台湾の選挙について  アンディ・チャン

[AC論説(No.520):2014年11月30日]

 台湾の6大都市と里町村と県議員の選挙が国民党の惨敗におわり、記事がたくさん出ている。自
由時報の社論にあった通り、「人民の勝利、国民党の大敗、民進党の警鐘」とある通り、民進党の
勝利ではなく人民が勝利したのである。

 国民党の大敗は国民党の腐敗、馬英九の中国接近、経済不振などが原因で、有権者は国民党拒否
で民進党に票を入れただけである。その証拠に無党派の候補者が多く当選した。つまり台湾人は反
中国、反国民党で、民進党が独立を放棄して中国路線を採ったことに警鐘を鳴らしたのである。

◆世襲政治家と派閥の敗北

 国民党の敗北は世襲の敗北である。連戦の息子と呉伯雄の息子が二人とも落選した。これで政治
家の世襲は大打撃を蒙ったのである。民進党でも蘇貞昌、謝長廷などロートルはすっかり影を潜
め、わずかに蔡英文・党主席の健闘が目立った。

 馬英九派の行政院長と国民党秘書長は引責辞任し、国民党副党首のカク龍斌も辞職した。来週の
国民党大会では馬英九が党主席を辞任すると言われている。そして閣僚総辞職となる可能性もある
という。連戦派、呉伯雄派、馬英九派とカク柏村派が壊滅し、内閣も総辞職すれば国民党は人材不
足で新閣僚の任命に苦慮する。

◆無党派の勝利は人民の勝利

 台湾の政治は藍、緑、白、黒、紅であると言われている。藍(ブルー)は国民党、緑(グリー
ン)は民進党、白(無色)は無所属、黒はヤクザ(黒道)、紅は中共である。

 これまでの選挙は藍緑対抗と言われてきたが、台湾では二大政党の闘争のほかに中国ヤクザ(チ
ンパン、ホンパン、竹聯幇)と中国の影響が強かった。人民は国民党独裁に不満、馬英九の性急な
中国接近に大不満だったが、三月のヒマワリ革命で若者たちが政治力を発揮したあと人民が政治に
興味を示すようになった。

 今回の選挙で最も大きな影響を及ぼしたのは柯文哲という名医が台北市長選挙に民進党に入党す
ることを拒否して無所属で立候補し、政党色のない選挙で民衆の支持を得て当選しことである。

 国民党の連勝文は国民党名誉主席・連戦の息子で大富豪、中華民国の腐敗を代表するような印象
で、名医とドラ息子の対決では勝負にならなかった。

 柯文哲は台北市だけでなく全台湾に政治色のない選挙、台湾アイデンティティを喚起した。ヒマ
ワリ革命後の若者の決起と柯文哲の無所属出馬がピープルパワーを呼び覚ました。人民の覚醒が選
挙の勝利になったのである。

 選挙の結果は無所属が12%当選して各都市、各県の県議会では民進党優勢、または民進党+無所
属で国民党議員を凌ぐ多数を制するようになり、今後の政治に大きな影響を及ぼす。6箇所の直轄
市のうち、新北市だけは朱立倫国民党候補が当選したが市議会は民進党多数となった。

◆アメリカと中国は台湾政策の見直し

 まだ誰も書いていないが、今回の選挙の結果は中国とアメリカの台湾政策に大きく影響する。

 馬英九が政権を取ってから6年の間に中国は台湾侵略で大きく進展した。馬英九の性急な中国接
近、ECFAにサイン、中国人受け入れや経済政策など、中国の台湾併呑は時の問題で後戻りはできな
いと言われてきた。

 しかし3月に起きたヒマワリ革命と今回の選挙で国民党は大敗し、人口の約半数を占める6直轄市
のうち5都市が民進党と無所属の市長となった。反中国と反国民党が顕著となったので中国の台湾
併呑計画が大きく後退した。台湾人民は中国の統一(併呑)に反対の意志を明らかにしたのであ
る。

 アメリカの台湾政策も大きな変更を求められる。アメリカは終戦から今日まで一貫して現状維持
と中華民国を支持してきた。アメリカは(1)台湾統治当局は中華民国とする、(2)現状維持を
要求し、台湾独立反対、(3)台湾問題は中国と台湾(中華民国)の間で平和的解決すべきという
三条件を要求し続けてきた。

 しかし選挙の結果で台湾人民は反国民党と反中国。そして台湾アイデンティティが明確になり、
民主選挙による平和的変遷と台湾独立が可能となった。

 アメリカは台湾政策の見直しをしなければならない。これまでアメリカはカーター、クリント
ン、オバマと民主党が親中国政策を維持してきたが、アメリカでも中間選挙で共和党大勝となった
ので今後のアメリカの政治も大変化が起きるだろう。

 ピープルパワーとは真の民主主義である。アメリカが台湾人民寄りの政策を採ることに期待した
い。


【日本李登輝友の会:取り扱い本・DVDなど】 内容紹介 ⇒ http://www.ritouki.jp/

*本会ご案内の書籍等は、4月1日発送分から消費税8%に対応する価格(送料を含む)となってい
 ます。5月1日から消費税対応価格の台湾食品をご案内しております。

*ご案内の詳細は本会ホームページをご覧ください。

●2014年・台湾ポンカンお申し込みフォーム【締切:12月5(金)】 *new
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/a0mm6tpx6wtx

