馮寄台(ひょう・きたい)台北駐日経済文化代表処代表に対し、にこやかに話しかけられ
ている場面が写っていた。馮代表は陛下のお話を聞き漏らすまいと、謹んで拝聴している
と思しき写真だ。
記事を読んでみると、2年ぶりに催された春の園遊会のことだと分かった。2000人ほど招
かれた中に、台湾を代表して馮代表も招かれ、陛下がお声を掛けられている場面だった。
下記にその記事をご紹介したい(インターネット版の内容と少し異なるが、写真は同じ)。
陛下が主催される園遊会に台湾の駐日代表が招かれるのは、日本と台湾が昭和47(19
72)年に国交が断絶して以来初めてだそうで、「外交筋によると、天皇陛下は馮代表に対
し、『台湾ありがとう』と述べられたという」(時事通信)。
園遊会には皇太子殿下や皇族方も列席、総理や国務大臣、衆参両院議長をはじめ芸能界
やスポーツ界の功労者など約2,000人が赤坂御所に招かれ、夫人も一緒に招かれるという。
今回の春の園遊会には村井嘉浩・宮城県知事や上野善晴・岩手県副知事、宇宙飛行士の
古川聡氏、相撲界からは大相撲元大関魁傑の放駒親方などが招かれたという。
台湾の馮寄台代表も顔希君夫人とともに招かれ、陛下から直接「台湾ありがとう」とい
うお言葉を賜ったという。今上陛下が馮代表にお声をかけられた後、皇后陛下は「代表夫
人の顔希君氏と英語で歓談」(中央通訊社)されたと伝えられている。
これは日本として台湾の東日本大震災支援に最高最大の感謝の意を表したことになり、
日本人の一人として、陛下の思召しに心から感謝申し上げたい。
馮代表は間もなく引退し、後任には外務事務次官の沈斯淳氏が就任する。2008年9月に台
北駐日経済文化代表処の代表に就いた外交官の馮代表にとって、台湾を代表して陛下とお
会いし、陛下から直接お言葉を賜ったのだから、恐らくこの4年間の代表就任期間で最大の
イベントとなったのではないだろうか。外交官としてこれほどの栄誉はないだろう。引退
する馮代表には最高の花道となった。
この最高の花道を用意したのは、日本の震災復興を祈って義捐金を出し合った台湾の名
もない人々だ。日台関係史にとっても、平成24(2012)年4月19日は忘れてはならない1日
となった。
陛下、台湾の震災支援に感謝
【産経新聞:平成24(2012)年4月20日】
写真:春の園遊会で台北駐日経済文化代表処の馮寄台代表に声をかけられる天皇陛下=19
日午後、東京・元赤坂の赤坂御苑(栗橋隆悦撮影)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120419/imp12041923160001-n1.htm
天皇、皇后両陛下ご主催の「春の園遊会」が19日、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれ、
宇宙飛行士の古川聡さんや、日本相撲協会前理事長の放駒親方など、各界の功労者ら1956
人が出席した。台湾の台北駐日経済文化代表処の馮寄台(ひょう・きたい)代表(大使に
相当)も、代表として初めて招待された。
台湾の中央通信社によると、陛下は馮寄台代表に対し、東日本大震災で寄せられた台湾
からの支援に感謝の言葉を述べられた。