【奇妙な論評】事実を曲げてまで馬英九を支持し齋藤大使を攻撃する産経新聞

奇妙な論評:事実を曲げてまで馬英九を支持し齋藤大使を攻撃する産経新聞

台湾の声編集部

齋藤大使台湾未定論発言への圧力問題で、産経新聞3日の紙面に掲載された山本勲台北支局長の報道には奇妙な論評がついていた。

産経新聞はこれまでも国民党寄りと見られる点があったが、今回は、日本および台湾人の立場を侵すものであり、看過できない。

馬政権は、新聞局等を通じてメディアへの圧力を強めているが、産経新聞台北支局長は、そのような圧力を受け入れるような人物なのだろうか。それとも、齋藤大使への私怨でもあるのだろうか。メディアという公器をこのように濫用していいのか。

また、台北市局長個人に止まらず、その問題部分の掲載を決定し、見出しに「日本代表が不適切発言」と論断したことは産経全体の問題でもある。

問題の記事は町村外相(当時)の「どこに帰属するか発言する立場に無い」という発言を政府の見解として引用し、これを根拠として、「台湾の地位が未定か否かを論断するのは不適切だろう」と論じている。

日本政府が台湾がどこに帰属しているか言えないのは、帰属が未定だからに他ならない。もし帰属が決まっているなら、その国に帰属しているといえばよいだけの話である。

また、産経のこの記事は、町村外相の「これは専ら連合国が決定すべき問題であり」という部分を削っている(本誌『台湾の声』ではこれも含めて引用)。つまり、連合国でも決定がなされていない、と政府見解は見ているのである。したがって、これを齋藤大使が「台湾の地位未定」と表現したどこが問題だというのだろうか。

また「齋藤代表には慎重な発言を望む声が当地の日台関係者から聞かれる」と、責任を明らかにしない形で、齋藤大使を攻撃しているのである。齋藤大使への賞賛の声もあるのにそれを伝えずに、一方的に問題にしているのである。産経新聞はこのような卑怯なメディアだったのだろうか。

産経新聞が、なぜ馬英九の観点から、本来なら蛇足である論評をつけて発信したのか、齋藤発言のどこが問題なのか、「決定すべき問題」(町村外相)と「未定」(齋藤大使)とはどう違うのか、産経新聞には説明責任がある。

なお、本日3日の自由時報には、許世楷前駐日大使(「代表」)をはじめ、本誌林建良編集長、また、法学博士による、齋藤大使支持発言が掲載されている。

***以下、問題の記事(ネット版)***

台湾外交部、日本代表発言に厳重抗議 3面
2009.5.2 18:32

{印刷版紙面の見出しは:

「台湾の主権未定」 日本代表が不適切発言
当局の抗議受け撤回 }

 【台北=山本勲】台湾外交部発表によると、夏立言・政務次長(外務次官)は1日、齋藤正樹・日本交流協会台北事務所代表を呼び出し、齋藤代表が同日の講演で行った「台湾の主権は未定」との発言に対し遺憾の意を表明、厳重抗議した。齋藤代表は「純然たる個人の見解であり、日本政府代表としての発言ではない」と弁明、講演主催団体に発言撤回を求めた。

 台湾各紙の報道によると、齋藤代表は1日午前、嘉義県の中正大学で講演し、先に馬英九総統が「1952年の中日条約(日華平和条約)により日本が台湾の主権を中華民国に返還した」と述べたことに反論した。

 齋藤代表は「サンフランシスコ条約と日華条約に基づき日本は台湾の主権を放棄したのみで、台湾の地位は未定であり、これは日本政府の立場である」(聯合報紙)と発言したとされる。

 日本政府の見解は「日本はサンフランシスコ条約で台湾の主権を放棄したがどこの国に対して放棄したか明記しておらず、台湾がどこに帰属するか発言する立場にない」(町村信孝外務大臣、2005年5月13日の国会答弁)というもの。

 これに基づけば、事実上の政府代表である齋藤代表が台湾の地位が未定か否かを論断するのは不適切だろう。昨年5月の馬英九・国民党政権の発足以来、尖閣諸島の領有権問題などで微妙な日台関係が続いているだけに、齋藤代表には慎重な発言を望む声が当地の日台関係者から聞かれる。

***以上、問題の記事(ネット版)***

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2009/05/02【訂正】【時事評論】齋藤正樹大使の台湾未定論こそ日本政府の立場
http://www.emaga.com/bn/?2009050005780690004045.3407


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