だから、中国は嫌われる。
昨日、上海日本人学校浦東校が1月に日本から取り寄せた副教材など約800冊が上海市
の税関当局により通関を差し止められていることが発覚した。読売新聞が伝えるところ
によれば、中国が領有権を主張する尖閣諸島を日本領と表示している副教材があったこ
とが理由らしい。
中国では3年前の平成17年(2005年)4月にも同じような教科書差し止め事件が起こ
った。大連日本人学校が授業で使う地理教科書15冊の中に、中国と台湾を異なる色で塗
った地図が見つかったのを理由に大連税関が差し押さえ、日本に返送処分された。
だが、日本人学校は外国人学校なのだ。そこで、日本の子供たちを教育するために、
日本国内と同じ教科書を使うのは当り前ではないか。世界のいかなる国であろうと、い
かに国境紛争が起こっていようと、その国の外国人学校で使う教科書や副教材を国家権
力で差し押さえたとは、寡聞にして知らない。何とも心の狭い国だ。
もちろん、日本の地理教科書の中には台湾を「台湾島」と記す(日本文教出版)など
おおいに問題があることはすでに知られている通りだが、だんだん中国に迎合するよう
な記述に偏向していくのは、このようなことも影響しているのかもしれない。
事は2度目である。中国の特殊事情ではすまされない。政府は、差し止めの理由など
が明らかになった段階で対応を検討する方針だという。今度こそ日本政府の毅然とした
対応が求められる。
(メルマガ「日台共栄」編集長 柚原正敬)
「尖閣」日本領表記の副教材、上海税関が差し止め
【2月10日 読売新聞】
中国上海市の上海日本人学校浦東校(児童・生徒数1089人)が授業で使用するために
1月に日本から取り寄せた副教材など約800冊が、上海市の税関当局により通関を差し
止められていることが9日、分かった。
税関当局からの具体的な説明はないが、日本政府は中国が領有権を主張する尖閣諸島
を日本領と表示している副教材があったことが理由と見ている。
通関を差し止められているのは、社会科の地理の副教材など。1月29日に日本から上
海港に到着後、通関検査を受けた際、「問題がある」と指摘を受けた。税関当局は具体
的な説明はしていないが、浦東校は中国側の関係者を通じ、「取り寄せられた本のうち、
尖閣諸島に関する記述のある本が理由である可能性が高い」との報告を受けた。
中国が問題視したと見られる地図は、日本の国土について説明する章の中にあり、中
国やロシアなど周辺国と色分けして日本の領土を示している。排他的経済水域(EEZ)
を線で表示して、尖閣諸島を日本領として示している。また、記述では、「東シナ海の
石油や天然ガス資源の開発を巡って、日本と中国が領有権を主張している」と説明して
いる。
このまま、通関検査を通らなかった場合、全冊が日本に返送されるか、没収、廃棄の
可能性もある。現在、輸入元である上海の日本企業が、当局との間で、問題の地理の副
教材を除いた残りの本の通関を認めてもらうように交渉しており、日本政府は差し止め
の理由などが明らかになった段階で、対応を検討する方針だ。
中国の日本人学校の教材を巡っては、2005年にも大連日本人学校が日本から取り寄せ
た社会科の副教材約130冊が税関当局に差し止められ、一部が日本に返送されたことが
ある。中国側は、副教材の地図で中国と台湾が色分けされていることが条例違反になる
などと説明した。