馬英九総統が27日、就任から100日目を迎えた。最新の世論調査では支持率を持ち直
している。総統選挙中に公約した中台間の週末直行便や、中国投資の規制緩和は実現さ
せた。しかし、低迷する内需を刺激するのに有効な政策は打ち出せないまま、経済成長
率の上昇を重視する馬政権への批判も出ている。
馬氏が総統に就任して以来、中台間の週末直行チャーター便や、大企業による対中投
資の上限を総資産額(連結)の60%に引き上げるなどの規制緩和が、公約に基づいて実
施された。来年度予算案には大型インフラ整備計画の「愛台12大建設」に1,700億台湾
元が計上されている。
これに対して株式市場は馬総統の就任日から大幅に下げている。加権指数は5月20日
に前日から大幅に反落し9,068ポイントをつけた後は、7,000ポイント前後に下がって
いる。今月26日の売買代金は597億元と2005年3月以来の低さだった。また経済・金融が
中心とはいえ、中国との急速な関係改善に対しては野党の民進党をはじめ批判も強い。
■世論調査は支持率回復
聯合報の27日付世論調査によると、馬総統に対する満足度は47%、不満足度は37%だ
った。中国時報の25日付の世論調査では、満足度が46.3%、不満度が38.7%とほぼ同じ
結果が出ている。
国民党寄りの両紙の調査によると、総統当選直後から先月にかけて調査のたびに満足
度は下がっていた。しかし両紙とも最新の結果では持ち直している。先ごろ表面化した
陳水扁前総統の不正蓄財容疑に対する有権者の怒りなどが反映されたとみられる。劉兆
玄・行政院長の支持率も上がった。
一方、27日付自由時報は民進党などの世論調査に基づいて「満足度は(就任以来)一
貫して下がっている」と報じた。
■GDP成長率は4.8%と予測
馬総統は就任100日を前にした21日、月刊誌「遠見」のインタビューで自身の支持率
については「就任から100日も過ぎていない時点の世論調査をあまり気にすることはな
い。原油高騰や物価上昇の問題は世界の指導者たちが同様に直面している問題だ」と
答えた。
景気に関しては台湾の輸出は依然として活発だとして、今年の経済成長率(GDP、域
内総生産ベース)は4.8%に達するとの見方を示した。中国人観光客の受け入れで訪問
者が予想を大幅に下回っていることについては、「北京五輪があったため中国側は当初
から9月以降に台湾訪問を再び開放する考えだった」と明かした上で、大きな心配はし
ていないと話した。
台湾経済に回復の兆候が見えないなか、馬政権の経済政策に対する専門家の不安や不
満は消えていない。
「就任当初と比べて経済情勢はさらに厳しくなっている。(下半期も)経済を取り巻
く環境は良くないため、楽観はとてもできない」(宝華総合経済研究院の梁国源院長)、
「馬政権が直面しているのはグローバリゼーションの問題なのに思考法が古く、経済成
長率を上げることばかり考えている」(台湾大学経済系の林向ガイ=ガイはこざとへん
に豈=教授)。
■「100日は始まり」
行政院新聞局は馬総統の就任100日目に合わせ、馬政権のこれまでの実績や今後取り
組む政策をウェブサイトで公表した。そのなかで「100日は始まりに過ぎない。台湾人
の期待に絶対に背かない」と支持を訴えた。27日付台湾各紙が伝えた。