台湾歴史博物館が日本時代の映画168本を修復公開

日本統治下の映画168本 記録映像や戦争宣伝作品 台湾歴史博物館が修復、公開
【10月22日 西日本新聞】

 【台北21日 遠矢浩司】戦前の日本統治時代に上映された映画のフィルムが台湾で多数
見つかり、台湾歴史博物館準備処(台南市)が修復、一部をホームページ(HP)上で公開
している。日本の劇映画、アニメーション、喜劇、戦前の台湾各地を写した記録映画など
多種多彩。日本時代の映画が比較的保存の良い状態で大量に見つかるのは極めて珍しいと
いう。

 フィルムは、35ミリ145本、16ミリ23本の計168本。戦前、公的機関が台湾各地で啓発・
宣伝用の上映会で使ったものとみられ日本に残っていない映像も含まれる可能性がある。
行政院文化建設委員会(文化庁に相当)の同博物館準備処が2004年に収集家から購入。台南
芸術大学などと協力し修復作業とデジタル映像化を進めている。

 フィルムは、まだ個々の内容調査に至っていないため作品名が判明していないものもあ
るが、劇映画「生活の歓び」(1940年、日活多摩川作品)のように字幕から制作会社がわか
る作品も。台湾を題材にした記録映画や少数の米国映画などを除くと、大半が1930‐40年
代に日本で制作されたと推定される。

 現在、HPではフィルム80本の映像の一部を日本語音声入りで公開。そのうち、1941(昭
和16)年制作とみられる「国策記録映画『南進台湾』」は、日本統治下の台北や台南、日
月潭(じつげつたん)に住む台湾先住民の様子など貴重な映像を収録している。また、日
中戦争などを背景に、自治組織「隣組」の歌の映画、アニメ映画「動物となり組」など戦
時色の強い映画が多いのも特徴。

 修復作業を指揮する井迎瑞・同大学音像芸術学院長は「日本の植民地政策や台湾の歴史
を知る上で貴重。日本の研究者と協力し調査を進めたい」と話している。フィルムを公開
しているHPのアドレスはhttp://jplan.thm.gov.tw/



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