ている。インタビュアーは井尻秀憲(いじり・ひでのり)東京外大教授。
江沢民、胡錦濤、習近平という中国の3人の指導者の人物比較を尋ねる冒頭の質問から興
味深い。この質問に対して李元総統は「江沢民についてはよく知っています。彼とのあい
だには直接のパイプがあった」と答え、「思想は何もなく、典型的な中国型の政治家」で
「中国で軍隊がいろいろビジネスを手がけるようになったのは、江沢民の時代から」とバ
ッサリ。胡錦濤は「わりと近代的な考え方の持ち主」とまあまあの評価。習近平について
は「中国が多くの問題を抱えるこの時期に、彼が指導者に選ばれた理由については、私も
よくわからない」と率直に答えられている。
そして、中国が抱える内政問題について具体的に述べるとともに、台湾との関係にも言
及、国民党と民進党の次の総統選挙の候補者名も挙げ、台湾が抱える問題に移ってゆく。
李元総統は日台関係についても触れ、韓国の現状からして「『日米台』という連合によ
って、新しい極東の秩序をつくっていかざるをえない」と、新たな東アジアの枠組を提起
するとともに、日台関係の重要性を強調されている。
では、日本に残された課題はというと、日本版「台湾関係法」だと指摘される。米国は
台湾関係法を制定したことで台湾との外交関係を堅持して中国を牽制してきたものの、日
本は「台湾との交流の『法的根拠』を欠いたまま」と指摘、「だからこそ、日本は『台湾
関係法』の制定を急ぐべき」と強調されている。
本会は今年3月末、今年度の政策提言として「我が国の外交・安全保障政策推進のため
『日台関係基本法』を早急に制定せよ」と発表している。李元総統の指摘される日本版
「台湾関係法」とは、まさにこの「日台関係基本法」に他ならない。
このインタビューでは、李元総統がたどりついた「我是不是我的我(私は私でない私)」
にも言及されている。味読をお勧めしたい。