【詩】陳芸瑛「青鳥ê行動」(訳と解説:多田恵)

「台湾の声」【詩】陳芸瑛「青鳥ê行動」(訳と解説:多田恵)

 次の詩は、台湾の李江却台語文教基金会発行の『台文通訊Bong報』2024年12月号に掲載されたものである。

原文は台湾の教育部が定めた台湾語ローマ字表記であるが、日本の読者のために伝統的な白話字(教会ローマ字)に変換し、さらに漢字を示した。

青鳥ê行動(chheⁿ-chiáu ê hêng-tōng)
作者:陳芸瑛(Tân Ûn-eng)

Chheng-tó-tang-lō͘ lō͘ ti̍t-ti̍t,
青島東路路直直,
sī án-chóaⁿ hō͘ lâng lâi chiàm-móa?
是按怎予人來佔滿?
Gia̍h pâi, hoah kháu-hō,
舉牌,喝口號,
“Bô thó-lūn m̄ sī bîn-chú.”
“無討論毋是民主。


Tâi-oân-lâng, lán ài chhut-hoat,
台灣人,咱愛出發,
chò-hóe lâi
 做伙來
“Chheⁿ-chiáu” ê hêng-tōng.
“青鳥”ê行動。

Chè-lâm kàu-hōe mn̂g khui-khui,
濟南教會門開開,
sī án-chóaⁿ hō͘ lâng lâi chiàm-móa?
是按怎予人來佔滿?
Kî-hok, pó͘ bu̍t-chu,
祈福,補物資,
“Kok-hōe khok-khoân, lán bô an-choân.”
“國會擴權,咱無安全。


Tâi-oân-lâng, lán ài hoah-siaⁿ,
台灣人,咱愛喝聲,
chò-hóe lâi
做伙來
“Chheⁿ-chiáu” ê hêng-tōng.
“青鳥”ê行動。

Chū in to-sò͘ liáu-āu,
自イ因多數了後,
thó-lūn chá tiōbu̍t-siu,
討論早著沒收,
kan-taⁿ ū in ê ì-kiàn.
干焦有イ因ê意見。

Chū in to-sò͘ liáu-āu,
自イ因多數了後,
bîn-chú chá tiō sí-bông,
民主早著死亡,
kan-taⁿ ū in ê koat-tēng.
干焦有イ因ê決定。

Li̍p-hoat-īⁿ tiān-hóe kng-kng,
立法院電火光光,
chiò in ê sim-mn̂g.
照イ因ê心門。

Chheⁿ-chiáu–ah chheⁿ-chiáu,
青鳥啊青鳥,
ē-tàng poe lōa kú?
會當飛偌久?
Kám ē-tàng hō͘ in chai-iáⁿ,
敢會當予イ因知影,
lán Tâi-oân-lâng ê sim-siaⁿ,
咱台灣人ê心聲,
chò-hóe lâi
做伙來
“Chheⁿ-chiáu” ê hêng-tông.
“青鳥”ê行動。

(仮訳)
青い鳥アクション
作者:陳芸瑛(ちん・うんえい)

青島東路の真っ直ぐの道
 なぜ人で満ちているのか
プラカードを掲げ、スローガンを叫ぶ
 「議論しないのは民主ではない」
台湾人よ、私たちは始めなければ
 さあ共に
青い鳥アクションを

済南教会の扉は開かれている
 なぜ人で満ちているのか
祈り、物資を補給する
 「国会が権限を拡大すれば私たちは安全がなくなる」
台湾人よ、私たちは声を挙げなければ
 さあ共に
青い鳥アクションを

彼らが多数になってから
 議論はとっくに没収され
 ただ彼らの意見しかなくなった

彼らが多数になってから
 民主はとっくに死亡して
 ただ彼らの決定しかなくなった

立法院に明るく灯る電灯
 彼らの心を照らす
青い鳥よ、青い鳥
 どれほど長く飛び続けられるのか
彼らに知らせられるだろうか
 私たち台湾人の心の声を
 さあ共に
青い鳥アクションを

解説:
 2024年の選挙では、総統は民進党が獲ったものの、立法院の第一党は中国国民党に奪われた。

国会を握った国民党と民衆党は積極的に様々な法案によって頼清徳政権を妨害しようとしている。

この詩は、国会の権限を拡大しようとしていた5月の情景を描いたものである。

そのころ生まれたのが、青い鳥アクション(青鳥行動)だ。

立法院を監督しなければ台湾が危険だという危機感を持つ若者たちの抗議行動である。

立法院に面し、抗議活動の集合地点である青島東路の道の名をもじったものだ。

SNSのアルゴリズムにより、当時「青島東」を含む記事が表示されにくかったので、その網をかいくぐるための発案だったとされる。

結局、その国会権限拡大の法律は、憲法裁判所によって違憲とされた。

12月20日には、公職人員のリコールを難しくするための法「改正」、また違憲審査のハードルを高くする憲法訴訟法の「改正」、中央の税収を減らし、地方の税収を増やす法「改正」を、挙手による表決によって強引に成立させた。

立法院の院長は韓国瑜だが、高雄市長を罷免されたこと、また、国会権限を拡大する法律が違憲とされたことを、いかに恨んでいたかがうかがわれる。

19日の夜には1万人が抗議に集い、青い鳥アクションが再び注目され、台湾の良識ある人々は、国会の場を通じた民主主義の後退を憂いている。

この詩を書いた陳芸瑛(タン・ウンイン、日本語読み:ちん・うんえい)さんは「護理師」(看護師のなかで、より上級の資格)。

台湾語で文章を書くクラスに参加していたとき、ちょうど青い鳥アクションに集う人々を目にして、この作品を書いたという。

(多田恵:台湾語教師)


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