台湾の台湾民衆党は2024年1月の立法委員選挙において8人が比例代表で当選し、中国国民党に次ぐ第2野党となった。
同党は、党則で任期の半分に当たる2年間務めた時点で辞職し、次点の候補者を繰り上げ当選させるとしている。
1月31日、主席の黄國昌氏が今年11月下旬に行われる新北市長選に出馬を表明したことから、黄氏を含む6人は立法委員を辞職した。
ただ、1人は立法委員として法改正に携わっているさ中であり、1人は昨年3月に繰り上げ当選したことで辞職していないという。
ただ、問題は繰り上げ当選者の中にあった。
6人の繰り上げ当選者は2月3日に立法委員に就任したが、中国出身の李貞秀氏が中華人民共和国の国籍を放棄していないことが発覚した。
台湾の中央通信社は「李氏は中国・湖南省出身で、台湾人との婚姻により1993年から台湾在住。
……中国籍を巡っては、中国当局に対し国籍の放棄を申請したものの、受理されなかったと自ら認めている。
国籍法では、外国籍を有する者が中華民国(台湾)の公職に就くことを禁じている。
内政部(内務省)は李氏に対し、国籍放棄の申請不受理が事実であれば、証明を提出するよう求めているが、李氏はこれに応じていない」と伝えている。
2024年の立法委員選挙で李貞秀氏は同党比例代表名簿の第15位に名を連ねていたので、党則からすればいずれ立法委員に繰り上げ当選することは予測できた。
民衆党はなぜ中華人民共和国の国籍を有する李貞秀氏を候補者に選んだのか。
立法院はなぜ国籍法に違反する中華人民共和国の国籍を有する李貞秀氏に当選証書を交付したのか。
全日本台湾連合会(趙中正会長)は2月5日、「中国国籍者の立法委員就任を容認することは台湾の主権と安全を危うくする─在日台僑団体からの厳正なる声明」を発表した。
声明では「『やはり台湾は中国なのではないか』という誤認を一層助長することは避けられない。
これは台湾の対外関係のみならず、台湾の安全保障環境そのものを危険にさらす結果を招きかねない」と述べ、また「立法機関は国家意思の形成中枢であり、その構成員の国籍・帰属意識は、安全保障上、最も厳格に管理されるべき領域である。
ここに曖昧さを残すことは、台湾の自由と民主を内側から侵食する入口を自ら開くことに等しい」と警鐘を鳴らす。
そして「我々は、台湾政府に対し、法治国家として外国国籍者の立法委員就任を認めない明確な制度的措置を講じることを強く求める」とする、緊急声明だ。
安倍晋三・元総理が喝破したように「台湾有事は日本有事すなわち、日米同盟の有事でもある」。
日本にとって手出しできない台湾の純然たる内政問題ではあるものの、対岸の火事ではない。
中国による浸透工作を排除するためにも、台湾立法院の早急な正常化を願っている。
中国国籍者の立法委員就任を容認することは台湾の主権と安全を危うくする──在日台僑団体からの厳正なる声明──
近時、台湾立法院において、中華人民共和国の国籍を有していると自ら認める人物が、台湾の立法委員として就任したことは、台湾の民主主義、主権概念、ならびに安全保障の根幹に関わる重大な問題である。
全日本台湾連合会は、本件に対し深刻な懸念を表明するとともに、台湾政府および台湾社会に対し、強く再考を求めるものである。
第一に、国家の立法機関に外国籍保持者が就任することは、いかなる民主国家においても許されるものではない。
台湾政府は、国籍法第20条に基づき、立法委員が台湾に対して単一かつ排他的な忠誠義務を負っているか否かを厳格に確認し、外国籍を有する者の議員就任を認めてはならない。
法の解釈や運用を曖昧にすることは、民主主義国家としての自律性を自ら損なう行為にほかならない。
第二に、在日台僑団体の視点から見れば、本件は台湾の国際的地位に極めて深刻な悪影響を及ぼす。
日本社会および国際社会においては、いまだに「台湾=中国の一部」とする誤解が根強く存在する。
そうした中で、中国国籍者が台湾の国会議員として活動する事実が既成化されれば、「やはり台湾は中国なのではないか」という誤認を一層助長することは避けられない。
これは台湾の対外関係のみならず、台湾の安全保障環境そのものを危険にさらす結果を招きかねない。
第三に、中国による台湾への政治的・制度的浸透が続く現在、この問題を単なる個別事案として看過することはできない。
立法機関は国家意思の形成中枢であり、その構成員の国籍・帰属意識は、安全保障上、最も厳格に管理されるべき領域である。
ここに曖昧さを残すことは、台湾の自由と民主を内側から侵食する入口を自ら開くことに等しい。
我々は、台湾政府に対し、法治国家として外国国籍者の立法委員就任を認めない明確な制度的措置を講じることを強く求める。
同時に、台湾の一般国民に対しても呼びかけたい。
民主主義は、選挙という主権行使を通じて守られるものである。
台湾の主権と安全を軽視する政党──中国国民党および民衆党──に対して、明確に「否」を突きつける意思表示を行うことこそが、台湾社会の未来を守る力となる。
さらに言えば、民衆党の柯文哲が昨日、「現行の中華民国憲法および両岸人民関係条例に基づけば、中国配偶者は外国人ではない」と公言したことは、法秩序と国家主権を意図的に解体する詭弁であり、主張の誤謬性と危険性において到底看過できない。
これは柯文哲個人の暴言にとどまらず、中国国民党および民衆党が共有する対中迎合的認識そのものを露呈したものであり、国際社会の常識では全く通用しない妄言である。
台湾人の立場から見れば、国家の安全と民主主義を内側から掘り崩す重大かつ悪質な利敵行為であって、断固として糾弾されねばならない。
台湾は中国ではない。
台湾の民主と自由は、決して曖昧な法解釈や政治的便宜の上に成り立つものではない。
全日本台湾連合会は、台湾が真に主体的な民主国家として国際社会に存在することを強く希望するものである。
2026年2月5日
全日本台湾連合会 会長 趙 中正 常務理事会・理事会一同
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