしょうが、実は、大変失礼な部分がありました。
鶴瓶と一緒に旅をした若い女優が、地元のシルバー・スポーツマンと知り合って、台湾製糖の跡地に連れて行かれます。
このことについて、スタジオの司会は、「実は、このおじいさんが、若い頃、勤めていたのだそうです」と説明します。
なぜおじいさんが、面白みのない、台湾製糖の工場跡地に連れて行って、昔話を聞かせたか、ということについて、それが、あたかも、おじいさん個人の若いときの思い出だからであるかのように説明したのです。
違います。台湾製糖といえば、台湾の人にとっては、日本の台湾統治とともにあった特別な会社で、日本の象徴の一つなのです。
日本人の若者がやって来た。そこで、おじいさんは、自分と日本のかつての結びつきを見せてくれたのです。
NHKは、そんなことすら想像できないのでしょうか。
単に、自分の若い頃を懐かしんで、若い女の子に話すという、スケベな理由ではないのです。
この番組は、台湾の人々の温かさを伝えていましたが、同時にNHKに、台湾を本当に理解する態度がないことを、明らかにしました。
不勉強です。