エンブレム変更事件などでも中国の圧力があったことを思えば、中国の圧力がかかったという見方
が広がるのも無理はない。
果たして問題は「92年コンセンサス」を蔡政権が事実上拒んでいるためだろうか。台湾が中華民
国を名乗り、中華民国憲法を用いていることに、その所以はないのだろうか。
台湾、ICAO総会に招かれず 「極めて不公平な扱い」=蔡総統
【中央通信社:2016年9月23日】
(台北 23日 中央社)李大維外交部長(外相)は23日、モントリオールで27日から開催される国
際民間航空機関(ICAO)の総会の招待状が、参加の可否を判断する期限の23日現在も届いていない
ことを明らかにした。これを受け、蔡英文総統は強い遺憾と不満を表明し、「これは台湾に対する
極めて不公平な扱いだ」と述べた。
総会は3年に1度開催。台湾は中国大陸との融和路線をとった馬英九前政権下の2013年、ゲストと
して1971年の国連脱退以来の初参加を果たしている。ただ、ICAOでは昨年8月、中国大陸の柳芳氏
が大陸籍として初めて事務局長に就任。それに加えて今年5月に独立志向の蔡政権が発足したこと
もあり、台湾の総会参加への影響が懸念されていた。
ICAOは、公式ホームページ上で毎月公表している空港の旅客数などに関する統計・ランキングに
おいて、2014年7月分(翌月発表)から使用していた「Taipei, TW」(台湾、台北)の名称を、
2015年7月分以降「Taipei, CN」(中国、台北)に変更している。
中央社は総会に招待する国・団体の決定方法や、名称変更の理由などについてICAO側に説明を重
ねて求めたが、今のところ回答はない。
今年5月の世界保健機関(WHO)の総会では、台湾への招待状に例年にはない「一つの中国」の原
則に関する文言が加えられていた。WHOの現事務局長は中国大陸が推した香港のマーガレット・
チャン氏。また、7月には国連食糧農業機関(FAO)関連の会合で、台湾の政府職員が大陸の圧力に
より入場を拒否される問題も起きた。
馬前政権は、「一つの中国」の原則をめぐる「92年コンセンサス」を基礎として両岸(台湾と中
国大陸)の交流を推進。一方、蔡政権はこれを事実上拒んでいるため、受け入れを迫る大陸側が圧
力を強めている。
(蘇龍麒、唐佩君、葉素萍、鄭崇生/編集:杉野浩司)