【台湾地位未定の再浮上:日米をはじめ国際社会の主流認識に】

【台湾地位未定の再浮上:日米をはじめ国際社会の主流認識に】

 台湾独立建国聯盟日本本部 中央委員 林省吾(Shogo
Lim)

高市首相が党首討論でサンフランシスコ講和条約を引用し、台湾の法的地位について「日本が認定する立場にない」と発言したことが、再び中国の地雷を踏んだようだ。

中国外交部は連日、サンフランシスコ講和条約は「違法かつ無効である」と主張し、ついには報道官の毛寧が「中国はサンフランシスコ講和条約を承認した覚えはない」と言い切った。

・「カイロ宣言」は台湾の地位を決めるものではない

それは当然だろう。

自ら「違法かつ無効」と認定した条約を承認する者などいるはずがない。

その代わりに中国は、台湾の主権を証明する根拠として「カイロ宣言」「ポツダム宣言」を持ち出した。

しかし、この二つはあくまで「声明」であり、正式な条約ではない。

さらに英米は、サンフランシスコ講和条約締結後、「カイロ宣言」は正式な実施を前提とするものではないと確認している。

つまり、台湾の地位や主権に関する記述が存在するのはサンフランシスコ講和条約のみであり、その内容は「日本国は台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権限及び請求権を放棄する」であって、「台湾地位未定」を意味する。

・条約否定が招く逆効果

中国は「台湾地位未定」を封じ込めるためサンフランシスコ講和条約を否定するという手段に出たが、結果的に逆効果となった。

同条約を否定すれば、台湾の主権に関する条約を遡ると日清戦争の「下関条約」に行き着く。

台湾のSNSでは、「まさかの下関条約自動更新」「起きたら日本人に戻ってた」など皮肉のコメントが飛び交い、「日本名どうしよう?アドバイスください」「第二次皇民化政策」といった大喜利状態になった。

・中国のおかげで台湾地位未定が広まる

台湾人は長年、中華民国体制下の洗脳教育を受けており、今でも「台湾は独立国家で、その名は中華民国」という誤った認識を持つ人が少なくない。

独立建国派は「台湾人の国」を提唱する際、「台湾地位未定」の概念を説明してきたが、その認知は広がらず苦労してきた。

ところが今回、中国の「鶴の一声」によって、特に若者のあいだで「台湾地位未定」が一気に広がった。

近年の中国による様々な圧力の結果、「中国に嫌われるものは正しい」という認識が浸透していたことも追い風となったのだろう。

・台湾の未来を決める責任から逃げる台湾人

一方、冗談ではあるが、台湾のSNS上では「日本人になりたい」という表現にほとんど抵抗がない。

しかし、「一緒に建国し、台湾国民になろう」と呼びかけると、多くの人は途端に「いいね」を押せなくなる。

これこそ、今日まで続く中華民国の支配を受けてきた台湾人の自信の無さの表れである。

「台湾人になるくらいなら日本人の方がマシ」というわけではない。

だが心の底では「台湾建国」が実現可能なのか疑い続けている。

そのため、「日本人になる」というあり得ない冗談で盛り上がり、台湾の地位と未来を決める自信のなさを誤魔化しているのだ。

・228虐殺は国際犯罪

サンフランシスコ講和条約に関わる台湾人の身分問題には、もう一つ忘れられがちな重大な歴史事実がある。

1952年4月29日の条約発効以前、台湾人の国籍は実は日本のままであった。

従って1947年に起きた228事件は、中華民国軍隊が日本籍の台湾人を虐殺した国際犯罪であることを意味する。

台湾の法的地位を日本が「認定する立場にない」というのはその通りである。

だが、228に関する中華民国の責任追及までは難しいとしても、少なくとも真相の究明を求める権利くらい、日本にもあるはずだ。


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