★沖縄県や伊豆諸島を含む一部離島への送料は、1件につき1,000円(税込)を別途ご負担いただ
 きます。【2014年11月14日】

●台湾向け「りんご」お申し込みフォーム【締切:12月10日(水)】 *new
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/dn1z3wvoi8ma

●美味しい台湾産食品お申し込みフォーム【随時受付】 *new
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/nbd1foecagex

★沖縄県や伊豆諸島を含む一部離島への送料は、1件につき1,000円(税込)を別途ご負担いただ
 きます。【2014年11月14日】

・台湾点心セット 2,650円+送料700円(共に税込、冷凍便)*new
 *同一先へお届けの場合、2セットまで700円

・台湾産天然カラスミ 4,160円+送料700円(共に税込、冷蔵便)
 *同一先へお届けの場合、10枚まで700円

・パイナップルケーキ 2,480円+送料600円(共に税込、常温便)
 *同一先へお届けの場合、10箱まで600円

● 台湾ビール&フルーツビール【12本セット・24本入り】お申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/rfdavoadkuze

●書籍お申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/uzypfmwvv2px

・李登輝元総統特別寄稿掲載の別冊「正論」22号「大解剖『靖國神社』」
・李登輝著『李登輝より日本へ 贈る言葉
・浅野和生著『親台論─日本と台湾を結ぶ心の絆』
・江畑哲男・台湾川柳会編『近くて近い台湾と日本─日台交流川柳句集
・宗像隆幸・趙天徳編訳『台湾独立建国運動の指導者 黄昭堂
・小林正成著『台湾よ、ありがとう(多謝!台湾)
・喜早天海編著『日台の架け橋
・李登輝元総統対談掲載の月刊「MOKU」2013年9月号
・荘進源著『台湾の環境行政を切り開いた元日本人
・石川公弘著『二つの祖国を生きた台湾少年工
・林建良著『中国ガン─台湾人医師の処方箋』
・盧千恵著『フォルモサ便り』(日文・漢文併載)
・廖継思著『いつも一年生』
・黄文雄著『哲人政治家 李登輝の原点
・井尻秀憲著『李登輝の実践哲学−50時間の対話
・李筱峰著・蕭錦文訳『二二八事件の真相』

● 台湾・友愛グループ『友愛』お申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/hevw09gfk1vr

●映画DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/0uhrwefal5za

・『台湾アイデンティティー
・『台湾アイデンティティー』+『台湾人生』ツインパック
・『セデック・バレ』(豪華版)
・『セデック・バレ』(通常版)
・『海角七号 君想う、国境の南
・『台湾人生
・『跳舞時代』
・『父の初七日』

●講演会DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/fmj997u85wa3

・片倉佳史先生講演録「今こそ考えたい、日本と台湾の絆」(2013年12月23日)
・渡部昇一先生講演録「集団的自衛権の確立と台湾」(2013年3月24日)
・野口健先生講演録「台湾からの再出発」(2010年12月23日)
・許世楷駐日代表ご夫妻送別会(2008年6月1日)
・2007年 李登輝前総統来日特集「奥の細道」探訪の旅(2007年5月30日〜6月10日)
・2004年 李登輝前総統来日特集(2004年12月27日〜2005年1月2日)
・許世楷先生講演録「台湾の現状と日台関係の展望」(2005年4月3日)
・盧千恵先生講演録「私と世界人権宣言─深い日本との関わり」(2004年12月23日)
・許世楷新駐日代表歓迎会(2004年7月18日)
・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
・中嶋嶺雄先生講演録「台湾の将来と日本」(2003年6月1日)
・日本李登輝友の会設立総会(2002年12月15日)

● 李登輝元総統特別寄稿掲載の別冊「正論」22号「大解剖『靖國神社』」お申し込み
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/uzypfmwvv2px


◆日本李登輝友の会「入会のご案内」

入会案内 http://www.ritouki.jp/guidance.html

入会お申し込み】https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/4pew5sg3br46


◆メールマガジン日台共栄

日本の「生命線」台湾との交流活動や他では知りえない台湾情報を、日本李登輝友の会の活動情報
とともに配信する、日本李登輝友の会の公式メルマガ。

●発 行:
日本李登輝友の会(小田村四郎会長)
〒113-0033 東京都文京区本郷2-36-9 西ビル2A
TEL:03-3868-2111 FAX:03-3868-2101
E-mail:info@ritouki.jp
ホームページ:http://www.ritouki.jp/
Facebook:http://goo.gl/qQUX1

●事務局:
午前10時〜午後6時(土・日・祝日は休み)

●振込先:

銀行口座
みずほ銀行 本郷支店 普通 2750564
日本李登輝友の会 事務局長 柚原正敬
(ニホンリトウキトモノカイ ジムキョクチョウ ユハラマサタカ)

郵便振替口座
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)
口座番号:0110−4−609117

郵便貯金口座
記号−番号:10180−95214171
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)

ゆうちょ銀行
加入者名:日本李登輝友の会 (ニホンリトウキトモノカイ)
店名:〇一八 店番:018 普通預金:9521417
*他の銀行やインターネットからのお振り込みもできます。