やっぱりそうか、中国が繁栄するという平面図の後景にある嘘
中国人は博打が大好き、だますことの天才、そして金にしか興味はない
この題名の付け方はセンスがありますね。英語で言うと「Make a sense」。
中身はいつもの黄文雄節の名調子にのって現状の中国の断末魔をさらりと、しかしどぎ
つく描ききる。
GDP世界第弐位の大国は核戦争を辞さず、いずれ沖縄を侵略して、自分の領土へ編入
しようとする野心もぎらぎらだが、どうして、こんな品のない、文化のない、住みたくな
い国に成り下がってしまったのか、それが本書の伏線にある。
また革命後しばらくは米帝国主義攻撃一本槍だったが、それがいつのまにか日本軍国主
義に批判の矛先を変えた。
その歴史的背景にはなにが横たわっているか、われわれがフト忘れがちな節目節目の出
来事を振り返る。
凄惨な文革ののち、改革開放三十年。
そして中国は「七害」「八毒」「九重苦」に襲われた。本書200p−203pに詳述されて
いる。
「七害」とは何か。売春、密輸、賭博、婦女子誘拐、麻薬、詐欺、そして黒道。
「八毒」とは何か? 抗(陥れる)、蒙(ごまかす)、拐(誘拐)、騙(だます)、仮
(偽物)、偽(いつわり)、冒(なりすまし)、劣(粗悪品)。
さて、それならば「九重苦」はなにか?
これらは農民の苦しみからでてきた新語であり、つぎのような農民の労苦を象徴すると
いう。
(1)大量の役人を養わなければいけない
(2)教育を受けるのが難しい
(3)移動や移住が難しい
(4)社会保障がない
(5)観念(思想知識)の遅れ
(6)物的資源も人的資源も乏しい
(7)意思表示が難しい
(8)農業から工・商への企業創設も他企業への転職も難しい。貯金が出来ない
(9)いつも陵辱されている
庶民が豊かになったかと言えば、豊かになったのは一部の特権階級だけで、繁栄はまっ
かな嘘であり、海外へ持ち出された金は公式に1000億ドルだが、実態は6000億ドル、海外
へ逃げた高級幹部は138万人で、この数字は過去三十年間の海外からの投資額に匹敵すると
いう。
あまつさえ役人、党幹部らによってすでに着服された国家資産は30兆元(邦貨換算390兆
円!)。
なんとも、こういう国に「友好」「親善」「平和」などと念仏を唱える愚かな人々(鳩
山とかカンとか、野田)って、いったい何だろうと考えさせる結論になっている。
◆黄文雄『チャイナ・リスク 爆発前夜』(海竜社)