各紙報道

李登輝氏きょう訪日
【産経新聞 12月27日付】

 【台北=河崎真澄】日本政府から観光目的の入国査証(ビザ)を発給された台
湾の前総統、李登輝氏(81)は二十七日午後、夫人の曾文恵さん(78)や長
男(故人)の妻、孫娘(23)、主治医らとともに台北を出発、夕刻、名古屋空
港に到着する。
 李氏の訪日は、李氏が二〇〇〇年五月に総統を退任し、すべての公職を退いて
から二度目で、心臓病治療を目的に、大阪と岡山を訪れた前回の二〇〇一年四月
以来、三年八カ月ぶり。家族旅行としての訪日は初めて。
 李氏一行は名古屋や金沢を観光し、能登半島の和倉温泉に投宿。さらに李氏の
母校、京都大学の同窓生や恩師などとの再会を予定している。京都観光を経て、
来年一月二日午後、関西国際空港から台北に戻る予定だ。
 李氏は、学生時代や学徒兵時代を過ごした京都や名古屋を、戦後初めてゆっく
り訪ねることや、孫娘を日本の温泉に連れて行くことなどを楽しみにしていると
いう。また李氏自身、乗車したことがない日本の新幹線への乗車も希望している。

李台湾前総統、27日訪日…中国は報復検討も
【読売新聞 12月27日付】

 【台北=石井利尚】台湾の李登輝・前総統(81)が27日に日本を訪問し、
来月2日まで、名古屋、金沢、京都などを家族と観光旅行する。
 今回の訪日は、「懐古の旅」とされているものの、日台のきずなの強さをさり
げなくアピールする色彩も帯びている。李氏訪日に強く反発する中国が、日本と
の公的交流の一部凍結など何らかの報復に出る可能性がある。
 李氏の側近は、今度の旅について、「青年時代を懐かしむセンチメンタルジャ
ーニー」と語る。「22歳まで日本人でした」と語る李氏はかつて、「岩里政男」
という名前を持ち、日本の教育を受けて育った。今も日本語の本を愛読し、同行
する曽文恵夫人(78)とは日本語で会話する。
 正月を過ごすことになる京都は、京都帝国大学時代に過ごした土地。学徒出陣
に加わり、高射砲部隊の陸軍少尉として終戦を迎えたのが、27日に到着する名
古屋だ。
 日中関係がこじれる中、李氏は沈黙を守る。台北に住む親友、何既明さん(8
0)は、「李氏は、観光客として自由に歩き、戦後の変化を肌で感じたがってい
る」とその心境を代弁した。
 初めて訪れる金沢は、日本統治下の台湾で大規模農業用水を建設した日本人技
師・八田与一の故郷。李氏は「日本人が行った良いことを、日本人にも知っても
らいたい」(別の側近)考えだという。
 李氏は、初めて新幹線にも乗る予定だ。1月に試運転が始まる台湾高速鉄道(
台湾版新幹線)システムは、日台経済協力のシンボル。李氏の影響力で、日本企
業連合が欧州を破って逆転受注したとされる。
 「孫娘と水入らずの温泉旅行」という名目でビザを取った今回の訪日では、日
本政府に配慮して、講演などの「政治活動」は行わない。だが、訪問予定地から
は、過去、現在、将来にわたる日台の結びつきを感じさせる外交的な側面がうか
がえる。
 中国政府は、日本政府に対し、急進独立派政党「台湾団結連盟」の後ろ盾とし
て「台湾の国をつくろう」と訴える李氏が「日本で政治活動を行うことを許さな
い」よう強く求めている。前回訪日時、中国は、政権ナンバー2の李鵬・全国人
民代表大会常務委員長(当時)の訪日を延期、政府高官の日本派遣も停止した。

李前総統、27日に訪日=夜に名古屋到着、7日間滞在−台湾
【時事通信 12月26日】

 【台北26日時事】日本政府からビザ(査証)を発給された台湾の李登輝前総
統は27日午後、日本アジア航空機で台北を出発し、夜に名古屋空港に到着する
。家族旅行を目的に1月2日まで7日間滞在する予定だが、中国は「台湾独立勢
力の代表人物」として訪日に反対しており、今後の日中関係に影響を及ぼす可能
性がある。
 李氏の訪日は、岡山県倉敷市の病院で心臓疾患の治療を受けた2001年4月
以来、約3年8カ月ぶり。李氏サイドは今回の訪問を「プライベートな家族旅行
」(関係者)としており、記者会見などを含む政治的な活動は一切しない見通し
だ。 


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